夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈な行〉

2017年12月26日 | 映画(な行)
《な》
『NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム』(原題:Nerve)
2016年のアメリカ作品。
どうしても時間が合わずに劇場で観逃した1本。
平凡で地味な女子高生ヴィーは、派手な親友シドに煽られたのが悔しくて、
参加型オンラインゲーム“ナーヴ”に登録、視聴者と挑戦者のうち後者を選ぶ。
視聴者による出題をクリアするたびに、口座に報酬が振り込まれる仕組み。
最初の課題は「ダイナーで他人と5秒間キスする」というもの。
破れかぶれでダイナーで相手を物色、イアンという男性とキスをする。
実はイアンも挑戦者で、視聴者はヴィーとイアンが組むことを期待。
それに応える形でふたりは次の課題に挑戦するのだが……。
主演は『ブロウ』(2001)でジョニー・デップペネロペ・クルスの娘を演じたエマ・ロバーツ。
その母親役をジュリエット・ルイスが務めているのを見ると、自分の歳を感じます(笑)。
イマドキの若者を描く作品ながら、オッサンオバハンも意外に楽しめる内容。

《に》
『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』(原題:Nicky's Family)
2011年のチェコ/スロヴァキア作品。
ナチスの脅威にさらされていたユダヤ人の子どもたちを救うため、
チェコスロヴァキアで奔走したイギリス人青年ニコラ・ウィントン。
彼のおかげで生き延びた子どもはその数669人。
70年後、夫のそのようなおこないを何も聴かされていなかったニコラの妻が、
自宅の一室で救出された子どもたちのリストを見つけ、
メディアに持ち込んだことから、救出劇の全貌があきらかに。
命あったおかげで各界で活躍しているひと多数。
彼らへの取材、ニコラ本人へのインタビューと、再現映像を織り交ぜて。
せめて子どもだけは救いたいと悲しみを抑えて送り出した親たち。
不安いっぱいになりながら里親のもとを訪れた子どもたちが、
里親やタクシーの運転手に温かく受け入れられたと語るシーンは涙がこぼれます。
生まれて初めて食べたフィッシュ&チップスは今でも大好物だって。

《ぬ》
なし。
毎年苦戦しまくりの音にはやはり今年も苦戦。
ないんだなぁ、これが。エロ系を含めても。(^^;

《ね》
『ネイバーズ2』(原題:Neighbors 2: Sorority Rising)
2016年のアメリカ作品。
前作は日本でも公開されましたが、本作はDVDスルー。
おそらくアメリカでは前作がそこそこヒットして続編をつくったけれど、
日本では前作からしてあまり集客できなかったのでしょう。
マック(セス・ローゲン)とケリー(ローズ・バーン)夫婦は、
前作で隣家に暮らす男子学生テディ(ザック・エフロン)に悩まされつづけたが、
そのトラブルもなんとか解決。平穏な生活を送っていた。
ところが女子学生シェルビー(クロエ・グレース・モレッツ)が大学生活を謳歌するため、
友人たちを引き連れて、空き家だった隣家に入居。
学生の分際でこんな住宅地の一軒家を買えるわけがないと思うのだが、
どうやら入居に当たってテディがいろいろと教えたらしい。
女子学生らは夜な夜なパーティー三昧で、マックとケリーに悪夢が再来し……。
知名度的にもこれを日本で公開しなかったのは正解。
内容はといえば前作にも増してお下品で、しかもあまり笑えない。
これだけドタバタしているのに、時折睡魔に襲われるってどういうこと!?

《の》
『ノンストップ・トリガー』(原題:Truy Sat)
2016年のベトナム作品。
日本では未公開ですが、本国では驚異の大ヒットを飛ばしたそうです。
警察の特殊部隊の隊員アン(♀)は、オークションで裏取引がおこなわれていると知り、
張り込んで一網打尽の機会を狙っていたところ、武装した集団が乱入。
揉み合ううち、相手のひとりを高層ビルから突き落として死なせてしまう。
アンが死なせた男は巨大麻薬シンジケート“ウルフギャング”の一員で、
かつ、ボスであるロクの妹のフィアンセだったことから、アンは激しく憎まれる。
知的障害のあるたった一人の肉親ビンを同僚のミンに預け、
アンは単独でウルフギャングのパーティーへと乗り込み、黒幕を探ることに。
ウルフギャングには特殊部隊の潜入捜査員キエンがいたが、アンはそうとは知らず……。
主演はベトナムの人気女優トロン・グォク・アンなのだそうな。知らん。
アクションもお色気シーンも何もかも中途半端ではあるのですが、
クソ真面目に取り組んでいるのが可笑しくて、最後まで飽きずに観てしもた。

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今年観た映画50音順〈た行〉

2017年12月25日 | 映画(た行)
《た》
『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』
2016年の日本作品。
島田荘司の人気ミステリーシリーズの実写映画化。
島田氏が地元である広島県福山市のために書き下ろし。
数々の難事件を解決してきた脳科学者の御手洗潔(玉木宏)。
彼のファンだという女性編集者・小川みゆき(広瀬アリス)が、
御手洗の活躍を見たいがために、未解決事件のファイルを持ってやってくる。
彼が興味を示したのは、この半年間に6体もの死体が流れ着いたという“死体島”事件。
御手洗はみゆきとともに瀬戸内海にある問題の島へ。
海流を分析した結果、6体とも福山市の同じ場所から流れてきたとわかり……。
DVDで観るには十分な面白さ。
しかし脳科学者がこんなにも捜査に関与するって。
ま、野暮なことは言いっこなしですね。(^^;

《ち》
『父を探して』(原題:O Menino e o Mundo)
2013年のブラジル作品。
第88回アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされたアニメです。
監督はこれが長編2作目のブラジルの新鋭アレ・アブレウ。
田舎で両親と三人暮らしの少年は、幸せな毎日を送っている。
しかしある日、父親が列車に乗ってどこかへ出稼ぎに。
父親のことが好きでたまらない少年は、後を追いかけて未知の世界へと旅立つ。
不思議な絵です。少年の顔はまん丸に縦棒の眼、鼻と口は無し。
大人の顔は同じく眼と小さなニンジンのような鼻がある程度。
これは絵として上手いんだろうかと悩むところ。
そんな独創的な絵が逆に素晴らしい。色使いにも目を奪われます。
虹色の空、荒れ狂う海、高層ビルの間に上がる花火。
ゴミの山には『トラッシュ! この街が輝く日まで』(2014)を思い出す。
映像と音楽だけで描かれる80分。劇場で観たかった1本です。

《つ》
『造られた殺人』(英題:The Exclusive : Beat the Devil's Tattoo)
2015年の韓国作品。
テレビ局に勤める記者ムヒョクは、大口スポンサーを叩いて休職を言い渡される。
私生活では身重の妻スジンから別れを切り出され、公私ともに崖っぷち。
そんな折り、偶然取った電話。相手は連続殺人事件の犯人を知っていると言う。
犯人とおぼしき男性の自宅を探ってみると、意味深なメモや血痕が散乱。
とんでもない特ダネをモノにして、復職どころか昇進の話を女社長から貰う。
ところが犯人だと思い込んでいた男は劇団員。
散乱していたのは単なる芝居の台詞と小道具だった。
いまさら誤報だったとは言い出せず、嘘に嘘を重ねるようになり……。
途中まではとても面白かったのですが、終盤の詰めが甘すぎる。
「報道に真偽は関係ない。視聴者が信じたものが真実」なんて、それで終わっていいのか。
正当防衛とはいえ殺人まで犯しておきながら黙したまま。
スジンがどうして犯人に会いに行ったのかも謎ならば、
ムヒョクの刺殺の手口が犯人とまったく同じだというのもどうなんだか。
残念ながらノ・ドク監督の独りよがりな結末。もったいない。

《て》
『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(原題:La Loi du Marche)
2015年のフランス作品。
51歳のティエリー・トグルドー、失業して1年半。
家のローンにも追い詰められているというのに、
妻と脳性麻痺の息子は不満ひとつ漏らさないから、余計にこの状況にいらだつ。
職安の職員に勧められて取得した資格もまるで役に立たず、
ついには家を売ることを考えるが、取引がおじゃんになってお先真っ暗。
そんななか、なんとかスーパーマーケットの監視員の職にありつき、
ようやく平穏な生活が送れると安心するティエリーだったが……。
スーパーには何十台もの監視カメラ。
客の万引きのみならず、従業員の不正にまで目を光らせるのが仕事。
客が差し出した割引クーポンを回収したり、
客のポイントを自分のカードにつけたりする従業員を問い詰める役は精神的負担が大きい。
ラストは仕事を放棄して立ち去るティエリーの姿。
何も解決されないまま終わるこのシーンが観る者の心に重くのしかかります。

《と》
『トレジャー オトナタチの贈り物。』(原題:Comoara)
2015年のルーマニア/フランス作品。
ルーマニアのブカレストに妻子とともに暮らすコスティは、
ある日、同じアパートに住むアドリアンから借金を申し込まれる。
アドリアンはアパートのローンを滞納していて、
今月中に800ユーロ払わなければ差し押さえられてしまうらしい。
そんなことを言われても人に金を貸す余裕はないと断ると、
アドリアンの曽祖父が共産党台頭前に埋めた宝があるという。
もしもコスティが金属探知機の借り賃を用意してくれるならば、
出てきた宝の半分を譲ると。半信半疑ながらも話に乗るコスティ。
怪しげな業者も仲間に加わり、3人でアドリアンの生家の庭を掘り始めるのだが……。
第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で「ある才能賞」受賞作だとか。
お宝とは何かと思ったらメルセデスの株券。
換金して宝飾品を買いあさり、公園で「宝物だよ」と子どもたちに配ります。
独り占めしなかったのは美徳なのかもしれませんが、
自分の息子に渡したはずの宝飾品はいじめっこにもぎとられ、
何が言いたいのかさっぱりわからん。
いちばん驚いたのは、ルーマニアで年間1冊以上の本を読む人は
全国民の2%以下だということ。ほんま?

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今年観た映画50音順〈さ行〉

2017年12月24日 | 映画(さ行)
《さ》
『山河ノスタルジア』(原題:山河故人)
2015年の中国/日本/フランス作品。
監督は中国の名匠ジャ・ジャンクー。
1999年、山西省の汾陽に暮らす女性タオに想いを寄せる、幼なじみの男性2人。
1人は炭鉱夫のリャンズー、もう1人は実業家のジンシェン。
嫉妬に狂うジンシェンは、リャンズーの働く炭鉱を買い取り、彼をクビに。
タオはジンシェンと結婚して出産。息子をダオラーと名づける。
2014年、タオはジンシェンと離婚して一人暮らし。
肺を病んだリャンズーは妻子とともに汾陽に帰ってくる。
ある日、タオの父親が亡くなり、上海でジンシェンと暮らしていたダオラーを
タオは葬儀に出席させようと呼び戻す。
ダオラーはすでにジンシェンの後妻に懐いているようで、タオとの間には埋まらない溝が。
2025年、オーストラリアに移住してもはや中国語も話せないダオラーは、
ジンシェンとの間にも確執が生まれ、思い悩む日々を送っていたが……。
う~ん、退屈はしませんでしたが、気持ちは乗らず。
三角関係のメロドラマと言っても、どちらもイケメンじゃないし(笑)、見ていて楽しくない。
しかも、最後はダオラーと中年教師がいい仲になったりして、完璧な「オバハンの妄想」
軽いキスと服を着たままの抱擁で済んでも、私はゲンナリ。

《し》
『シチズンフォー スノーデンの暴露』(原題:Citizenfour)
2014年のアメリカ/ドイツ作品。
アメリカ同時多発テロ事件をきっかけに、アメリカ政府が自国の一般市民を監視。
市民のやりとりするメール、何を検索して何を見たかなどなど、
すべてが監視されているということを内部告発したCIA職員エドワード・スノーデン。
彼が“シチズンフォー”と名乗ってローラ・ポイトラス監督に接触を試み、
ガーディアン紙の記者の協力を得て告発に至った経緯とその後を収めたもの。
NSA(国家安全保障局)がアメリカ国民全員を見張っているなんて、
にわかには信じられなかった話ですが、なんと恐ろしい。
暗号化したメールでなければ速攻で読まれるし、
暗号化したとしても数日でNSAに解読されてしまうとか、
ホテルの電話が通話中でなくとも盗聴されているとか、怖すぎ。
今年初めには『スノーデン』のタイトルで、
この話を基にした、ドキュメンタリーではない作品も公開されました。

《す》
『ストロングマン 最低男の男気大決戦!!』(原題:Chevalier)
2015年のギリシャ作品。
公開時の邦題は単なる『ストロングマン』。DVD化に際して酷い副題付き。
レンタルしようと思った理由は脚本家エフティミス・フィリップ。
『籠の中の乙女』(2009)、『ロブスター』(2015)が強烈だったから。
その2作に比べると印象が弱いですが、これも相当イッてる作品です。
エーゲ海でクルージングを楽しむ6人の中年~熟年男たちが、
誰がいちばんイイ男かを決めることに。
クルージングの間、さまざまな項目で点数を付け合い、互いを評価する。
もっとも速くキャビネットを組み立てられるのは誰かとか、
掃除を迅速かつ丁寧に終わらせられるのは誰かとか、
血糖値やコレステロール値、ちゃんと勃起するかなどもあり、ものすごくくだらない。
これでイイ男なんか決められるわけがなかろうというもので。シュールです(笑)。
ミニー・リパートンの“Lovin' You”にしばし聴き入る。なんか面白い。

《せ》
『世界の果てまでヒャッハー!』(原題:Baby Sitting 2: All Gone South)
2015年のフランス作品。
昨秋の公開当時、テアトル系列劇場のマナームービーにも使われていました。
ハズレの確率も高そうだと、ハードルを下げて鑑賞。わりとアタリ。
エコを推奨するブラジルの高級リゾートホテルへやってきた悪友たち。
そのうちのフランクは、ホテルオーナーの娘ソニアにプロポーズするつもり。
滞在中にいいところを見せようとするもとことん空回り。
気晴らしに男だけで洞窟探険ツアーに参加しようとしたところ、
オーナーからソニアの祖母ヨランドの世話を押しつけられる。
仕方なく、まるでヨーダのヨランドも連れて出発する。
ところがその後、フランクたちが行方不明になり、戻ってこない。
やがてホテルの敷地内で彼らが持って出かけたはずのビデオカメラが発見される。
オーナーやソニアは手がかりを求め、ホテルスタッフらと共にビデオを再生するのだが……。
最初はスベリ気味かと思いきや、どうしてどうして、ばかばかしくて笑えます。
ビジュアル的に私の好みのタイプがいなかったのは残念だけど。
前日譚の『真夜中のパリでヒャッハー!』(2014)と併せてどうぞ。

《そ》
『ソーセージ・パーティー』(原題:Sausage Party)
2016年のアメリカ作品。
最初から最後まで下ネタ満載のアニメーションで、R15+指定。
スーパーマーケットの棚で、人間に買われていくことを切望する食材たち。
彼らは外の世界は楽園だと信じ、殺されるなどとは夢にも思っていない。
ある日、ソーセージのフランクは、恋人でパンのブレンダとともに、
ついにそろってカートに入れられて大興奮。
ところが、出戻り(一旦買われて返品された)マスタードが
「外は楽園なんて嘘だ」と騒いだせいで、フランクとブレンダはカートから落下。
そのおかげで外で自分たちを待ち受ける運命を知ることになる。
一方、カートから落下することなく外へ出たソーセージのカールは、
購入者の女性宅で恐ろしい目に遭い、命からがら脱出、スーパーへ戻ろうとする。
フランクは衝撃の事実を仲間たちに知らせるべく立ち上がるのだが……。
ソーセージはもちろん男性器、パンを女性器に見立てています。
よくもこんなお下劣なことばかり考えられたものだと苦笑い。
声優を務めるのはセス・ローゲンクリステン・ウィグジョナ・ヒル
ジェームズ・フランコダニー・マクブライドポール・ラッド
デヴィッド・クラムホルツエドワード・ノートンサルマ・ハエックなどなど。
こんな錚々たる顔ぶれがこんなおバカな映画という点が面白く、まぁまぁ楽しめます。

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今年観た映画50音順〈か行〉

2017年12月23日 | 映画(か行)
《か》
『神様の思し召し』(原題:Se Dio Vuole)
2015年のイタリア作品。
外科医のトンマーゾは腕は確かだが傲慢このうえない性格の持ち主。
困難な手術を成功させて、患者の家族から「奇跡だ」と感謝の意を表されると、
「奇跡などではない。私のおかげだ」と言い放つような人物。
そのトンマーゾの息子で医大生のアンドレアが突然神父になると言い出す。
アンドレアが崇めるカリスマ神父ピエトロには裏があるにちがいないと、
自分の身分を偽ってピエトロに近づくトンマーゾだったが……。
調べてみればピエトロはムショ帰りの前科者。
なんとかアンドレアに翻意させようとドタバタする様子が可笑しい。
ちょい悪オヤジ風のピエトロがカッコイイ。
トンマーゾにいらついて家を飛び出す妻のカルラ、
娘のビアンカ、その夫ジャンニとみんな個性豊かで笑わせてくれます。
これはぜひとも劇場で観たかった。

《き》
『禁じられた歌声』(原題:Timbuktu)
2014年のフランス/モーリタニア作品。
原題の“Timbuktu(ティンブクトゥ)”はマリ共和国の都市名。
世界遺産にも登録された西アフリカの美しい古都です。
ティンブクトゥ近郊のテントで暮らす12歳の少女トヤ。
辺り一帯をイスラム過激派が歩き回るようになり、
怯える近所の住民はみんな引っ越して行ってしまった。
今はトヤの家族と孤児の少年イサンが暮らすのみ。
音楽を奏でることで日々の活力を得てきたのに、
イスラム過激派は服装を厳しく取り締まるだけでなく、歌やサッカーまでも禁じ……。
内容的には緊張感があるはずなのに、対照的に美しい情景に睡魔も。
反抗心を見せる人々はたくましくも報われないのが悲しい。

《く》
『クレイジー・ナイン』(原題:老笠)
2016年の香港作品。“未体験ゾーンの映画たち 2017”にて上映。
冴えない人生を送る男ラウが通りすがりのコンビニで求人チラシを目にし、
その場にいた店長に「働きたい」と言ったところ即採用。
ところが店長も変ならば、同僚には泣きじゃくる女。
深夜の客はサイコな警官、キレっぱなしの老人、
チアリーダーの衣装を着た美女、闇社会のボス、爆弾魔。
途中、フィギュアの景品交換に訪れるちびっこも。
ひとりずつ殺されていって、最後に残るラウと老人。
と思いきや、まさかのラウ以外幽霊でしたのオチに呆然。
シュールで結構おもしろかったですけれど、残虐性も高いです。

《け》
『CAVE ケイブ』(原題:Cave)
2016年のノルウェー作品。日本では未公開。
共にアフガニスタン戦線部隊だったヴィクトル(♂)、アドリアン(♂)、チャーリー(♀)。
今はカップルとなったアドリアンとチャーリーは、ヴィクトルから洞窟探検に誘われる。
実はチャーリーに想いを寄せるヴィクトルがアドリアンを殺害するために仕組んだ計画で、
ヴィクトルは隙を突いてアドリアンを殺す。
それを知ったチャーリーが逃げ出し、なんとかヴィクトルを奇襲してぶっ殺す。
洞窟からよれよれ出てきたチャーリーを通りかかった車が助けて走り出す。
というところで終わるのですが、一瞬映った車のトランクには人の手足。
どうやら車の運転手はヴィクトルの親父で、親子で殺人を犯していた模様。
地図にも載っていない未開の洞窟のはずが、何者かのテントと血の付いた衣服があり、
これは親父の持ち物だったのでしょうね。
「“Cave2”へ続く」と出て愕然。こんなショボい映画の続編、つくっちゃったの?

《こ》
『コンカッション』(原題:Concussion)
2015年のアメリカ作品。
実話に基づくアメフトの映画だと聞き、感動ドラマを想像していたら、
アメフトが脳に与えるダメージをあきらかにした医師の話でした。
監督は『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』(2013)のピーター・ランデズマン。
ナイジェリアのイボ族出身の医師ベネット・オマルは、
ピッツバーグで監察医として働く、誠実で温かい心を持つ秀才。
たまたま彼は“スティーラーズ”のスター選手だったマイク・ウェブスターの解剖を担当。
マイクの死に不審を抱いたベネットは、遺体の脳の詳しい検査を実行。
その結果、タックルが脳に激しいダメージをもたらしていたことを突き止める。
数多くのアメフト選手が引退後に体調不良を訴えても、
検査結果は脳に異常なし、鬱病かアルツハイマーの兆候ありと診断されてきた。
そのせいで自殺した元選手も何名もいたのに、NFLは事を明らかにしようとせず……。
国民的スポーツの悪影響を発表すると、FBIまで出てきて発表者を潰そうとする。
ベネットは別にアメフトに恨みがあるわけではありません。
少しでも安全にスポーツができるようにと考えているだけなのに。
ベネット役のウィル・スミス、彼に協力するNFLの元顧問トレーナーにアレック・ボールドウィン
真面目すぎるベネットにうんざりしつつもきっちり支える上司役にアルバート・ブルックス
みんなとてもよかったです。知っておくべき事実。

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今年観た映画50音順〈あ行〉

2017年12月22日 | 映画(あ行)
TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスポート使用期間中ではありますが、
これは今日から始めないと大晦日までに終わりません。
というわけで、16回目となりました恒例におつきあいください。

12月12日までに劇場で観た作品についてはすべてUP済みなので、
ここに挙げるのはそれ以外の、DVDで観たものばかり。
あくまで書きそびれていた作品を挙げているだけですから、
好きだったとか嫌いだったとかは関係なし。
どれも今年DVD化され、レンタルorセル開始となった作品です。
ネタバレ御免。

《あ》
『アズミ・ハルコは行方不明』
2016年の日本作品。
原作は山内マリコの同名小説。監督は『私たちのハァハァ』(2015)の松居大悟。
地方都市で実家暮らしの春子(蒼井優)、27歳。
ひとりで歩く男性が女子高生ギャング団にボコられる連続事件が発生し、
春子の幼なじみ・雄二(石崎ひゅーい)もその被害者となる。
たまたま現場を通りかかった春子と雄二はなんとなくつきあうように。
一方、愛菜(高畑充希)は中学時代の同級生・ユキオ(太賀)と学(葉山奨之)に再会。
3人でつるみ、グラフィティアートでバンクシーを気取る。
彼らがモチーフにするのが、交番前に貼られていた春子行方不明のポスター。
時系列がややこしく、どう見るべきか最初は迷いましたが、
途中からさほど気にしなくてもいいのだということに気づきました。
何もかも嫌になって失踪した春子。戻ってきた彼女の表情がすごくいい。
蒼井優、高畑充希、それに愛菜のキャバクラの先輩役・菊池亜希子がよかった。

《い》
『イーグル・ジャンプ』(原題:Eddie the Eagle)
2016年のアメリカ作品。日本では劇場未公開、DVDスルー。
イギリス史上初のスキージャンプのオリンピック選手、
マイケル・エドワーズの人生を描いています。
エディは幼い頃からオリンピックに出場するのが夢。
どんな種目でもいいからとにかくオリンピック選手になりたいと、
近眼で運動能力も高いとはいえないのにあれこれチャレンジ。
やがてエディは、イギリスにはスキージャンプの選手がいないことに目を付ける。
さっそくドイツの雪山へ向かうと、元オリンピック代表のアメリカ人で、
今は飲んだくれの圧雪係ブロンソン・ピアリーにコーチを依頼するのだが……。
エディ役のタロン・エガートンがイマイチなのですが、
ブロンソン役にヒュー・ジャックマン
かつてのアメリカ代表監督にクリストファー・ウォーケン
オリンピック解説者にジム・ブロードベントと名優揃い。
エディは単なるアホに思えなくもないけれど、夢に向かう強い気持ちは大事。

《う》
『ウィンターストーム 雪山の悪夢』(原題:Edge of Winter)
2016年のカナダ/アメリカ作品。これも日本では劇場未公開。
雪深い田舎町で暮らすエリオット(ジョエル・キナマン)。
ある日、元妻が親権を持つ息子ブラッドリー(トム・ホランド)と
ケイレブ(パーシー・ハインズ・ホワイト)を数日間預かることに。
父親らしいところを見せたくて、ライフル銃の使い方を教えようと、
ふたりを連れて北部の伐採場へと向かう。
帰宅時はまだ免許も取れない年齢のブラッドリーに運転をまかせるが、
ケイレブがちょっかいを出したせいで、車が雪に埋もれて立ち往生。
冬場は立入禁止区域だから誰も通らず、助けを求めることができない。
とりあえず寒さをしのぐため、山小屋へ避難するのだが……。
元妻と再婚相手が息子たちを連れてロンドンへ引っ越してしまうと知ったエリオットが、
息子たちを手放してなるものかと山小屋に監禁を決意。
山小屋を先に利用していた男たちを殺してしまいます。
豹変するエリオットが怖すぎ、息子たちの逃走を応援するよりなし。
ブラッドリー役は新スパイダーマンに抜擢された注目株。
「雪山の悪夢」というサブタイトルはどうかと思う。だいたい、山とちゃうし。

《え》
『エミアビのはじまりとはじまり』
2016年の日本作品。
若手漫才コンビ“エミアビ”として人気上昇中の実道(森岡龍)と海野(前野朋哉)。
ところがある日、海野が自動車事故で死亡。
しかも助手席に同乗していたのは先輩芸人の黒沢(新井浩文)の妹で、
エミアビの追っかけをしていた雛子(山地まり)だった。
黒沢は天才芸人と呼ばれながら、あるできごとをきっかけにステージを去ってしばらく経つ。
実道はマネージャーの夏海(黒木華)とともに黒沢を訪ねるのだが……。
監督は『舟を編む』(2013)の脚本家である渡辺謙作。
中盤ちょっぴり退屈なシーンもありますが、最後はホロリ、よかった。
新井浩文の存在感が際立っています。
エミアビはお笑いコンテストにも出場したそうですが、私はこの芸では笑えない。(^^;

《お》
『お父さんと伊藤さん』
2016年の日本作品。
『百万円と苦虫女』(2008)や『四十九日のレシピ』(2013)のタナダユキ監督が
劇作家としても活動する中澤日菜子の小説を映画化。
34歳の彩(上野樹里)は同じコンビニでバイトする54歳の伊藤さん(リリー・フランキー)と
なんとなく一晩を共に。以来、伊藤さんと同居している。
そのコンビニはつぶれて、今は彩は書店で、伊藤さんは小学校の給食のおじさん。
それなりに楽しい毎日を送っていたある日、
お父さん(藤竜也)と同居中の兄(長谷川朝晴)から、
しばらくの間、お父さんを預かってもらえないかと相談を持ちかけられる。
偏屈じじいと同居なんてまっぴらごめんと断ったのに、
帰宅するとすでにお父さんが同居する気満々で来ているではないか。
いらつく彩とは対照的に、いつ何時も飄々としている伊藤さんは、
なんだかんだでお父さんと奇妙な友情を育んで……。
リリー・フランキー演じる伊藤さんを見ていると、
いらいらしたって何もいいことなんてない、
あるがままを受け入れてのんびりと生きるのが人生のコツだと思えます。

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