『世界の辺境とハードボイルド室町時代』
高野秀行×清水克行(対談)著
集英社2015年
第2章「未来に向かってバックせよ」に
こんなことが書いてありました。
昔は、過去のことを「さき」と言い、
未来のことを「あと」と言った。
前は見えるけれど、後ろは見えない。
過去は見えるけれど、未来は見えない。
だから、未来の方向は?と問えば、今は「前」を指さすけれど、
中世までは見えない方「後ろ・背中側」だった。
未来へは、うしろ向きに歩く、走る、という感覚だったらしいです。
世界各地の人々が共通して持っていた感覚なのだそうです。
日本では16世紀ごろ、「サキ」という言葉に「未来」、
「アト」という言葉に「過去」の意味が加わって行ったそうです。
今も「前(さき)に、こんなことがあった・・・」のように「前(さき)」を過去のこととして使うこともあります。
先日、と言えば過去のことだし、後回し、と言えば未来の事、というふうに、「前・後」は文脈によって反対の意味になるのです。
おもしろいなー。
室町時代くらいまでは、世界(アジア、アフリカ)の辺境に暮らす人々と、
共通の感覚が多くあったのではないか、と、様々な観点から、
比較し、想像し、日本の過去へと、分け入る。
戦争、武器、独裁者、ならず者、
常識が、価値観がくつがえる・・・
*以前に「清水克行」の本『室町は今日もハードボイルド』をここに紹介しました。
またノンフィクション作家「高野秀行」の本『幻のアフリカ納豆を追え!』についても2年前に書きましたが、
この本は、その二人による、楽しい対談集です。
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