小雨、16度、83%
ここ香港でも、行事行事によって、決まった食べ物があります。春節は、お正月です。お餅もあります。日本のようなお餅ではありませんが、ニンゴウ、といって餅米の粉を練固めたようなものです。このニンゴウは、上海や蘇州では、普段から料理に使われています。広東料理にはあまり見られません。ニンゴウ、韓国のプルコギにそっくりです。
広東式の餅、甘いものも食事に出されるものもあります。甘い餅、日本の餡餅とは違います。ココナッツの汁を米粉などを入れて固めたもの。同じように、甘藷のジュースを固めたもの。ココナッツは真っ白で、甘藷のは、茶色をしています。甘みはさっぱりと。
食事代わりにもなる餅は、タロイモを入れ米粉で蒸し固めたもの、大根の千切りをたくさん入れたものが代表的です。
香港の飲茶のメニューに、一年中ある大根餅ですが、やはり寒くなるこの時期の大根餅が一番美味しく感じられます。この大根餅など餅類を大手のパンメーカー美心やホテル、レストランが作って売り始めたのは、そんなに昔のことではありません。年末のお歳暮に添えたり、年始に手土産として持って行きます。私が香港に来た25年ほど前は、レストランやホテルが大根餅を売っているのすら目にしませんでした。
その代わり、春節前になると市場から帰る人たちは、両腕に7、8本の大根を持っていたものです。中華圏ですから、お正月ともなれば、一家が皆集まります。たくさんの大根餅を作ります。流石に、町中で簡単に手に入るようになった大根餅、最近では、大根をたくさん買う人を見なくなりました。
私が作る大根餅は台湾風。教えてくれた友人が、台湾出身の先生に料理を習っていたからです。何処が違うかって?広東式では、ブタのひき肉の変わりに、ラップチョンという、中華風サラミを使います。このラップチョンの匂いが、未だに馴染めないので、20年以上、友人に習ったままのレシピで作り続けています。
大根をおろすのがいささか難儀ですが、大根が多いほど優しい甘みが増します。米の粉を使います。
タイから入って来る米の粉。昔はこの時期スーパーの通路に山積みでした。たくさんの干しえびと大根、米粉を練って蒸し上げます。
縁起物ですから、丸く作るのに越したことはありません。切り分けることを考えて、我が家では、四角に作ります。蒸したてを食べても、油で焼き直しても大根が一杯なので、すっとお腹に納まります。
何も、春節でなくても作ればいいものですが、必ず年に一度作る大根餅です。京都に帰って、4人の孫のおばあさんになった友人の手書きのレシピ、シミだらけで、毎年活躍してくれています。
どんなレストランの大根餅より、高級ホテルの大根餅より、美味しいなと感じる我が家の大根餅です。