晴、18度、83%
納豆の器には六角形のものが良いと聞いたのはずいぶん以前のことでした。なぜ六角形が良いのか、かき混ぜるのに適しているからという理由だったと思います。うろ覚えなのは私はほとんど納豆を混ぜないからです。一方、主人はよくかき混ぜます。
主人も私も60年近く前の福岡生まれ、当時は納豆を食べる習慣などなかったこの地方です。二人とも納豆を口にしたのは高校を出て上京して以降のことです。良くかき混ぜて食べなさいなどと誰も教えてくれませんでしたから、私は軽くネギやお醤油が絡まる程度に混ぜます。先日、納豆チャーハンを作っていました。油をたっぷりと熱くした中に納豆を入れてあの粘りを切ります。その様子を見ていた主人にこっぴどく叱られました。「納豆はしっかりかき混ぜるんだよ!」その剣幕にびっくりします。主人は納豆を食べ始めた頃、関東出身の方によくかき混ぜるものだと教わったそうです。一説には200回という方もいらっしゃるそうです。
納豆は六角形の器が良いと聞いた時、我が家にはちょうどの大きさの六角形の器が2つありました。納豆に卵やおかかなどをかけても十分の大きさです。主人がかき混ぜる様子を見ていても飛び出すこともありません。色の薄い安南手は夏用に濃い茶色は冬用に、いつの間にか納豆専用の器になりました。寒くなり始めたので茶色の器を出して来ました。2つ並べて、あらっと面白い事に気付きました。この2つ、作った方は日本人ではありません。安南手はカンボジアの方、茶色い方はイタリア人。カンボジアの方は奥様が日本人ですから納豆も食べられるかもしれません。イタリア人の陶芸家はおそらく納豆は食べたことがないと思います。
納豆の粘りがついた器を洗っていて手が滑ります。そのまま器を割ってしまったことも幾度もあります。カップ型の容器に入った納豆はそのカップのままで食べるように出来たそうです。最近の納豆の容器は蓋が取れるように出来ています。それも容器のまま納豆を食べるためだと知りました。美味しい納豆ですが確かに器を洗うのは厄介です。でもあの白い容器のままいただくのはちょっとまだ遠慮します。
向付に煮物やなんかを盛っていた六角形の器は、すっかり納豆の為だけに使っています。茶色い器にお白和えを入れたら綺麗だろうなあと写真を見ながら思います。