夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈な行〉

2024年12月29日 | 映画(な行)
《な》
『何がなんでも!遺産でリッチ』(原題:Ricchi a Tutti i Costi)
2024年のイタリア作品。Netflixにて配信。
高校時代の同窓会に出席したアンナは、40年前の当時に恋人だったヌンツィオと再会。
劇場を所有するヌンツィオは、アンナの母親で女優のジュリアナを紹介してほしいと言う。
高齢のジュリアナにはとんと仕事の話などなかったから喜ぶに違いない。
ヌンツィオに感謝するアンナだったが、ある日、ジュリアナから家族に召集がかかり、赴いてビックリ。
アンナと夫カルロ、息子エミリオ、娘アレッサンドラの4人共、てっきり遺産相続の話だと思っていたのに、
ジュリアナは恋人ができたので結婚すると言う。しかもその相手は30歳以上も下のヌンツィオ。
遺産が狙われていると考えたアンナたちは、挙式のために訪れるスペインでヌンツィオを殺す計画を立てて……。
600万ユーロ(約9億5千万円)もの金を持っている婆ちゃんが死ぬのをみんな待っているのに、
その婆ちゃんがうんと年下のいかにも遊び人の男を連れてきたらどうしますか。
家族が今までにないくらい一致団結して殺害の計画を練る様子はあんまり笑えない。
結局、婆ちゃんは何もかもわかっていて、アンナにだけは打ち明ける。
ヌンツィオとの生活を始める前に600万ユーロはすべてアンナの口座に移すこと。
それをヌンツィオには言わずにおけば、彼は金目当てにジュリアナのそばに居続ける。
余生を楽しみたいからこうするのよと。
アンナは夫や子どもたちにもこの事実を伏せたままエンドロールへ。
さて、この先どうなるでしょうね。
お金を持ちすぎるのも考えものだなぁ。ちょうどいいのはいくらぐらい?
 
《に》
『日本で一番恐くない間取り』
2023年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
自殺や他殺、孤独死により、国内の物件のほとんどが事故物件になった近未来。
日本で唯一の「無事故物件」となった部屋の住人・山田(大坂健太)のもとへ、
さまざまなメディアがインタビューに訪れて山田は大迷惑。
職場にもひっきりなしに人が押しかけるせいで山田はクビになり、フリーターに。
そんな山田の部屋で金を儲けようとする不動産屋・根津(ヤマダユウスケ)は、
亡き夫の幽霊に怯える大富豪・富良野(広山詞葉)に売りつけることを思いつく。
家賃10万円で入居中の山田に退去費用として2,100万円を提示し、この部屋をオークションに出せば20億円で売れる。
しかし根津の思惑に気づいた山田は頑として退去しようとしない。
根津は社員の桧山(エアコンぶんぶんお姉さん)を使うなどして山田に嫌がらせを繰り返すのだが……。
唯一の無事故物件というのがいわゆる文化住宅の一室。
豪邸に住む富良野がこんな部屋に住めるのかどうかは疑問だけど、
世間はとにかく「誰も死んだことのない部屋」に住みたいと願うのですね。
バカバカしいと思いつつも、唯一の無事故物件の価値が高騰するという設定は面白い。
オチには意外な切なさもあり、ホントに意外。
鳴瀬聖人監督って知らなかったけど、『温泉しかばね芸者』(2018)も気になります。
 
《ぬ》
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
2022年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
これが長編商業デビュー作となる金子由里奈監督。脚本は実兄の金子鈴幸と共同で執筆。
父親の金子修介も映画監督という映画一家なんですね。
原作は大前粟生の同名小説で、立命館大学出身の金子監督が京都の大学を舞台に撮る。
七森剛志(細田佳央太)は入学した大学で麦戸美海子(駒井蓮)と出会って意気投合。
一緒に“ぬいぐるみサークル”なるものを見学に行く。
ぬいぐるみを作るサークルだとばかり思っていたが、実はぬいぐるみとしゃべるサークル。
誰かに聞いてほしい悩みや思いをぬいぐるみに向かってしゃべるのだ。
見学に来たものの、気味悪がってドン引きする新入生も多いらしいが、麦戸は肯定的。
かつて拾ったぬいぐるみを大切にしている七森も当然のごとく入部する。
ひとりでやってきた同じく新入生の白城ゆい(新谷ゆづみ)も入部を決めて……。
“ぬいサー”のルールは、それぞれがぬいぐるみに話している内容に聞き耳を立てないこと。
「男らしい」とか「女らしい」とか、恋愛感情についてもよくわからずにいた七森は、
高校時代に親しかった女性からコクられて振ってしまったことがトラウマ。
そんなことをつぶやいても咎められず、変だとも言われず、“ぬいサー”にいれば安心。
一方の白木はぬいぐるみにしゃべらない。自分がぬいぐるみになると思っています。
ゆるゆると進む「いい話」ではあるけれど、社会に出たときの彼らは心配。
 
《ね》
『ネルマ・コダマ:闇マネーの女王』(原題:Nelma Kodama: The Queen of Dirty Money)
2024年のブラジル作品。Netflixにて配信。
ブラジル人女性のネルマ・コダマと聞いたって私は初耳ですが、
南米史上最大の汚職事件と言われる“オペレーション・カー・ウォッシュ(洗車場作戦)”に関与したとされる闇ドル業者らしい。
闇ドル業者と聞いたところでまたまた私には何のことやらさっぱりわからないけれど、つまりは資金洗浄を請け負う人のようです。
歯科医の資格を持つネルマは経済的自由がほしい。
精肉業者の両親の会社で財務関係の仕事を受け持つうち、ドルを売れば儲かると知る。
社会的地位の高い人と知り合う機会に恵まれ、他人のお金を預かっては自分も儲けるように。
無類の靴好きで、1年間毎日ちがう靴を履けるほどの数を持っている。
また、車も7台所持していて日替わりで乗れるとドヤ顔。
宝石を身に着けない女性は裸でいるのも同然だと笑います。はい、そーですか。(^^;
驚くべきはこの事件で、議員やら判事やら、信じられない数の「偉い人」が関わっていて、金まみれ。
お金があるに越したことはないけれど、この人たち、じゅうぶんにお金持ちでしょうに。
ネルマが悪者にされたって全然同情はしませんが、男どもに上手く利用された感は否めません。
 
《の》
『NOCEBO/ノセボ』(原題:Nosebo)
2022年のアイルランド/イギリス/フィリピン/アメリカ作品。TSUYAYA DISCASにてレンタル。
子供服のデザイナーとして活躍するクリスティーン(エヴァ・グリーン)は、
ある日、ダニだらけの不潔で不気味きわまりない犬に襲いかかられる幻影を見る。
以降、手に震えが出るなど体調不良に見舞われ、キャリアは一旦ストップ。
そんなとき、フィリピン人の女性ダイアナ(チャイ・フォナシエ)が住み込みの家政婦としてやってくる。
雇った覚えはなかったが、物忘れの傾向もあるクリスティーンは、自分がいつのまにか約束したのだろうと納得。
夫のフェリックス(マーク・ストロング)は露骨に嫌な顔をし、一人娘のボブス(ビリー・ガズドン)もダイアナを無視。
しかし、超自然的な能力を持っているというダイアナから民間療法を施されると、クリスティーンの体調が明らかによくなる。
クリスティーンがダイアナに信頼を寄せる一方でフェリックスは不信感を募らせ、
学校では嫌われ者、両親にも不満を持つボブスはダイアナに心を開きはじめて……。
ダイアナの復讐劇であろうことは中盤に予測できますが、これがまた凄絶。
クリスティーンはかつてフィリピンの工場に子供服の縫製を注文していました。
安い給料で大量に頼むせいで、従業員たちは激務を強いられたうえに、
現地の人を信用していないクリスティーンは工場に鍵をかけて物を持ち出せないようにする。
ダイアナにはボブスと同じ年頃の娘がいたけれど、預ける場所も金もないから工場に連れてきていて、火事に遭ったという。
炎に包まれた娘を助けることができず、クリスティーンを激しく恨みます。
恨まれている当人は自分のせいで異国の縫製工場に災難が起きたことを覚えてもいない。
監督は『ビバリウム』(2019)のロルカン・フィネガン。不穏な空気を描くのが上手い。
虫が首にめり込むなど、相当不快なシーンがありますのでご注意を。

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今年観た映画50音順〈た行〉

2024年12月28日 | 映画(た行)
《た》
『ターゲット 出品者は殺人鬼』(英題:Don't Buy the Seller)
2023年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
インテリアデザイン会社に勤める女性スヒョン(シン・ヘソン)は引っ越したばかり。
この機会に洗濯機を買い換えることにするが、なにしろ今はお金がない。
できるだけ安く入手したいとフリマアプリで物色し、手頃な値段の洗濯機を見つけてポチる。
売主は海外転勤になったため家具や電化製品を処分しつつあるらしい。
ところが届いた洗濯機は不良品だったものだから、スヒョンは憤慨。
苦情を言おうにも売主のアカウントが見つからなくてイライラ。
執念で追跡した結果、同じ文言の出品者にたどり着き、「この人は詐欺師です。買っては駄目」と書き込む。
スッキリした気分になっていたのに、その直後に出品者からメッセージが届く。
負けるものかと応酬すると、身のまわりで不気味なことが起こりはじめ……。
手始めに、注文していない料理が次々に届きます。
留守中に誰かが侵入した気配があったりもして、めちゃめちゃ怖い。
相談に行っても警察はなかなか取り合ってくれないけれど、
そもそもスヒョンが明らかに変な奴を煽るような真似をしたら駄目だよぉ。
やっと動いてくれた刑事(キム・ソンギュン)と出品者の部屋を見に行ってみたら、
キムチ用の冷蔵庫からその出品者の死体が出てきて絶叫。
出品者になりすました連続殺人鬼を相手にしていたわけで。
結局、親身になってくれた刑事はふたりとも死んじゃう悲しい結末。
フリマアプリで買い物するときは用心しなきゃですね。
 
《ち》
『違う惑星の変な恋人』
2023年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
美容室に勤めるむっちゃん(璃子)は、恋人もいなければ友だちもゼロだったが、
先輩のグリコ(筧美和子)と音楽の趣味が同じとわかって意気投合。
グリコがつきまとわれているという元カレ・モーくん(綱啓永)ともなんとなく親しくなる。
ある日、グリコから紹介された音楽プロデューサー・ベンジー(中島歩)にひと目惚れ。
恋愛経験のないむっちゃんは、アプローチの仕方についてモーくんに相談するのだが……。
オフビートな感じが楽しくて、しばしば笑ってしまいました。
モテるベンジーはシンガーソングライター・ナカヤマシューコ(みらん)とそれなりの関係。
けれどベンジーは実はグリコのことが好きで、
モーくんをストーカーのように言うグリコは実はまだモーくんのことが好き。
むっちゃんの相談に乗っているうちにモーくんはむっちゃんのことを好きになり、
どうしようもない四角関係なんですが、それでドロドロになることはありません。
スポーツバーサッカーの観戦をしながら4人で建設的に見えなくもない話し合いをするラストも笑えます。
 
《つ》
『罪深き少年たち』(英題:The Boys)
2022年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
『権力に告ぐ』(2019)のチョン・ジヨン監督が“サムレナラスーパー事件”を基にして。
1999年のある夜、完州郡参礼(サムレ)の小さなスーパーに3人組の強盗が押し入る。
就寝中の女性ユン・ミスク(チン・ギョン)とまだ幼い娘、ミスクの70代の母親が縛られ、
3人が金品を物色する間に、鼻と口をふさがれた母親は死んでしまう。
人を殺すつもりはなかった3人組は狼狽してすぐさま逃走する。
1週間も経たぬうちに逮捕されたのは近所に住む少年3人で、うち1人は知的障害あり。
3人は犯行を自供して収監され、事件は終わったと誰もが疑わなかったが、
ここに異動してきたばかりの刑事ファン・ジュンチョル(ソル・ギョング)は、
真犯人を知っていると連絡してきた青年に会い、冤罪を確信する。
しかし、ジュンチョルとその部下パク(ホ・ソンテ)が再捜査に乗り出すと、
事件を解決したとして一気に昇進したチェ・ウソン(ユ・ジュンサン)や
担当検事だったオ・ジェヒョン(チョ・ジヌン)からさまざまな嫌がらせを受けるように。
逮捕された少年3人は拷問に怯えて自分たちがやったと言い張る。
結果、冤罪を証明することは叶わず、ジュンチョルも日陰に追いやられたまま15年が経過。
あのときの少年たちは出所してそれぞれ勤めているものの、元殺人犯のレッテルを貼られたまま。
定年間際となり、すっかりおとなしく暮らしていたジュンチョルだったが、
自分の証言のせいで少年たちの未来を潰したと悔やむミスクが弁護士(ハン・スヨン)を伴って来訪、再審請求すると言い……。
酷い事件です。警察組織ってこんなに腐っているんですかね。ここまでやるか。
書類や証拠を捏造して冤罪を生み出した刑事や検事は誰も処罰を受けていないとのこと。
ジュンチョルの妻役ヨム・ヘランと娘役のチョン・イェジンが最高。
こんな奥さんと娘がいたら、がんばれるよねぇ、お父さん。
 
《て》
『ティアーズ・オブ・ブラッド』(原題:Entre la Vida y la Muerte)
2022年のベルギー/フランス/スペイン作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
監督のジョルダーノ・ジェデルリーニは、ラジ・リ監督の『レ・ミゼラブル』(2019)の脚本家。
ブリュッセル地下鉄の運転士を務めるレオ。
ある日、レオが運転する車両に飛び込んで自殺を図ったのは、ほかならぬ彼の息子ユーゴだった。
間一髪、緊急停車してユーゴを轢かずに済んだものの、
どこで撃たれたのかユーゴには銃創があり、手術中に死んでしまう。
その後、ユーゴが強盗事件に関わっていたことがわかる。
ユーゴが属する犯人グループに潜入して捜査中だった刑事ラルフが行方不明のままで、
ラルフの同僚で恋人でもあるヴィルジニーはレオが何か隠していると直感。
どうやら強奪した金をユーゴが持ち去ったまま死んだらしく、
逃亡中の犯人2人がレオを襲い、金の隠し場所を突き止めようとする。
犯人と警察の両方から狙われる身となったレオだったが……。
ほとんど期待せずに観たらかなり面白いノワールアクションでした。
レオはもともとスペイン人で、訳あって政府に匿われ、改名までしてベルギーに来ています。
ヴィルジニーはレオのことをテロリストか何かだと推測するけれど、実は警察官。
悲しい過去があり、そのせいでユーゴとも離ればなれでいることを余儀なくされました。
ユーゴを撃った犯人を追う執念が実る最後には心が震える。
レオを演じるのはアントニオ・デ・ラ・トレ。ヴィルジニーの父親役で名優オリヴィエ・グルメも出演しています。
 
《と》
『トゥ・クール・トゥ・キル 殺せない殺し屋』(原題:個殺手不太冷静)
2022年の中国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
三谷幸喜監督の『ザ・マジックアワー』(2008)を中国でリメイクしたら大ヒット。
ギャングのボス・ハーベイは映画製作に出資を繰り返しているが、監督のミラーが撮る映画は赤字続き。
ミラーの姉は大物女優のミランで、ハーベイはミランが自分と結婚するなら借金を帳消しにしてもいいと言う。
しかしミランは絶対にハーベイと結婚したくない。
あるとき、有名な殺し屋カールがミランのファンであると聞いたハーベイは、カールを紹介するようミラーに強いる。
本当はカールのことなんて知らないし、ミランのファンであろうはずもないのだが、
誰もカールの顔を知らないのをいいことに、ミランとミラーは妙案を思いつく。
研究熱心だけど演技が大げさすぎて万年エキストラの役者ウェイを呼ぶと、
これは映画だと言い聞かせ、殺し屋カールの役を演じさせることに。
初の主演映画だと喜びはりきるウェイはカールになりきり、ハーベイとも血の杯を交わして……。
ミラン役のマー・リーは今年『抓娃娃(じゅあわわ) 後継者養成計画』でも見ましたが、オーラが凄い。
三谷作品は中国でリメイクするのにふさわしいのではないかと思いました。
というのか、三谷監督が撮るよりもむしろこっちのほうが面白い。笑ったな~。

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今年観た映画50音順〈さ行〉

2024年12月28日 | 映画(さ行)
《さ》
『最悪な子どもたち』(原題:Les Pires)
2022年のフランス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
リーズ・アコカとロマーヌ・ゲレの監督コンビは、これが長編デビュー作にして、
第75回カンヌ国際映画祭〈ある視点〉部門のグランプリを受賞したそうです。
フランス北部、治安の悪さで有名なピカソ地区で映画を撮ることになり、
監督のガブリエルは現地オーディションで選出した問題児たちに演技をさせる。
物語に登場するのは十代のカップル・ジェシーとリリ、そしてリリの弟ライアン。
オーディションを受けるも選ばれなかった子どもたちや、
選ばれたのに台詞もない端役であることを不満に思う子どももいて、
特にもともと「ヤリマン」と言われていたリリは嫌みを言われてばかりで……。
ドキュメンタリーだと思って観はじめたらモキュメンタリーでした。
キャストの子どもたちは実際にオーディションで選ばれた演技未経験者。
映画の中で「演技をする」という演技をする子どもたちが凄い。
この少年少女たちが今後も映画の世界で生きていくのかどうか、楽しみでありながらも無事を祈らずにはいられません。
 
《し》
『侵入者たちの晩餐』
2024年の日本作品。Netflixにて配信。
新春に放送されたTVドラマですが、映画として紹介することをお許しください。
家事代行サービス会社“スレーヌ”に清掃スタッフとして勤める田中亜希子(菊地凛子)は、
たまに顧客の家で一緒になる料理スタッフの小川恵(平岩紙)と親しくなる。
ある日の仕事帰りに2人で話し込むうち、スレーヌ社長の藤崎奈津美(白石麻衣)の話に。
グラビアアイドルの美人社長には脱税の噂があるらしく、
安い給料で働かされているのは納得が行かない、タンス預金を頂戴しに行こうと。
2人では心許ないと恵の友人でサスペンスドラマに詳しい江藤香奈恵(吉田羊)を誘い、
社長宅の合鍵を作ることに成功した3人は、社長のハワイ旅行中を狙って忍び込む。
ところが、タンス預金など見つからないばかりか、社長が慈善事業をおこなっていることが判明。
何も盗らずに一旦は退散した3人だったが、このままでは罪悪感が募る。
そこで亜希子の提案により、掃除をしに行こうと社長宅に戻る。
一見綺麗でありながら、サッシや排水溝、家具の裏に埃が溜まっている社長宅を磨き上げ、
冷蔵庫に積み上げられていた賞味期限間際のものも有効活用。
満足して引き上げようとしたところ、部屋の片隅に本物の空き巣・重松洋介(池松壮亮)が潜んでいるのを発見。
洋介を縛り上げていると、なんと社長が帰ってきて……。
ここにさらに登場するのが社長の元ファンだったコンシェルジュ・毛利貴弘(角田晃広)。
可笑しくてクスクス笑いが止まらない。キャストも完璧。
なんと面白い作品だったことか。バカリズムってやっぱり天才だと思いました。
 
《す》
『スペシャル・エージェント 特殊工作員』(英題:Special Agent)
2020年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
日本では何の情報もないのでたぶん劇場未公開。
国家情報院のエージェント、パク・ウォンチョル(イ・ジェユン)は、北朝鮮での任務を終えたばかり。
これで自由の身となるはずが、新たな任務のためにもう一度北朝鮮に戻れと言われる。
その任務とは、韓国人科学者“VIP”の暗殺。
VIPは生物兵器を開発して北朝鮮に拉致されており、そのVIPを消せと。
命令ではなく申し出だと言われて断ろうとすると、
ウォンチョルの一人娘(チェ・ジス)が問題を起こして鑑別所に収監されていると言う。
もしもウォンチョルがこの申し出を受け入れるなら、
娘が前科者にならないようにし、すぐに鑑別所から出所させると。
このように脅されては「申し出」を飲まざるを得ず、北朝鮮に入るウォンチョル。
VIPを見つけて殺そうとしたところ、VIPも娘を人質に取られていると知り……。
この手の作品はたいていスリル満点で面白いものですけれど、かなり地味。
ひたすら国境付近の地雷原で隠れて逃げて殺してが繰り返されるだけ。
アクション自体はキレがあっていいものの、退屈です。
やっとラスボスを倒して一件落着のいい話のはずが、エンドロールでラスボス復活!?
これで続編を作ろうとしているならツラすぎます。
 
《せ》
『世界が引き裂かれる時』(原題:Klondaik)
2022年のウクライナ/トルコ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
同年の東京国際映画祭での上映時は、原題のまま『クロンダイク』という邦題でした。
2014年に実際に起きたマレーシア航空17便撃墜事件を背景にした作品で、
メガホンを取るのはウクライナ出身の女性監督マリナ・エル・ゴルバチ。
ロシアとの国境近くにあるウクライナ・ドネツク州の小さな村。
出産を控えた妻イルカの体調を心配する夫トリクが病院へ連れて行こうとしたとき、家に砲弾が撃ち込まれて壁がぶち抜かれる。
怪我などはなかったものの、修復に取りかからざるを得なくなってしまう。
この村では親ロシア派と反ロシア派が激しく対立しており、誰がどちらなのか疑心暗鬼。
民間の航空機が撃墜される事件まで起こり、気が気ではなく……。
親族同士でも対立しているものだから、信頼関係が成り立ちません。
イルカの弟ヤリクは親ウクライナ派で、トリクは実は親ロシア派だということがわかる。
夫と弟が絶えず言い争うようになり、イルカはイライラ。
壁のない家でイルカがソファでひとり出産するラストシーンが衝撃的。
 
《そ》
『ソウェト・ラブストーリー 愛しの花嫁を探して』(原題:A Soweto Love Story)
2024年の南アフリカ作品。Netflixにて配信。
年末、教会での恒例行事を企画した女性ボンゲキレ。
彼女にはいい歳をした息子が3人いるが、揃いも揃って独身で嫁の来てがない。
行事を共同で仕切る女性ブリジットとは親しいものの、オイシイとこ取りをする彼女には時折腹が立つ。
さらにはブリジットの娘が医者と結婚したと得意気に話すから、内心イライラ。
ブリジットに張り合うボンゲキレは、次男が今晩恋人にプロポーズすることをバラしたばかりか、その店にみんなを招待。
ところがそれが見事に失敗してボンゲキレは悲嘆する。
息子たちをなんとか結婚させようと、最初に結婚した息子に家を譲るとボンゲキレは宣言する。
誰も結婚しないならば家は売りに出すと言われ、息子たちはとにかく一番に結婚して家をゲットしようとするのだが……。
長男メンジは料理人でレストランオーナー。母親が家を売れば、自分も店を手放すはめになります。
風来坊のように現れた女性シェフのディナに相談すると、見合い相手を次々に連れてきてくれる。
次男サンディレはかつてはヒット曲もあったミュージシャン。プロポーズ相手のセンテとよりを戻したい。
三男のスカイは服飾デザイナーでゲイらしい。カミングアウトせずにモデルでレズビアンのリンクスと偽装結婚を企てます。
最終的にはメンジはディナと、サンディレはセンテとくっつき、スカイはゲイではなくてブリジットの娘レモハンとデキていたというオチ。
そもそも嫁探しというのが今の時代には古いように思うけど、国によるのでしょうね。ハッピーエンドだったから良しとしたい。
メンジの店の厨房を見るのがいちばん楽しい程度でしたが、私には何語かわからん公用語と英語の使い分けが面白かった。

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今年観た映画50音順〈か行〉

2024年12月27日 | 映画(か行)
《か》
『神回』
2023年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
東映ビデオによる新プロジェクト“TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY”の第1回作品。
夏休みのさなかもさなか、お盆時でほぼ誰も来ていない高校。
文化祭の実行委員になった沖芝樹(いつき)(青木紬)と加藤恵那(坂ノ上茜)は、打ち合わせのため、教室で13時に待ち合わせる。
ところが、恵那が話している途中に樹が失神。目覚めるとまた13時に戻っている。
どうやら樹だけがタイムループに陥ったらしい。
このタイムループから抜け出そうと、さまざまな方法を試みる樹。
いつも同じ位置で窓を見上げている用務員が何か知っているのだろうと捕まえてみたり、
樹同様に校内を全速力で走っていた生徒会女子を問い詰めてみたり。
しかしいずれもほかにわけがあり、樹の勘違い。
死ねばタイムループから抜け出せるかと、校舎から飛び降りても失敗に終わる。
やがてヤケになった樹は、恵那を襲うことも考えるようになる。
どうにも状況は変わらないなか、自分たちが少しずつ歳を取りはじめたことに気づき……。
冒頭で今際のきわにいる老人(森一)の姿が映ることから、これが老いた樹であり、
終盤になると、タイムループの映像すべてが彼の妄想であることがわかります。
浮いた噂ひとつもなく、生涯独身でおそらく生涯童貞のままだった樹が願っていたのは、
初恋の恵那と一緒に文化祭の実行委員になって、ずっとふたりきり、教室で過ごすこと。
ちょっとキモかったりもするし、果たして幸せだったのか問いたくなります。
そもそもこのタイムループの中に「神回」と呼べるものがないやんか。
 
《き》
『貴公子』(英題:The Childe)
2023年の韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
『悪魔を見た』(2010)の脚本家で、監督第2作の『新しき世界』(2013)が評価されたパク・フンジョン。
“The Witch/魔女”シリーズも同監督によるもの。面白いじゃあないか。
マルコ(カン・テジュ)はフィリピン人の母親と韓国人の父親を持つハーフ。
しかし父親は誰かわからず、マルコはフィリピンで病気の母親の世話をしている。
地下格闘技のボクサーとして日銭を稼ぐも生活が向上することはなく、
容態が思わしくない母親のために父親を見つけて治療費を受け取りたい。
マルコがなけなしの金を払って父親の行方を突き止めようとしたところ、
驚くべきことに向こうからマルコを見つけにやってくる。
父親が会いたがっているからすぐに韓国に来るようにと言われたときには
すでにパスポートなど旅に必要なものがマルコに用意されていた。
半信半疑で飛行機に乗り込むと、見知らぬ謎の男(キム・ソンホ)が親しげに接してくる。
韓国に着くと、貴公子然としたその男に追いかけ回されるばかりか、
弁護士を名乗る女性ユンジュ(コ・アラ)に助けを求めると彼女からも命を狙われる。
徐々にわかったことは、マルコの父親はとんでもない金持ちで現在危篤状態。
マルコの異母兄ハン(キム・ガンウ)とハンの異母妹ガヨン(ヨン・ラエル)との間で相続を巡る争いが起きており、
ガヨンがすべて継ぐという遺書を書き直させるまで父親に死なれては困るハンは、
危篤の父親にマルコの心臓を移植させるためにマルコを連れてきたのだ。
麻酔を打たれて手術台に上げられたマルコを助けにきたのは敵だと思っていたあの貴公子で……。
キム・ソンホが超絶強いうえに可愛いイケメンで見惚れました。
しかも彼はまだ死なないらしく、続編を望みたい。
 
《く》
『クロス・ミッション』(英題:Mission Cross)
2024年の韓国作品。Netflixにて配信。
アジア2位を自負する凄腕の女刑事カン・ミソン(ヨム・ジョンア)。
幼稚園の送迎バスの運転手を務める夫パク・ガンム(ファン・ジョンミン)は、
多忙な妻に代わって家事のいっさいを執りおこなう主夫だが、
実は以前は特殊部隊要員だったことをミソンには隠している。
ある日、かつての同僚チャン・ヒジュ(チョン・ヘジン)から捜査への協力を求められ、
彼女の夫で同じく特殊部隊要員のキム・ジュンサン(キム・ジュホン)を救出することに。
てっきりガンムが浮気していると勘違いしたミソンは、上司や同僚の手を借りて追跡。
その過程でヒジュが国家的犯罪の黒幕であることが判明し、ミソンはそのアジトへと向かったところ、ヒジュに捕まってしまう。
一方、騙されていることに気づいたガンムもミソンの危機を知って現地へ。
ガンムとミソンはヒジュたち一味を一網打尽にするべく、奮闘するのだが……。
コメディ映画としてもアクション映画としてもいささか半端な気がするものの、
なにしろファン・ジョンミンですから、彼がいるだけで楽しい。
彼がエプロン着けて家事をする姿は今までなかなかなかったような。
ミソンのチームを見ていると、“犯罪都市”のような仲の良さで嬉しくなりました。
普通に面白い。
 
《け》
『結婚解消』(原題:Rozwondnicy)
2024年のポーランド作品。Netflixにて配信。
20歳そこそこのときに勢いで結婚したヤチェクとマルゴシアはとっとと離婚して20年が経過。
マルゴシアには再婚した夫と多感な年頃の娘アラがいる。
ヤチェクも恋人と婚約中なのだが、彼女が教会での結婚式を望んでいるらしい。
カトリックには「離婚」という概念がないため、民事で離婚していてもまだ夫婦のまま。
新たに挙式するためには、ヤチェクとマルゴシアがもう夫婦ではないことを証明しなければならない。
婚姻を無効にする手続きはすんなり終わるかと思いきや、
教会としては無効にはしたくないから、ふたりの関係を修復するために神父がああだこうだと言ってきて……。
カトリックの結婚観についてよく知らなかったものですから、目からウロコ。
わりと容易に婚姻無効を認めてくれる神父もいれば、頑として認めようとしない神父もいるそうで。
ヤチェクとマルゴシアを担当することになったのはもちろん後者。
ふたりが会うたびに今の伴侶が嫉妬して、反抗期のアラもマルゴシアに対して冷ややかな態度を取ります。
アラが通う学校で音楽教師を務めるマルゴシア。管弦楽団の演奏がとても楽しげでよかった。
鉄道の開業式をするために一旦その駅を廃駅にするというのにも驚いて笑ってしまった。
 
《こ》
『恋人はアンバー』(原題:Dating Amber)
2020年のアイルランド/イギリス/アメリカ/ベルギー作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
アイルランドの片田舎に暮らす高校生エディは、軍人の父親の期待に応えるべく、
入隊試験に合格するよう毎日訓練を欠かさずにいるが、なかなかキツイ。
同級生らの興味は異性とつきあうことしかなく、童貞のエディはからかわれてばかり。
そんなある日、レズビアンだという噂の同級生アンバーがエディに接近。
アンバーはエディに「アンタはゲイだ」と言い、お互いゲイであることを隠すために、
高校を卒業するまで恋人のふりをしようと提案してくる。
自分はゲイではないと言い張るエディだったが、ほかの同級生の手前、恋人がいるほうがイケている。
こうしてふたりはみんなの前でイチャついて見せつつ、不思議な友情を育んで行くのだが……。
保守的で閉鎖的な田舎町では、どんな話もすぐに広まる。
カップルの関係がどこまで進んでいるかなんてことはもちろん、同性愛者であることを教会で告解したら、それも広まるとは。
開き直るアンバーに対して、絶対に認めないエディ。
でも、母親だけはそんな息子に気づいているんですよね。
何も言わずに抱きしめるシーンが好きでした。
息子のほうは、母親に気づかれていることに気づいていないのですけれど。(^^;
エディ役のフィオン・オシェイの顔がちょっと苦手ではあるものの、佳作。

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今年観た映画50音順〈あ行〉

2024年12月27日 | 映画(あ行)
23回目となりました。恒例におつきあいください。
 
その日以前に劇場で観た作品についてはすべてUP済みだから、ここに挙げるのはそれ以外のDVDあるいは配信で観たものばかり。
好きだったとか嫌いだったとかは関係なし。
どれも今年レンタルや配信が開始されて視聴可能となった作品です。ネタバレ御免。
 
《あ》
『アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション』(原題:Alibi.com 2)
2023年のフランス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
開始後数分を観てから、見逃していた前作『アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー!な大騒動になった件』(2017)を鑑賞してからのほうがよさそうだと思い、
まずそちらをAmazonプライムビデオを観たのちに本作を。
アリバイ工作を請け負う会社“アリバイ・ドット・コム”は迅速綿密に立てた計画のもと、
常に依頼人の要望に応えてアリバイ工作を成功させてきたが、
社長のグレッグは前作で嘘が大嫌いな女性フローと運命的な出会いを果たし、
もう嘘はつかないと決めて“アリバイ・ドット・コム”を廃業する。
本作ではグレッグとフローの結婚が決まり、挙式に向けて話が進む。
しかし、両家の顔合わせをする段になり、グレッグは大弱り。
というのも、グレッグの両親はすでに離婚しているが、父親は詐欺師、母親はポルノ女優
こんな親をフローの親と会わせたら、間違いなく破談になるだろう。
そこでグレッグはかつての仲間オーギュスタンとメディと共に“アリバイ・ドット・コム”を再結成。
オーディションで雇った偽の両親を呼び、この局面を乗り切ろうとするのだが……。
笑えないフランスのコメディ作品も多いなか、監督と主演を務めるフィリップ・ラショーはかなり笑わせてくれる人。
期待値が高すぎたせいもあって、それほど大笑いというわけではなかったけれど、
この馬鹿馬鹿しさは憎めません。続編も作るんだろうなぁ。
 
《い》
『イン・ハー・プレイス』(原題:El lugar de la Otra)
2024年のチリ作品。Netflixにて配信。
1955年にサンティアゴで実際に起きた事件をモチーフにした作品。
著名な女流作家マリア・カロリーナ・ギールがホテルで恋人を射殺。
この事件を担当することになった判事の助手を務めるのは、ごく控えめな女性メルセデス。
自宅で写真館を営む夫の良き妻であり良き母親であるが、
マリアの自宅を調査する仕事に就くうち、その人柄に興味を持つとともに、
社会における女性の扱われ方に疑問を抱くようになり……。
マリアが恋人を殺したホテル・クリヨンがそもそも女人禁制ゆえ、
判事について行って現場を見ようにも、メルセデスにはホテルに入ることが許されません。
世の男性たちはもちろんのこと、夫も息子たちもそして義父母たちも、
女性の扱いについておかしいなんてことはまったく思っていない。
プレゼントひとつにしても、男性陣には彼らのほしいものが渡されるのに、
メルセデスには「壊れていた掃除機を直したよ。嬉しいだろ」って。
会ってもいないのに、マリアとメルセデスの間に生まれる絆。
今のチリってどんなふうですか。まだまだ家父長社会のままなのでは。
 
《う》
『うさぎのおやこ』
2023年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
地味に見えてその活躍は決して地味ではない上西雄大監督。
本作も2023年度のミラノ国際映画祭で外国語長編映画最優秀作品賞と主演女優賞をW受賞。
軽度の知的障害を持つ来栖玲(清水裕芽)は22歳だが、小柄なこともあって見た目はまるで子ども。
父親を亡くしてからは母親の梨加(徳竹未夏)も玲に手を焼き、半ばネグレクト状態。
玲の唯一の理解者だった精神科医の急死により、玲は孤立している。
そんなとき、後任となった精神科医の恵比寿(上西雄大)が訪れる。
最初は恵比寿に対して拒絶の意思を見せる玲だったが、次第に心を開きはじめる。
梨加から働けと言われた玲は仕事を探しに出ると、
そんな仕事とは知らずにデリヘルのバイトに応募し、契約書にサインしてしまい……。
玲を気にかける福祉課の職員役を古川藍が演じ、役者はほぼ上西組。
上西監督の作品は常に社会的弱者が主人公で、観ていてつらくなるものが多いけど、
本作は上映時間が90分を切る短め作品ということもあり、普段よりおとなしめで穏やか。
玲を助けるデリヘル嬢かな役の華村あすかが可愛かった。元グラドルなんですね。
 
《え》
『エレベーター・ゲーム』(原題:Elevator Game)
2023年のアメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
都市伝説を検証する番組を配信する若者のチーム。
学生時代に小遣い稼ぎのつもりで始めたことだが、今はスポンサーもついている。
そのスポンサーから逃げられそうになり、急いでネタを見つけることに。
番組のファンだというライアンが手伝いたいとやってきて、“エレベーター・ゲーム”を検証してはどうかと言う。
過去にエレベーターに乗ったきり行方不明の女性がいるというビルに侵入したチームは、
都市伝説“エレベーター・ゲーム”で噂される手順を踏んで検証することに。
まずエレベーターに乗り、4F→2F→6F→2F→10F→5Fの順で移動する。
5Fに着くと女が乗ってくるはずだが、見ても話しかけても駄目。目を瞑っていること。
扉が閉じたら1Fのボタンを押す。ゲームに成功していれば1Fに降りられるが、
もしも5Fで目を開けて女を見てしまった場合はエレベーターは上昇し、赤い異世界へ。
もしくは5Fの女に無残に殺されるらしく……。
ライアンが実は行方不明になった女性の兄で、妹のことを調べるためにチームへ来ました。
妹がチームのゲス男クリスに唆されてエレベーター・ゲームに挑戦した末、
それっきり行方がわからなくなったことを皆がが知ります。
5Fの女の正体は、かつてエレベーターの昇降路に閉じ込められて箱に粉砕された気の毒な女性。
いろいろと面白い要素はあって、それなりに怖かったものの、
手順を守っているのに結局異世界へ連れて行かれるし、ストーリーとして破綻気味。
最後まで生き残ると思われた常識的でいちばん信頼できそうなクロエも殺されて、バッドエンド。
とりあえず知らないビルのエレベーターに乗るのは怖くなるかも。
 
《お》
『オン・ザ・フロント・ライン 極限戦線』(原題:Myrnyi-21)
2023年のウクライナ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
“未体験ゾーンの映画たち 2024”にて上映。
2014年、ウクライナ南東部に位置するドンバス地方。
武装蜂起した親ロシア派とウクライナ政府軍の戦闘が繰り広げられている。
国境の防衛と人質の奪還を誓う政府軍の兵士たちだったが、親ロシア派が装甲車を用意して襲ってくる日も間近で……。
兵士たちのみならず、兵士の家族や恋人などの目線でも描かれています。
ボンクラ息子だと思っていたら、最期は仲間のために命を張ったことを知る父親とか。
外は凄まじい戦地と化していても子どもは生まれる。
『マリウポリの20日間』のように病院まで砲撃を受けることがないようにと祈るばかり。
ただ、深刻な話でありながら、娯楽色が強すぎる。
「本物の迫力&極限の緊迫感を体験する、注目の戦争アクション大作!!」と謳われても、
本物のロシアvsウクライナに思いを馳せることはとてもできません。

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