チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

アミタブ ゴーシュ The CIRCLE of REASON

2013年02月18日 | 

 曇り、18度、90%

 私の寝ている部屋、ベットに横になってボーッと前の壁を見ると、大きな地図がかかっています。横幅、120センチ位でしょうか。世界地図です。旧い地図のコピーもので地図の所々には装飾に船だとかクジラの絵が施されています。アメリカの地図ですから、真ん中にはアメリカが。

 小さいころから見慣れた日本が真ん中の世界地図、私の思考経路もいつもこの地図と同じで、日本が真ん中にあるように思います。寝室の大きなアメリカが真ん中の世界地図を壁にかけて、もう10年以上経つのに、やはり私の頭の中は日本中心の地図に置き換えているような気がします。

 映画のおかげもあって、アメリカの話やヨーロッパの話は、読んでいても位置関係、国と国との関係も何となく掴めることが出来ます。

 アミタブ  ゴーシュ、インド生まれ、イギリス留学、現在アメリカ在住の作家です。彼の作品は、日本でもよく読まれている「硝子の宮殿」以来、新作は出る度に入手しています。5年前に刊行された、「Sea of Poppies」が世界的にも評価を得ているようで、ゴーシュの8冊のフィクションが、古い物も再販されました。「硝子の宮殿」以前の3冊を手に入れたのは昨年末のことです。刊行順に、彼の最初の本「The CIRCLE of REASON」から読むことにしました。

 ゴーシュの「硝子の宮殿」以降の作品は、「Sea of Poppies」からはじまる3部作(現在2作目まで刊行)も含めて、インドから東、東南アジア、中国南部にかけた話になっています。ところが、処女作にあたる「The CIRCLE of REASON」は、インドから西、アフリカ大陸にまたがる話です。インドにも幾度か旅をして、東南アジアの香港に住む私にとって、インドから西にアフリカに向けて進む話について行くのは、思考回路の切り替えのような作業が必要でした。話の内容は、インド人の男性が殺人の疑いをかけられ、アフリカの南に逃げて、最後にはインドに戻る話です。時代ははっきりしませんが、日本のジャンプ傘の話が出て来るので、そんなに古い話ではありません。取り巻く人間像の多様さや、インド、アフリカの貧しい人たちの生活模様、ペパーバックで500ページの力作でした。

 少しいつもより長く時間がかかった「The Circle of REASON」。読むうちに、ひとつの事に気が付きました。話の舞台ではなく、書いている作者が、何処を中心の世界地図を持っているかということです。ゴーシュのように長くインドを離れているにもかかわらず、やはり彼の中には、インド中心の世界地図が、インドを基盤にしたそれぞれの国との関係が、根強く見られます。

 「Sea of Poppies」からの3部作、最後の1冊が出るまでに、ゴーシュの2作目、3作目を読み終えていたいと思っています。 自分にない世界地図を持った人の書いた本を読むのは、国や人種を超えた何かを与えてくれるようです。

 25年も、中国の片隅、香港に住みながら私の世界地図は、いつまで経っても日本中心の世界地図のままです。

コメント
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