ポプリ
晴れ、23度、79%
バラの花は,本当に枯れてしまう前に花瓶から引き上げます。バラの花弁を,元から思い切ってむしり,新聞の上に拡げて除湿器のある部屋に放置していると,4,5日でポプリが出来上がります。オーブンを使った後の余熱を利用して,完全に乾燥させるとカビの心配もありません。出来るだけ花びらが重ならないように,時々,上下を逆さまにしてやると,カサコソという軽い音がしてくれば,大丈夫です。枯れ切らないうちと,少しでも早い乾燥で、退色が防げます。
中國昆明からやって来るバラは,生花のとき香りがほとんどありません。ところが不思議名ことに,乾燥させるとあの鄙びたそれでいて甘いバラの香りが立ち始めます。もちろん,生花の時も香り高いバラは,乾燥させることで,ぐっと香りが強くなります。
この簡単で自然なポプリに香りは,人工的なバラの匂いとは全く違います。バラから抽出したエキスで作られた,ジャンパトウの「1000ミル」などの高級な香水の香りとも違います。もし似てるとしたら,ローズウォーターの香りでしょうか,でも,ポプリの香りの方が奥行きがあります。5月にバラ園を訪れました。咲き乱れるバラの生の香りは,すっと曵き加減が爽やかです。この生花のバラには叶いませんが,ポプリの自然な香りは心をほぐしてくれます。
小振りなバラなら,花びらを外さなくても,そのままポプリに。この硝子の容れ物に入ったポプリは,私の枕元にあります。ポプリがあると,その部屋がいつも甘い香りがするわけではありません。1週間ほど前の夜中、寝ているのにバラのポプリの香りがしました。ほんの一瞬のことです。頭の奥の神経はすっかり眠っているので、目も開けないまま眠りに戻りました。眠っているのに,胸の中に匂いが拡がって行くようでした。
ドライフラワーには出来ても,ここまで香りが残る花はやはりバラです。この乾燥させたバラとホワイトリカーと氷砂糖で,バラのお酒が作れるそうです。甘いお酒は苦手なので,作ったことがありませんが、想像しただけでも,ロマンチックなお酒です。