晴れ、19度、83%
香港に来た当初、地元のスパーで売られていたお塩は、黄ばんだ藁くずなどのゴミ混じりのお塩でした。日系のスパーで売られているお塩といったら、専売公社からの食塩、しかも日本の値段の何倍も高くなっています。考えてみれば、専売公社が無くなって、自由に塩の販売が出来るようになって、そんなに時間が経ってはいないのですね。
フランスのゲラルドの塩の花がいいと聞けば買いに走る、ヒマラヤのピンクの塩が美味しいと聞けば、試してみる。お塩は大事です。お土産で頂くお塩も含めるとあちこちのお塩を試したことになります。それぞれに、塩の強さやうまみがあるのもわかるようになりました。でも、日本人の私、やっぱりお塩の決め手は、真っ白なおにぎりです。そんなわけで、最近は、沖縄のシシマースと、時折頂く与論島のましゅと言うお塩が常に並んでいます。シシマースはパスタや野菜をゆでるとき、ましゅは、お魚やお肉に振って使います。
先日、’七福の塩’を頂きました。福岡から西に向かって唐津へ向かう道は国道202号線です。海沿いのこの道は、JR筑肥線とも平行して走っています。筑肥線の福吉から山手に唐津の七山に抜ける道が、七福街道と呼ばれているそうです。このお塩は、その福吉の近く二丈という町で作られたお塩です。18歳で福岡を出て以来この年になっても産まれ育った福岡を顧みることのない私ですので、地理的なことなど恥ずかしいことに付け焼き刃の知識です。
頂いたお塩は、2種類。立方体の結晶したものと、フレーク状になったお塩です。結晶の方を、カリカリとかじってみました。しっかりした塩気です。フレークの方は口に入れるとすーっと溶けて、ほのかに甘みを残します。早速、白いおにぎりを握ってみました。
このお塩を作っている方と二度お会いしたことがあります。実は、今度私の実家の改築をお願いすることになった方です。作った方の顔がわかる、その土地の様子が分かる、食べ物でこれ以上の安心感はありません。もちろんこのお塩、量販品ではないと思います。まきで炊き上げられたお塩です。嗜んで使うことにします。 大事に塩壷に入れて。 こちらのご夫婦はちょうど我が家と同じ年。地元にしっかりと根を持った生活をなさっています。私たちのように、海外に長くいる者から見ると、そういう生活をしている方達がまばゆく感じられます。