夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『勝手にふるえてろ』@試写会

2017年12月21日 | 映画(か行)
『勝手にふるえてろ』
監督:大九明子
出演:松岡茉優,渡辺大知,石橋杏奈,北村匠海,古舘寛治,片桐はいり他

この日、午後休を取ってシネ・リーブル梅田へ行ったのは、
本作の試写会に当選したからでした。
先月シネ・リーブル梅田で映画鑑賞した折り、1作品に付き1枚の応募用紙をもらい、
その場で劇場スタッフに渡せばよかったから、6作品分6枚応募。
さすがに6口応募すれば当たるかもと思ったら、やはり当選。
しかし行ってみてビックリ、60名収容のシアターの客席が空き空き。
応募する人が少なかったのかしらん。1口応募でも当たったかも。

芥川賞作家・綿矢りさの同名小説を映画化。
アラフィフの大九明子監督の作品は、『恋するマドリ』(2009)しか記憶になし。
そういえば百田尚樹原作の『モンスター』(2013)は、
なんとなく高岡早紀が怖くて観るのをパスしたことを思い出しました。

さて、これはとても面白い作品だったので、試写会ガラガラはもったいない。
主人公の松岡茉優が、イタくて、苦しくて、切なくて、カワイイ。
と、上映終了後のアンケートにも書きました。
ついでに、鑑賞後に読んだ原作のレビューはこちら

某企業の経理課に勤めるOLのヨシカ(松岡茉優)は、
中学時代の同級生だったイチ(北村匠海)のことが大好き。
想いを伝えることなく卒業、その後ずっと会えなくてもなんのその、
イチへの気持ちはちっとも変わらない。

そんな折り、営業課に勤務するニ(渡辺大知)からコクられる。
これまで一度も男性と交際経験のないヨシカに、
ニとつきあうことを勧める同期のクルミ(石橋杏奈)。
ものは試しとニと出かけてみるが、なんだか乗れない。

イチと会いたい一心で、ヨシカはほかの同級生になりすまし、地元での同窓会を画策。
年末に帰郷したヨシカはようやくイチとの再会を果たすのだが……。

こうして書いてみると、ありがちな恋愛ものみたいな感じですが、
描かれていることのほとんどがヨシカの脳内で起きていること。
ネタバレになりますけれど、変な人たちだなぁと思っていたら、
全部脳内変換だとわかって、な〜んだ。

ニがウザすぎて、終盤まで超イライラ。
普通はイケメンの片想いの相手より、身近にいる一途な男を応援したくなるはずなのに、
こいつだけは勘弁してくれと思うほど。やっぱりニよりイチでしょ。
ところが最後はまんまとやられ、なんだかんだでニを応援。

ヨシカと同じアパートに住む女性に片桐はいり
オカリナを吹きまくる彼女が可笑しすぎ。
いつも同じ場所で釣りをしているオッサンに古舘寛治
最寄駅の駅員に前野朋哉。コンビニの店員に柳俊太郎
バスで編み物をするオバサンに稲川実代子
キャラの濃い脇役陣もとても楽しいです。
個人的にはヨシカの上司、“フレディ”がツボ。大ウケしました。

絶滅の危機にある生物が大好きなヨシカ。
彼女が歌う「絶滅すべきで〜しょうか〜」は、「全力歯ぎしりレッツゴー」
“神聖かまってちゃん”のみさこちゃんが歌っていた曲と同じくらい耳に焼きついて離れません。

私はわりとステレオタイプの女子を演じる茉優ちゃんしか見たことがなかったので、
この彼女は私にとって新発見。めちゃくちゃイイです。
明後日公開、ぜひ。

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『エンドレス・ポエトリー』

2017年12月20日 | 映画(あ行)
『エンドレス・ポエトリー』(原題:Poesia Sin Fin)
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:アダン・ホドロフスキー,パメラ・フローレス,ブロンティス・ホドロフスキー,
   レアンドロ・タウブ,アレハンドロ・ホドロフスキー,イェレミアス・ハースコヴィッツ他

平日の午後、シネ・リーブル梅田にて、
前述の『ラ・ベア マッチョに恋して』の次に。

ぶっちゃけ、これを観るかどうかはたいそう迷いました。
チリの鬼才アレハンドロ・ホドロフスキー監督ですから。
『エル・トポ』(1969)、『ホーリー・マウンテン』(1973)、
『サンタ・サングレ 聖なる血』(1989)、大好きですけれど、
どこをどう見ても変人、変態でしょう、この監督。
健康状態が万全でないときに128分耐える自信がなくて。

とはいうものの、2時間を劇場ロビーでシャキッと読書して過ごす自信もない。
劇場内ならば、眠くなれば寝ればいいわけで。
幸いにしてシネ・リーブルの会員サービスデーだから1,000円。
起きていられたら観よかなと『ラ・ベア』の鑑賞後に決めてチケット購入。

本作は前作『リアリティのダンス』(2013)につづき、
監督自身の青年時代をマジックリアリズムのタッチで描いた自伝的ドラマ。
と言われても、マジックリアリズムってなんだかようわからん。
いやもう、やっぱり変態、ド変態!

故郷トコピージャから首都サンティアゴへ移住したホドロフスキー一家。
青年アレハンドロは、勉学にいそしめという抑圧的な父に反発。
自分は詩人になるのだと言って家を飛び出す。

芸術家姉妹の家に転がり込み、若いアーティストたちと交流。
詩人として生きていく覚悟を固めるのだが……。

青年時代のアレハンドロを演じるのは監督の息子、アダン・ホドロフスキー。
青年アレハンドロの父親役も監督の息子、ブロンティス・ホドロフスキー。

母親だけが「ひとりミュージカル」状態で、台詞はがっつり歌います。
青年アレハンドロほか、フルチンで出まくり。
小人症の女性とのセックスシーンあり。
同じく小人症の男性は、その女性に恋い焦がれ、
彼女がシルクハットに吐いたゲロを大切にしようとするし(幸いにして映りません)。

シネコン上映作品しか観ないという人がもしこれを観たら、
開いた口がふさがらないかもしれません。
ド変態映画なのに、不思議と不快な気持ちは起こらない。
クリストファー・ドイルの色使いにも魅せられます。
御年88歳の監督にもっともっと長生きしてほしいと思うのでした。

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『ラ・ベア マッチョに恋して』

2017年12月19日 | 映画(ら行)
『ラ・ベア マッチョに恋して』(原題:La Bare)
監督:ジョー・マンガニエロ

平日、久々に午後休を取って、梅田スカイビルへ。
TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスポート所持期間中ではありますが、
お金を払ってシネ・リーブル梅田で映画鑑賞。

ちょうど新梅田シティではドイツ・クリスマスマーケット開催中。
夜は恐ろしいほどの混みようになるけれど、
平日昼間は閑散としていて、ぶらつくにはもって来い。
ドイツワイン専門の輸入卸で有名な会社ヘレンベルガー・ホーフが出店していたので、
ピノノワールでつくった白ワインというちょっと珍しいものをプラスチックカップで。
昼酒ってどうしてこんなに旨いのか。

さて、本作は昼酒にふさわしいかどうか、男性ストリップクラブの話です。

『マジック・マイク』(2012)といえばチャニング・テイタム主演、
イケメンの男性ストリッパーが続々と登場して、目の保養にもなりました。
出演陣の俳優のうちのひとり、ジョー・マンガニエロが、
男性ストリッパーたちのめくりめくディープな世界に興味を抱き、
みずから監督業に乗り出してメガホンを取ったという異色のドキュメンタリー。

テキサス州ダラスにある老舗の男性ストリップクラブ“ラ・ベア”。
華やかに思えても過酷な職業、ストリッパー。
男前だとかいい肉体をしているというだけでは人気が出ません。
ストリップで稼ごうと安直に考えるアマチュアが出場するイベントでは、
自信ありげにアホみたいに側転ばかりする男性もいて失笑。
賢くなければ務まらない職業だなぁと思わされます。

また、いくらいい肉体で人気が出ても、それを維持するのは大変。
30年以上この商売をしているという男性が、
顔の皺を増やさないために顔面に注射を打ちにかよう姿は痛々しい。

客とのトラブルに巻き込まれて死んでしまったエースストリッパー。
前科のある男が犯人だったのに、適当にしか捜査されたなかったのは、
殺されたのがストリッパーだったからさと、彼らは力なく笑います。

なかなか中身の濃いドキュメンタリー。

ちなみにジョー・マンガニエロって、彫りの深いラテン系の男前です。
男前すぎて善人に見えないというのか(笑)、悪人役のほうが似合う。
『ジャスティス・リーグ』のエンドロール後に、
スレイド・ウィルソン/デスストロークとして登場。次作が楽しみ。

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『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』、2回目。(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の10本目@梅田)

2017年12月18日 | 映画(あ行)
脚を負傷していても映画を観るのに支障はないと思っていたのですけれど。
鑑賞中にごそごそするわけにもいかず、同じ姿勢を保つというのは、
多大な我慢を強いられるのだと今さらながらわかりました。

で、『DESTINY 鎌倉ものがたり』を観たあと、
TOHOシネマズではもう観るものがないから、
別の劇場へ足を運ぼうかと思ったけれど、それもしんどい。
でも、約束の晩ごはんの時間まではまだまだある。
迷いに迷って、一度観た作品を選びました。
これなら眠たくなったら眠ればいいし(笑)、
脚がつらくなったら退出してもいいし。

積極的に眠ろうと思って目を閉じたら、
目を閉じて音だけ入ってくるほうが怖いやんか。
ホラーが苦手でも大丈夫だったと一度目のときは思ったのに、
目を閉じていたら怖いのなんのって。
で、思わず目を開ける。

二度目でもビビるところはビビります。
いきなり踊り出すペニーワイズに笑ったりも。

それにしてもなんと勇ましい子どもたちなのでしょう。
実際にこんな状況に陥ったら、怖がらないなんて無理でしょう。
学校や家庭になんらかの問題を抱えている彼らが、
友情を信じて立ち向かう。何度観ても力が湧きます。

原作は1巻を読んだあと、長すぎてとても2巻に手を出せなかったけど、
この映画版は大好きだぁ。

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『DESTINY 鎌倉ものがたり』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の9本目@梅田)

2017年12月17日 | 映画(た行)
『DESTINY 鎌倉ものがたり』
監督:山崎貴
出演:堺雅人,高畑充希,堤真一,安藤サクラ,田中泯,中村玉緒,市川実日子,
   ムロツヨシ,鶴田真由,薬師丸ひろ子,吉行和子,橋爪功,三浦友和他
声の出演:古田新太

せっかくつくったTOHOシネマズ1ヶ月フリーパスポートだから、
土曜日は晩の宴会までに3本は観るつもりだったけれど、
先月の怪我の影響でちっともがんばれない。
うだうだしているうちに時間が経ち、かろうじて昼前に家を出る。
とりあえずは公開になったばかりの本作を。

「売れる映画を撮ってなんぼ」が信条のイメージの山崎貴監督。そうですよね!?(笑)
原作は33巻まで刊行中の人気コミック。
“ALWAYS 三丁目の夕日”シリーズの原作、『三丁目の夕日 夕焼けの詩』と同じく、
漫画家・西岸良平の原作。紫綬褒章まで受けた漫画家さんなのですねぇ。

ミステリー作家の一色正和(堺雅人)は、担当編集者だった亜紀子(高畑充希)と結婚。
正和の暮らす鎌倉の家で新婚生活をスタートさせる。
河童が目の前を横切ったことに亜紀子は驚くが、鎌倉では珍しくないと正和は平然。
夜に通りかかったにぎやかな縁日にも、妖怪幽霊が行き来している。

一色家の昔からのお手伝いさんだという老女きん(中村玉緒)に助けられ、
なんとか新しい生活になじんでゆく亜紀子。
天井に居着いていた貧乏神(田中泯)をも温かく迎える亜紀子に、正和は苦笑。
こんなに優しくされたのは初めてだと貧乏神は喜ぶ。

ところがある日、妖怪のいたずらのせいで、亜紀子の魂を残して身体がなくなってしまう。
いくら魂が存在しても、身体がなくなってしまえば死んだのと同じこと。
死神(安藤サクラ)によれば、黄泉の国へ亜紀子を連れて行くのを引き延ばすならば、
代わりに正和の寿命を減らさなければならないという。
亜紀子は黄泉の国へ行くことを決意し、死神とともにこの世を去る。

亜紀子の身体の行方を突き止めた正和は、彼女の魂も取り戻すべく、
黄泉の国へと乗り込むのだが……。

堤真一だいすきなのに、彼の顔が出ているシーンは最初のほうだけ。
いきなりご臨終で、あとは魔物に転生。
カエル顔で声はそのままの堤さん、なんとも言えん。(^^;

正和と亜紀子の年の差20歳の夫婦に、
なんだよぉ、結局若い子が好きなのかよぉなんてことも思ったのですが、
そういう流れならアリだわ。致し方ありません(笑)。

個人的にはめっちゃ面白かったとまでは思わないけれど、
過激なシーンも何もない、優しい物語ですから、
年齢に関係なく楽しめるのではないでしょうか。

玉緒さん、やっぱりサイコーです。はい、きんさんにおまかせします。

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