曇り、23度、80%
私が香港に来た当時(1980年代の終わりごろ)、香港で一番高い建物は、ワンチャイのクゥイーンズロードにあるホープウェルセンターでした。今では、香港で10番目にも入らないかもしれません。確かに、今見るとなんともこれが一番高かったのかしら?と訝しく思います。ワンチャイのトラムが通る道からこのクゥイーンズロードにかけては、再開発地域、つまり古い建物を壊して、建替えの作業が進んでいます。老朽化した建物が、建ち並んでいた地区ですから無理からぬこととは思います。市政局は、昔の面影をとどめた建物をなどと謳っていますが、出来てくるのはピカピカの高層ビルばかりです。
そんな一角の大きなバニアンツリーの下に、こじんまりと佇んでいるのが、環保軒。 私が、初めに見たときはワンチャイ郵便局でした。その後直ぐに、郵便局が閉まると聞き、わざわざ、切手を買いに行った記憶があります。歴史記念建造物の指定を受け、今は環境資源センターとして使われています。この1900年代初めのワンチャイの郵便局は香港最古の郵便局だそうです。小さな建物ですから、ワンチャイの郵便物をさばききれなかったと思います。
斜面にそって立っていますから、階段を使って入り口に。屋根との境の妻の部分が、独特な形をしています。環保軒ですから鎧戸やフェンスが緑色ですが、昔は黒でもっとシックな建物でした。屋根はスレートがのっているようですが、一年中、木陰になっているこの屋根には、苔が生しています。
この環保軒の向かい側は、現在再開発の工事中です。向かって左側が、これから開発が始まる地区です。右側にあるホープウェルセンターが、周りの古いビルを買い取って、拡張工事を始めることも決まりました。ワンチャイから金鐘に抜けるこの道沿い、確かにしゃれたレストラン、ブティックが店をオープンしています。昔のこの通りをご存知の方は変わり様に驚かれると思います。ところが、この街を歩いてみると、どんなに素敵なお店が出来ようとも、やっぱりワンチャイね、って思われることでしょう。