最近、脳の衰えが著しい。
その事実を認識する度に愕然とするが、徐々に慣れてきている。
新しい、衰えた脳に、古い方の脳が驚きながらも、受け入れ、組み替え、再編成された脳として再スタートする。
リセットするわけではなく、上書きされるのだが、作業の手元が狂って何度もリセットしてしまっているミスも含まれている。
何しろ、脳が弱体化している。
身体も同時進行している。
身体の衰えにはあまりショックを受けないのだが、頭脳はこの先、不安になる。
身体には、症状に応じた治療法がある。
(治療法がない難病の場合もあるが)
脳は難しい。
ただ、わたしの場合は、脳みそに問題があるわけで、こころは大丈夫。
メンタルOK。
ちなみに。
司馬遼太郎の独り言、一人で延々とカメラに向かって話す番組がある。(生前、収録)
「生誕100年 司馬遼太郎 雑談 『昭和』への道」
これは毎回45分に区切りシリーズ化され、毎週金曜20時からEテレで放映されている。
この番組を見ると、ああ、1週間が過ぎた、と、ほっとする。(放映が金曜日だから)
NHKのチコちゃん番組がわたしは嫌いなので、その時間、別の番組を見る必要がある。(別に見なくてもいいのだけど)
以前は、「あしたも晴れ!人生レシピ」という、日常生活に役立つ番組をやっていて、それを見ていた。
が、今はその番組は大阪では放映されず(東京では放送されているようだが)、とりあえず、大阪は司馬遼太郎。
1〜2回かと思いきや、結構、続く。
たぶん、司馬遼太郎、生誕100時記念番組はそろそろ終了するだろうけれど。
それにしても、司馬遼太郎さんは、良いことをおっしゃっている。
勉強になる。
大学講座か、市民講座を聴いているようなかんじ。
開かれた講座、談話。
自宅でパジャマで寝そべりながらでも受講できる。
(実際には、しっかり聴くには背筋を伸ばして)
なかなか濃い、興味深い内容を話されている。
ただ、わたしの脳みその耐久時間が限られているのが大きな難点。
最初は気合いを入れて聴くのだが、はっと気づくと終盤の〆に差し掛かっている。
寝てた??
いや、脳がわたしの指令を無視して暴走して寝ていた。
けしからん脳だ。Noだ。
だが、謀反(むほん)を起こしたのは昨日今日の話ではない。
学生時代からこの病に悩み続けている。
特に好きな授業の一つであった「経済」はこの傾向が顕著。
なので、いつもノートは真っ白。
優秀で真面目な学友に猫撫で声で擦り寄り、ノートを写させてもらっていた。
信用も人望も学力もない。
わたしは拒否しているのではなく、大いに興味があるし意欲に燃えているのに、感情や想いとは裏腹に脳が断固、拒否してくる。
困ったものだ。
もう半世紀以上の謀反、反乱に付き合って、未だ、勝ったことがない。
そろそろ諦めてもよいものなのに。
老化のせいにすると楽なのだが。
学生時代からの筋金入りのカチンコチン脳である。
ではあるものの、老化で嘆いている皆さんと一緒に、「わたしも老化で、、、」と苦笑いしておくのは悪くない。
誰も、「わたしは学生時代、半世紀以上前からこうで、ああで」などという講釈など(無駄で不毛で意味がなく)聞く人もいない。
上っ面のカルチャー、知性に憧れて、中身は、さっぱり、、、これを続けて半世紀。
中は空っぽ。
とは言え、司馬遼太郎さんは、今の時代に投げかける重要な話をされている。
転換期を迎える今の時代にこそ、ぜひ耳を傾けてみたい。
それまでの長年積まれた日本の思考などが、明治以降の、一気に押し寄せた西洋文明一色に短期間で染まった。
人を育成する期間が短かった。
政治家は、特に。
西洋一辺倒を振り返る良い機会である。
第二次世界大戦以後はアメリカ一辺倒。
なんでこう、一辺倒なのだろう。
日本人は染まりやすい?言うことを聞きやすい?
明治までは、農業国だったわけで。その一方で、高い文化や技術も生み出され受け継がれていた。
第二次世界大戦以後、一気に世界経済の表舞台に躍り出た昭和であるが。
自分が生まれ育った日々は正にドンピシャリ日本の高度成長期。
勢いがあった。
当時、子供だった自分にはわからないと思うが、今思えば、昭和!!色がプンプン匂う。
大人になってわかるかと言えば、そうでもない。
何もわかっていないということが、わかった。
家庭シェルターの中から出勤していた。
仕事と言っても社会勉強のようなもの。
子育ても、すくすく何の問題もなく。
ぶち当たった困難から学ぶとすると、大した困難もないのでは、そこから学びようがない。
が、やはり子供の時と見る目や視野、考え方が違う。
しかし、大人になってから交流を持つ人にかなり影響を受ける。
にもかかわらず、あまり影響を受けていない。
あまり変わらない。
きっと、人生観や価値観がひっくり返る程、壮絶な体験をしていないからだろう。
壮絶な体験は普通はしないとは思うが、中には、ハプニングが起きることもある。
マイナスのハプニングが起きなくて良かった。
プラスのハプニングは元々期待していない。
なので想像も出来ない。
話は逸れに逸れている。
脳が言うことを聞かない話だった。
凶暴になるわけでもなし、一瞬、意識を失うぐらいなら可愛いものだと自分を慰めよう。
もう義務は一通り終了した身であるし、恥はかいても迷惑はかけないと思う。