夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『光』

2017年12月06日 | 映画(は行)
『光』
監督:大森立嗣
出演:井浦新,瑛太,長谷川京子,橋本マナミ,梅沢昌代,
   福崎那由他,紅甘,岡田篤哉,南果歩,平田満他

『悪魔祓い、聖なる儀式』で「ホンマかいな」の連続にうつらうつら。
うーむ、やはり本調子じゃないから、ハシゴ全部寝てまうかもと不安に。
眠たなったら眠たなったでええわと2本目の本作へ。
ところがこれはまったく睡魔に襲われませんでした。
同じくシネ・リーブル梅田にて。

原作は三浦しをん。こんな陰鬱でバイオレンスな三浦しをんも居るとは。
監督は大森南朋のお兄さん、大森立嗣。凄い兄弟だなぁ。
あ、もちろんお父さんの麿赤兒も。この一家、凄すぎる。

東京の離島、美浜島(架空の島、ロケ地は伊豆諸島の利島)。
中学生・信之(福崎那由他)は、同級生の美少女・美花(紅甘)とつきあっているが、
各学年数名しかいないような小さな村のこと、誰にも秘密。
ふたりの関係を知っているのは、信之を慕う小学生・輔(岡田篤哉)だけ。

ある晩、美花に会いに行った信之は、彼女が観光客の男と絡み合っているのを目撃。
美花に嫌がっている雰囲気は見られなかったものの、
信之と目の合った彼女が「助けて」と言ったのを聞き、信之は男を殴りつける。
「誤解だ」という男と、「殺して」という美花と。
間に挟まれた信之は、美花を信じて男を殺すことを選択。

その後、信之と美花、輔が高台に上っていたところ、島を津波が襲う。
何もかもが波に飲み込まれ、信之の罪も消し去られたかに思われた。

25年後。信之(井浦新)は公務員となり、結婚。
妻・南海子(橋本マナミ)、幼い一人娘・椿(早坂ひらら)と穏やかに暮らす。
一方の美花は未喜(長谷川京子)と名乗り、芸能界で活躍中。
そこへ25年前の出来事を知る輔(瑛太)が現れて……。

映画鑑賞後に書店へ直行、原作を購入しました。
まだ読んでいる途中なので、原作とどう違うのかはまだわかりませんけれども、
とにかく暗い三浦しをんであることは間違いないようです。
(読了しました。レビューはこちら。)

瑛太ができちゃった結婚をしたときは、おまえもかとかなり残念だったのですが、
その後の出演作を観ていると、昔よりどんどん面白い演技になっているのが嬉しい。
善人役も悪者役も、コメディもシリアス路線もイケてます。
『ミックス。』では今年いちばんキュンとくるキスシーンも見せてもらえたし(笑)。
本作でいちばん凄まじかったのも瑛太でした。

幼少期の輔がこんなふうにやさぐれるかと疑問には思うけど、
荒れたワルっぷりが素晴らしい。
それに対して、井浦新が今回はイマイチ不自然。
また、長谷川京子と橋本マナミは逆の配役でもよかったのでは。
美花が成長したら、風貌は長谷川京子より橋本マナミのほうが近そう。
子役と大人役に一致した感がまるでなかったのが残念です。

閉鎖的な村で育ち、いつまで経ってもそこから抜けきれない者たち。
信之が結婚を決めた理由も名前なのかと思うと、暗鬱な気持ちに。

あ、特筆すべきは、輔のろくでなしの親父役、
平田満のお尻がめっちゃ綺麗だったこと(笑)。

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『悪魔祓い、聖なる儀式』

2017年12月05日 | 映画(あ行)
『悪魔祓い、聖なる儀式』(原題:Liberami)
監督:フェデリカ・ディ・ジャコモ,フランチェスコ・ヴィルガ

右脚を溝にずっぽり突っ込んで負った傷はなかなか癒えず、
太ももから足首にかけてパンパンに腫れたまま。
土曜日は4本ハシゴするつもりだったけれど、本調子には程遠く。

人間の身体って不思議なものです。
汚い話で申し訳ありませんが、私は便秘知らずです。
1カ月の間に「出ない」日は1回あるかないか。
仕事中に水分を大量に摂取するため、「小」のほうも頻繁(笑)。
ところが、右脚を負傷してからの数日間、どっちも出ない。
身体が水分や栄養分を負傷箇所に回そうとしているのか。
なんか好きだなぁ、こういう「身体が全力で治そうとしている」という感覚(笑)。
手湿疹の酷いときもそれを思いっきり感じました。

で、まぁ、腫れはたいして引いていませんが、
便通および排尿回数が普通になってきたので、快方に向かっていることがわかります。
しかし病院へも行かんとこうして痛みに耐える、もうこりゃマゾですね(笑)。

話を戻して。本調子ではないから、4本ハシゴは断念。
1本あきらめて、午後から3本観ました。そのあと普通に晩ごはんに行ったけど。
これはその1本目、シネ・リーブル梅田にて。

『エクソシスト』(1973)で描かれた「悪魔祓い」、いわゆる“エクソシズム”。
イタリア・シチリア島のカタルド神父は、悪魔祓い師(=エクソシスト)。
彼の教会へは、悪魔に取り憑かれたと信じる人々が連日相談に訪れています。
カタルド神父とさまざまな信者の姿に密着したドキュメンタリー。

なんというのか、ビミョーです。
こんなことを言うのは罰当たりなのでしょうが、いろいろ信じがたい。

確かに何かに取り憑かれたように暴れ苦しむ人もいますが、
それが悪魔憑きなのか病の発作なのか。
また、信者の相談内容が「子どもが言うことを聞かなくて困る」だったりして、
神父の返答は「悪魔のせいだ」とか、「母親の信心が薄いせいだ」とか。
反抗期の子どもにはすべて悪魔が憑いているとでもいうのかしらん。
電話でお祓いなんてのも個人的にはあり得んし。

わからん、あり得んと思いながら観ていたわけですが、
世界的には悪魔祓い師の需要は急増している様子。
イタリアの大学には「悪魔祓い師養成講座」もあるのだとか。
その講座は聴講してみたい気もしますね。

お祓いや相談に対する報酬の有無が気になるところ。
無料ならば立派なものですけれど、
いろいろと疑ってしまう私は信仰心が薄い。(--;

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『ジャスティス・リーグ』

2017年12月04日 | 映画(さ行)
『ジャスティス・リーグ』(原題:Justice League)
監督:ザック・スナイダー
出演:ベン・アフレック,ヘンリー・カヴィル,エイミー・アダムス,ガル・ガドット,
   エズラ・ミラー,ジェイソン・モモア,レイ・フィッシャー,ジェレミー・アイアンズ他

前述の『火花』とハシゴ。同じくTOHOシネマズ伊丹にて。
めっちゃ期待の高まる予告編だったので、楽しみで楽しみで。

『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)で、
みずからの命を犠牲に世界を救ったスーパーマンの行動を目にした“バットマン”ことブルース・ウェイン。
スーパーマン亡き世界が滅亡の危機を迎えた今、
ほかのスーパーヒーローたちを集め、信頼を築いて共に戦いたいと考える。

ブルースがまず声をかけたのは、アマゾン族の王女、“ワンダーウーマン”ことダイアナ・プリンス。
その後、彼女と手分けして、水を操るアトランティス人、“アクアマン”ことアーサー・カリー、
超高速で活動する大学生、“フラッシュ”ことバリー・アレン、
死後に科学者である父親によって甦らされた“サイボーグ”ことビクター・ストーンを招集。
世界を闇に突き落とす力を持つマザーボックスを求めて地球へとやってきたステッペンウルフと対決する。

この手のスーパーヒーロー勢揃いの作品って、“アベンジャーズ”同様、
何をやっているのだか正直言ってようわからん。だけど面白いんだなぁ。

メンバーそれぞれの良さがありますが、
今回の私のお気に入りはなんと言ってもフラッシュ。
フラッシュ役のエズラ・ミラーは、映画初主演作の『少年は残酷な弓を射る』(2011)が衝撃的でした。
こんな生まれながらに悪の資質を持った少年を演じたら、
実生活に影響が出ないのか心配したほど。
『ウォールフラワー』(2012)を観て若干安心しましたが、
本作を観ればもう心配無用という感じ。

書くことあんまりないけれど、めっちゃ楽しい。
早く続編を観たい!

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『火花』

2017年12月03日 | 映画(は行)
『火花』
監督:板尾創路
出演:菅田将暉,桐谷健太,木村文乃,川谷修士,三浦誠己,
   加藤諒,高橋努,日野陽仁,山崎樹範他

命けずって映画と飲み会のハシゴをした翌日、勤労感謝の日。
さすがにもう家でおとなしくしていようかと思ったけれど、
目は覚めるんですよねぇ、普通に。

半年前に原作を読みました。そのときのレビューはこちら
芥川賞受賞作品というのは私にとっては難解なことが多く、
あまり進んでは手に取りません。
本作は話題性に惹かれて文庫化のさいに読んだものの、
いまいちピンとは来なかったというのが読了時の素直な感想。
なにしろ本文よりも受賞記念エッセイのほうが面白いと思ったぐらいですから。

そんなこんなで、さほど期待はせずに観に行きました。
TOHOシネマズ伊丹にて。

昔ながらの友人同士で漫才コンビ“スパークス”を組み、
お笑い芸人となった徳永(菅田将暉)と山下(川谷修士)。
東京の事務所に入ったものの、鳴かず飛ばずの日々。

ある日、営業先の熱海で花火大会の余興に出演中、
地元の不良にヤジを飛ばされるが、何も言い返せない。
悔しい思いで舞台から降りたところ、
仕返ししたるわと言って舞台に上がったのが先輩芸人の神谷(桐谷健太)。

神谷は同じく漫才コンビ“あほんだら”を大林(三浦誠己)と組んでいる。
その人間性と型破りな芸風に魅せられた徳永は、神谷に弟子入りを志願。
思いのほかあっさり、「ええよ」との返事。
弟子入りの条件は、神谷のことを決して忘れないということ。
神谷に関する日々のことを伝記として書き綴ってほしいというのだ。
徳永は東京、神谷は大阪、離れていても徳永は約束を忘れず、神谷について書き続ける。

やがて神谷も上京、キャバ嬢の真樹(木村文乃)の部屋へ居候。
神谷はやることがあまりに無茶苦茶で、一向に売れる気配がない。
それとは対照的に、徳永は少しずつ売れはじめ……。

板尾創路がメガホンを取った本作はとてもわかりやすく、
わかりやすい分、さして心に残ることはなく流れていきます。
と思ったら、最後の漫才には思いっきり泣かされました。
ちょっとどうしようかと思うぐらい(笑)。
菅田くん、やっぱりすごいです。

TVドラマ版もあったようですが、そちらは未見。
徳永を林遣都、神谷を波岡一喜、真樹を門脇麦が演じ、
各話の監督が異なっていたのが面白い。
総監督を務めた廣木隆一監督にはさほど興味は湧きませんが、
白石和彌監督と沖田修一監督の作品は観たいなぁ。

三浦誠己演じる大林の台詞がよかった。
「芸人に引退はない」。
この台詞に涙する芸人さんは多いはず。
芸人に対する見る目は変わります。

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2017年11月に読んだ本まとめ

2017年12月02日 | 映画(番外編:映画と読み物)
11月はちょっと息切れ。
12月は年賀状も書かなあかんし、きっとあんまり読めんやろなぁ。

2017年11月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4680ページ
ナイス数:1326ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■猿の悲しみ (中公文庫)
異色の主人公。殺人の前科あり、16歳のときに産んだ息子を持つ元ヤンキーの女性。世話になった弁護士の事務所に表向きは事務員として勤めているけれど、解錠その他、元不良らしいさまざまな特技を駆使した裏稼業専門。著者の作品ではおなじみの、挑発的な物言い、いわゆる「ワイズクラック」な話し方が今回はなりをひそめているものの、会話のテンポのよさは相変わらず。複数の仕事が最後に絡み合うのかと思ったらそうではないのがちょっぴり残念ですが、クールなシングルマザーのハードボイルドといった風情で飽きさせません。シリーズ化、歓迎。
読了日:11月03日 著者:樋口 有介
https://bookmeter.com/books/9771663

■クリスマスを探偵と
書店の棚の目立つところに「著者サイン本」の文字があり。大学生のときに書いた短編のあらすじをもとに書き上げた小説に、イタリアの漫画家の絵を添えたとのこと。釣られて買ってみました。浮気調査のため、ある人物を尾行中の探偵。時間つぶしの公園のベンチで、隣に座った男から話しかけられる。読むうちに、世の中はいろんな可能性に満ちているのだということ、そしてそれは素晴らしいことだと思わされます。どうせ可能性を考えるなら前向きなほうがいい。サンタクロースを信じたくなりました。著者の作品としては粗いけれど、やはり非凡な人。
読了日:11月05日 著者:伊坂幸太郎
https://bookmeter.com/books/12316930

■泥棒役者 (角川文庫)
数年前からマイブームの作家がノベライズに手を出してしまうなんて。やはりオリジナル作品で勝負してほしいなぁと、テンションもハードルも下げ気味で本を開く。関ジャニ丸山くん演じる主人公は、かつての不良仲間に脅されて、泥棒の手伝い。空き巣のはずが主が在宅、勘違いから起こるドタバタ喜劇。オリジナル作品のような読み応えはないけれど、この映画ならごっつ面白そうな気はします。ハードルを下げていたせいか、そこそこ笑ってしんみりも。市村正親ユースケ・サンタマリア高畑充希と共演陣も楽しそう。来週公開の映画への期待が膨らむ。
読了日:11月06日 著者:三羽 省吾
https://bookmeter.com/books/12309817

■絶叫委員会 (ちくま文庫)
いろいろなところから言葉を拾う。拾われた言葉たちを発した当人たちはごく真面目というのも可笑しい。私にも覚えがあります。姑の「ペットボルト」とか。上司の「とうきゃー」(「そうか東京は」と言おうとした模様)とか。いつぞやのラジオでは、公務員が下着泥棒をしたというニュース。アナウンサーが「動機について、ムラムラした、とのことです」。真面目がワラける。鮨屋で〆に穴子か鰻か迷って注文したら、「あなぎ」と言ってしまったことも。鮨屋の大将が「うおっ、合体しとるがな」ときっちり拾ってくれました。拾い拾われる言葉の楽しさ。
読了日:11月08日 著者:穂村 弘
https://bookmeter.com/books/6852450

■メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)
たかだか300頁足らずの文庫本を開くのに、なぜにこんなに緊張せなあかんのか。先月読んだ『ダイナー』は、顔がすっぱいおばあちゃんみたいになりつつも衝撃的に面白かったため、今月も平山さんを。彼の著作の中ではグロ度低そうなものを選んだけれど、のっけから頭上で犬をぶん回し。「俺」が近づくのは、自分の3人の子どものうち末っ子の首を切断した女。変態度が高すぎる。ついていけんわと思うのに、ハードボイルドな世界に没入。平山さんの作品を読むと、主人公の声をジェイソン・ステイサムに当ててしまう私です。日本語なのになんでやろ。
読了日:11月09日 著者:平山 夢明
https://bookmeter.com/books/489998

■映画じゃない日々 (祥伝社文庫)
連作短編というのはよくあるけれど、これは「同じ日の同じ映画館の同じ回を観ていた」7人と、スペシャルゲストとでもいうべき8人目、という形が面白い。同じ映画を観ても、退屈な人もいれば良かった人も。しかも良かったと思っているのにそう言えない人も。立場の異なるどの女性も大なり小なり鬱屈した思いを抱えていて、心に残る言葉や琴線に触れるシーンはそれぞれ違う。読んでいて時折イライラさせられるのは、きっとそんな部分が自分にもあると気づくから。あ、私は映画はひとりで観たいです。映画館で年間250本、99%ひとりです(笑)。
読了日:11月11日 著者:加藤 千恵
https://bookmeter.com/books/5513167

■IT〈1〉 (文春文庫)
映画版を封切日に観に行きました。映画の上映中に停電という、ホラー顔負けの体験をしましたが(笑)、『スタンド・バイ・ミー』を思わせる良作。で、長年積んであった原作に着手。映画版が子ども時代の話に特化しているのに対し、原作は大人になった彼らが昔を回想するつくり。話が行ったり来たりするうえに、住民フルネームで総出演みたいな感じだからややこしい。しかも映画版は切なくも素敵なエンディングだったのに、原作の大人になった彼らが全然幸せそうじゃない(泣)。私同様に感じた人は、公開中の映画版をご覧になることをお勧めします。
読了日:11月14日 著者:スティーヴン キング
https://bookmeter.com/books/533952

■本日は大安なり (角川文庫)
毎年11月になったら読もうと思い続けて3年。今年こそ。11月の大安、老舗の高級ホテルで結婚式4つ。それぞれの関係者目線で語られる群像劇。あ〜、もう嫌だ嫌だ、器のちっちゃい奴、性格悪い奴だらけ。イライラし通しの中、叙述トリックも見え隠れ。まんまと騙されて、なんや意外に素直やん、私(笑)。終盤は、プランナーの言葉を借りるなら、「不覚にも涙が出そうに」、いえ、私は涙が出そうじゃなくて出ました。辻村深月の作品は私にとっていつもこんな感じ。嫌で嫌でたまらないのに読まされて、最後はグッとくる。だから絶対やめられない。
読了日:11月16日 著者:辻村 深月
https://bookmeter.com/books/7912535

■夢をかなえるゾウ2 文庫版
3カ月ちょい前に第1弾を読み、小栗旬主演の『男の成功編』と水川あさみ主演の『女の幸せ編』のDVDをレンタルして制覇しました。この第2弾は『女の幸せ編』かと思ったら全然ちがった。第1弾がわかりやすく毎日のお題のようになっていたのに対し、第2弾はもっと普通に小説、お題も話中にしらっと。第1弾を読んでいなければもっと楽しめたと思うけど、どうも二番煎じの感が否めません。とはいうものの、前作を読んでいたからこその楽しさもあり。女好きの釈迦がちょっとキモい(笑)。第3弾の盛り返しに期待。やりたいことをやればいいのだ!
読了日:11月19日 著者:水野敬也
https://bookmeter.com/books/8518003

■居酒屋ふじ (講談社文庫)
まったくのフィクションかと思ったら、中目黒の居酒屋がモデル。著者やドラマ版主演の大森南朋ほか、大勢の有名人がかよう店なのだそうです。通りすがりに目について入ってみたら、とんだアウェー感。なのに店の「おやじ」やら常連客から好き放題いわれて、毎回もう二度と来ないと誓うのに、引き寄せられてしまう。波乱万丈のおやじの人生を私も目の前で聴かされている気分になりました。おやじの笑い方だけは苦手だけど(笑)、このあいだ読んだ『バー・リバーサイド』より、この『居酒屋ふじ』のほうが断然かよいたくなる店。一歩先行く反面教師。
読了日:11月21日 著者:栗山 圭介
https://bookmeter.com/books/11917039

■泥棒役者 (角川文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】大好きな著者だから、ノベライズよりオリジナルを書いてほしかったなぁと思いつつもそこそこ笑い、映画版はさらに楽しかろうと期待していました。どの登場人物もキャラが立っていて楽しい。市村正親のハマリ度は言うまでもなく、想像以上に可笑しかったのはユースケ・サンタマリア。空気の読めない訪問販売員が空気を読んで活躍するとき。西田征史監督の前作をご覧になった方にはわかる、小野寺姉妹がちらりと顔を見せるという嬉しいオマケ付き。ほんとに「ちらり」、後ろ姿のみ。こういうお遊び、好き。
読了日:11月23日 著者:三羽 省吾
https://bookmeter.com/books/12309817

■火花 (文春文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】芥川賞受賞作品は私には難解なことが多く、これも話題性に惹かれて読んだものの、いまいちピンと来なかったというのが原作読了時の素直な感想。映画版はもっとわかりやすい分、著者が感じてほしい何かを感じられる作品に仕上がったかどうかは疑問。小難しくないから、スーッと通りすぎてそのまま終わりそうなところ、スパークス最後の漫才にはまんまと泣かされました。菅田くん、やっぱりいい俳優。落語で泣いた経験はあるけれど、漫才で泣いたのは初めて。芸人に引退はない。芸人を見る目は変わります。
読了日:11月24日 著者:又吉 直樹
https://bookmeter.com/books/11293635

■メグル (創元推理文庫)
北海道とおぼしき大学。学生にアルバイトを斡旋する奨学係。女性職員は整った顔立ちながら無表情で不気味。必要最小限のことしか話さない。けれど、彼女に「あなたは行くべき。断らないで」と言われると、なぜか誰もが引き受けてしまう。こうしてアルバイトをすることになった5人の学生を描く連作短編集。ただ1人、彼女から奨められなかったのに職を求めた学生の章のみ、異色のホラー仕立て。それ以外はファンタジー風もありリアル風もあり。いくつかの章で涙が溢れ出ました。人との繋がりを大切に思わずにはいられない物語。私はとても好きです。
読了日:11月25日 著者:乾 ルカ
https://bookmeter.com/books/6999358

■日本人のすがたと暮らし: 明治・大正・昭和前期の身装
手前味噌ながら、本書の出版にたずさわりました。明治から昭和前期にかけての「身体と装い」に関する事象をテーマ別に取り上げています。服飾のみならず、たとえば入浴や排泄に関する問題も。具体的には例えば、その頃の女性が日に何度もトイレに行くのは行儀が悪いとされた話なんてのもあります。膀胱炎になるっちゅうねん。裸はハレンチという時代、展覧会で裸体画が取り締まられた話など、上品ではあるけれどいわゆる「下ネタ」が、出版に至るまでに読んでいて楽しかったということを白状します(笑)。当時の新聞や雑誌の挿絵も見ていて楽しい。
読了日:11月28日 著者:大丸 弘,高橋晴子
https://bookmeter.com/books/11289015

■光 (集英社文庫)
公開中の映画版を鑑賞後、こんなバイオレンスな三浦しをんがいたのかと驚いて書店に直行。キャストも併記します。津波に遭った離島の生き残り3人。信之(井浦新)、輔(瑛太)、美花(長谷川京子)と、信之の妻(橋本マナミ)を巡る物語。子役と大人役のイメージが異なるために結び付けづらく、長谷川京子と橋本マナミは入れ替わっていてもよかったような気が。暴力的でエロティックで暗鬱な雰囲気がまとわりつきます。やさぐれた輔を瑛太が好演、原作読了後も共感を持てるのは彼のみ。あとは全員の不幸を願ってしまうほど。一方通行の愛が悲しい。
読了日:11月29日 著者:三浦 しをん
https://bookmeter.com/books/7364122

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