夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ドリーム・シナリオ』

2024年12月24日 | 映画(た行)
『ドリーム・シナリオ』(原題:Dream Scenario)
監督:クリストファー・ボルグリ
出演:ニコラス・ケイジ,ジュリアンヌ・ニコルソン,マイケル・セラ,ティム・メドウス,
   ディラン・ゲルーラ,ディラン・ベイカー,リリー・バード,ジェシカ・クレメント他
 
ニコラス・ケイジの顔を見たって仕方がないし、スルーするつもりでいたのですが、
アリ・アスター監督が製作に関わっているというのがどうにもこうにも気になります。
あと数日で上映終了という日に109シネマズ大阪エキスポシティにて鑑賞しました。
 
大学で進化生物学の教鞭を執るポール・マシューズは妻ジャネットと長女ハンナ、次女ソフィーの4人暮らし。
娘たちは多感な年頃で特にハンナは反抗期に突入しているが、それでもポールは良き夫、良き父親である。
 
ポールは学生時代から蟻の進化について研究を続けており、その分野では第一人者の自負がある。
ところが元同僚の女性が同じ分野で先に認められ、出版までこぎつけたと知り憤慨。
せめて著書に自分の名前も記してほしいと頼み込むが、あっさり断られる。
出版は自分の夢だったのに先を越され、妻と観劇に出かけても気もそぞろ。
 
その観劇のあと、何十年も前につきあっていた元カノと再会。
ジャーナリストの彼女は最近何度もポールの夢を見るらしく、それをブログ記事にしてもよいかと聞いてくる。
そういえば、娘のソフィーもこのところポールの夢を見ると言っていた。
 
やがて、ポールが教える学生たちや知り合いのみならず、多くの人の夢にポールが登場していると噂になる。
しかもポールは誰の夢に登場しても「何もしない人」。
夢を見ている人が誰かに殺されかけていても、天災に遭っても、ポールは何もせずに通り過ぎるだけ。
 
ポールは瞬く間に話題の人となり、メディアの取材も次々に舞い込む。
スプライトのCM出演の話も持ち上がり、これで本を出版する道が開けるのではとポールは小躍り。
 
ところがある日突然、みんなが見る夢に登場するポールが暴力的になる。
良くも悪くも何もしない人だったはずのポールに襲いかかられて恐ろしい思いをするのだ。
学生たちはポールを見ると怯えるようになり、授業を休止するように求められる。
また、娘たちの学校行事を観に行こうとすると断られて……。
 
夢に登場するポールが暴力的になったのはいつからなのかを考えてみると、ポールが若い女性モリーに誘われた後から。
ほかの人たちが見る夢では何もしないポールが、モリーの夢の中では彼女とヤッているらしい。
いままで浮気のひとつもしたことがなかったのに、誘われてそんなことになりかけます。
だけど上手くできなくて逃げ帰った後、人々が悪夢を見るようになるのです。
 
アリ・アスター監督が絡んでいるから、わかりやすいエンディングは望めません。
結局なぜポールが人々の夢に現れるようになったのか、暴力的になったのかはまったくわからず。
ただ、そのせいで干されたポールのおかげで、夢ビジネスが拡大していく。
誰かに夢を操作されるなんて嫌だけど、見てほしい人の夢に出るコツは面白いですね。
 
ワケのわからない作品ではありますが、面白かったことは否めない。
しかしこれを観に来ていたカップル2組、選択肢はほかになかったのかしらん。

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『はたらく細胞』

2024年12月23日 | 映画(は行)
『はたらく細胞』
監督:武内英樹
出演:永野芽郁,佐藤健,芦田愛菜,山本耕史,仲里依紗,松本若菜,染谷将太,板垣李光人,加藤諒,加藤清史郎,
   マイカ・ピュ,深田恭子,片岡愛之助,新納慎也,小沢真珠,鶴見辰吾,光石研,Fukase,阿部サダヲ他
 
キノシネマ心斎橋で『市民捜査官ドッキ』鑑賞後、シアタス心斎橋へ移動して。
 
原作、知りません。
『月刊少年シリウス』自体知らんけど、そこに2015年から6年間に渡って連載されていた清水茜の大ヒット漫画なのだそうです。
武内英樹監督がこんな錚々たるメンバーで実写映画化したらヒットは確約されている。
 
医学部入学を目指す高校生の漆崎日胡(にこ)(芦田愛菜)は父親の茂(阿部サダヲ)と2人暮らし。
母親を早くに亡くして以来、日胡は健康的な生活を心がけ、父親の体調も気にかけているが、
茂自身は酒もタバコも好きで食べ物に気を配ることもなく、不摂生な日々を送っている。
父親の健康診断の結果を見た日胡は、一刻も早く病院で診てもらうよう茂にきつく声をかける。
 
ところがある日倒れたのは日胡のほう。
憧れの新先輩(加藤清史郎)とデートにこぎつけ、新から交際を申し込まれて有頂天になってからまもない日のこと。
急性骨髄性白血病との診断結果に恐れおののく日胡を茂と新は懸命に励ます。
 
そんな日胡の体内では、赤血球(永野芽郁)、白血球(佐藤健)、キラーT細胞(山本耕史)、
NK細胞(仲里依紗)、マクロファージ(松本若菜)、ヘルパーT細胞(染谷将太)らが奮闘。
しかし白血球に憧れつつ白血球になれなかったバグり白血球(Fukase)が暴れ出して……。
 
期待していたほどには面白くなかったというのが正直なところ。
まぁこのキャストですから、それだけでも面白いんですけれど。
 
あっちは精子の擬人化ですが、いずれにせよ人体内であたふたするそれらの描写から懐かしく思い出す。
 
お腹が痛くなると体内ではどんなことが起こっているのか。
肛門を開門するとかしないとか、赤血球は踏ん張らないと便と共に放出されてしまうとか、面白いですよね。
癌患者が抗がん剤の投与や放射線治療を受けているときの体内はどうなっているのかもわかります。
そうか、の体内でもこんなことが起きていたんだよねと思うとなんともいえない気分に。
治らなかったからって、その人の細胞が弱かったとか、あきらめが早かったとは思いたくない。
だって、あんなに泣き言ひとつ言わずに、「いつかいい方法が出てくるかもしれないから」と笑っていたのですから。
 
たぶん、そんなこともあって、楽しむだけではいられなかったように思います。
頑張りが足りなかったわけじゃない。天命だったのかなと思います。

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『市民捜査官ドッキ』

2024年12月23日 | 映画(さ行)
『市民捜査官ドッキ』(英題:Citizen of a Kind)
監督:パク・ヨンジュ
出演:ラ・ミラン,コンミョン,ヨム・ヘラン,チャン・ユンジュ,アン・ウンジン,
   イ・ジュスン,ソンヒョク,キム・ユルホ,パク・ビョンウン,イ・ムセン,他
 
アメ村のビッグステップ4階で18年間営業していたシネマート心斎橋が10月末に閉館。
大阪で韓国作品を多く上映してくれる劇場といえばここでした。
 
そうと知らなかった頃、ロビーに入ると女性客でごった返していることがあり、
何事かと思ったらチャン・グンソク主演の映画の公開日だったらしく。
チャン・グンソクが誰かも知らなかった私は、そんなに人気がある人なの!?と驚いたおぼえがあります。
また、オッサン客で混み合っていた日はドニー・イェン主演の“イップ・マン”シリーズ何作目かの公開日でした。
『1987、ある闘いの真実』(2017)を観たときは立ち見まで出ていたのを思い出します。
 
そんなふうだったから、シネマート心斎橋がテアトルグループ傘下となったときにまず驚きました。
だけど、映画業界の事情なんて私は知る由もないし、客はよく入っているから潰れることはないよねって。
ところが今夏に10月閉館のニュースが流れてきてショックを受ける。
 
と、とても寂しい思いをしていたら、12月13日にキノシネマ心斎橋として新装オープン。
ロビーや客席は当然綺麗になっていますが、トイレの扉を開けると便器はそのままでなんか嬉しい(笑)。
思えばシネマート心斎橋の前はパラダイスシネマ、そしてパラダイススクエアの時代もあったわけで、これが4代目。
経営者が木下グループに替わり、今後どうなるのかわかりませんが、
少なくとも映画のラインナップはこれまでを踏襲しているように見えます。
 
というわけで、キノシネマ心斎橋にて記念すべき初めての鑑賞は本作を。
2016年に起きた実話を基にしたフィクションで、めちゃめちゃ面白いです。
 
幼い娘と息子を抱えるシングルマザーのドッキはクリーニング店を経営していたが火事に遭う。
店も家も失い、保険は利かず、何もかも焼けて無一文に。
融資を受けようと銀行に相談に行くも取り合ってもらえず、途方に暮れていたところ、
銀行員ソンを名乗る男性から融資を受けられる方法があるとの電話を受ける。
藁にもすがる思いで今後の手はずを聞いて従っていたところ、途中から連絡が途絶えてしまう。
 
銀行に乗り込み、ソンを出してくれと言うと、そこに現れたのは女性銀行員。
男性のソンはいない、お客様に送金を依頼することはないと聞き、振り込め詐欺に遭ったことに気づく。
手付金だ手数料だ、書類の準備に金がかかるなどと言われて振り込んだ総額は3200万ウォン(約340万円)。
警察に駆け込むと、刑事のパクが一応は話を聴いてくれたものの、
追跡は無理だから高い授業料だと思ってあきらめるように言われただけ。
 
このまま泣き寝入りするわけにはいかない。
絶対に金を取り返すと誓うドッキのもとへある日あのソンから電話がかかってくる。
軟禁状態に置かれていると言うソンは、ドッキに通報を頼むが、
ソン自身、どこに連れて来られているのかわからないらしく……。
 
ドッキ役にラ・ミラン、ソンことジェミン役に『エクストリーム・ジョブ』(2019)のコンミョン。←カワイイ。
ドッキの友人で共に犯人を追跡するはめになるボンリムには、見るだけでワラけるヨム・ヘラン
同じく友人のスクジャ役にチャン・ユンジュ。ボンリムの妹エリム役にアン・ウンジン。←カワイイ。
刑事パクを演じているのがパク・ビョンウンと、楽しいこと間違いなしのキャスト。
 
警察は何億円規模かの詐欺事件を追っているから、ドッキの340万円はどうでもいい。
だけど子どもたちを保育園に預けるお金もなくてパート先のロッカー室で寝泊まりするドッキは、
虐待を疑われて子どもたちを連れて行かれてしまって、とても諦められる金額ではありません。
 
ジェミンはジェミンで本当はいい奴。ちょっと楽して稼ごうと思ったら、こんなことになってしまった。
携帯も金もすべて取り上げられて錠の付いた牢屋のような部屋に同様の若者たちと軟禁され、
もしも逃げ出そうとすれば拷問は当然。殺されてしまった者がいることも知っています。
やってくる若者は最初は旅行気分なんですね。地獄が待っているとも知らずに次々とやってくる。
 
世間でも話題の振り込め詐欺の組織ってどうなっているのかと思ったら、こういうことなのか。
元締めを捕まえるために青島まで行ったドッキさんのモデル、ちゃんといらっしゃるそうで、凄いです。
 
とても楽しいサスペンスコメディ。オススメです。

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『ラブ・アクチュアリー』【4Kデジタルリマスター】

2024年12月22日 | 映画(ら行)
友人夫婦とNGK→晩ごはん→まっすぐ帰ってもよかったけれど、せっかく午後休を取ってなんばまで出てきていたので、
友人夫婦と別れた後、なんばパークスシネマにも寄って映画をせめて1本だけは観ることにしました。
何本か選択肢があったところ、『ラブ・アクチュアリー』の4Kデジタルリマスター版に決定。
日本公開20周年を記念してこのたびの公開に至ったようです。
 
DVDも持っているのですが、劇場で観たのちに買ったことに満足して家では一度も観ていません。
好きだったからこそ買ったにもかかわらず、話の内容をほぼ覚えていないとは。(^^;
 
落ちぶれたロック歌手を演じるのはビル・ナイ
かつてのヒット曲をクリスマス仕様にしただけの新曲を歌わされるのが面白くない。
生放送で放送禁止用語も叫びまくって、長いつきあいのマネージャーはハラハラドキドキ。
 
ヒュー・グラントが演じるのはまだ若い英国首相。
独身だから別に誰とつきあおうが問題はないけれど、自分の担当になった秘書ナタリーに恋をする。
出演していることを忘れていましたが、いけ好かない米国大統領役でビリー・ボブ・ソーントンが。
 
英国首相の妹役はエマ・トンプソンで、彼女の夫役がアラン・リックマン
会社社長の夫は、女性新人社員に色目を使われ、まんざらでもない様子。
それに気づいた妻から釘を刺されたのに、ふらふら浮気してしまいそうになります。
 
妻を亡くしたばかりの男を演じるのはリーアム・ニーソン
妻の連れ子とふたりきりの生活を送ることになり、どうすればいいか戸惑っています。
部屋にこもりっきりの小学生の息子は母親がいないことを悲しんでいるのかと思いきや、
片想いをしている相手がいて、そのせいで悩んでいると言う。
 
と、挙げればキリがないほどたくさんの登場人物による群像劇です。
 
この20年の間にこの世を去ってしまった人もいます。
たとえばアラン・リックマン。70歳にもならないうちに死んじゃいましたもんね。
逆に、リーアム・ニーソンの義理の息子を演じたトーマス・ブロディ=サングスターはもう34歳。
昨年には結婚して、俳優としての道も歩み続けています。
 
恋人が自分の弟と浮気している場面に出くわしてしまった作家の役を演じたのはコリン・ファースでした。
彼が避暑に訪れた地で恋に落ちた相手はメイドのポルトガル人女性。
ふたりとも相手の母国語を学ぶ様子は微笑ましいものだけど、2週間かそこらで語学マスターって、無理はないか。
 
親友の結婚相手キーラ・ナイトレイへの想いを隠す男性役のアンドリュー・リンカーンがよかったですね。
デザイン会社に勤める女性役のローラ・リニーの同僚を演じるロドリゴ・サントロがイケメンすぎ。
ポルノ映画の男優と女優を演じるマーティン・フリーマンとジョアンナ・ペイジもよかったなぁ。
 
と、2度目の今回もまたあらすじを全部書いてしまいそうな勢いです。
こういう作品を観ると、本当に幸せな気持ちになる。リチャード・カーティス監督、ありがとう!

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『モアナと伝説の海2』〈字幕版〉

2024年12月21日 | 映画(ま行)
『モアナと伝説の海2』(原題:Moana 2)
監督:デヴィッド・G・デリック・Jr.
声の出演:アウリイ・クラヴァーリョ,ドウェイン・ジョンソン,フアラライ・チュン,ローズ・マタフェオ,
     デヴィッド・フェイン,アウィマイ・フレイザー,カリージ・ランバート=ツダ,
     テムエラ・モリソン,ニコール・シャージンガー,レイチェル・ハウス,アラン・テュディック他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
けれど今回はどの劇場もありがたいことに字幕版の上映が多め。
アニメであっても洋画は字幕で観る派だから、とても嬉しい。
いずれ吹替版を観るかもしれなくても、まずは字幕版を観たいです。
 
『モアナと伝説の海』(2016)の3年後という舞台設定だそうですが、
実際のところは2017年春の公開から8年経とうとしています。
数年でも前作の内容を覚えていられないのに、8年も経ったら詳細まで覚えていられるわけがない。
私が覚えていたのは、半神半人マウイの声をドウェイン・ジョンソンが担当していたということだけ。
ま、それだけが目的で観に行っているところはあるのですけれど。
 
すっかり成長したモアナがいるのはどこの島なのでしょうか。島の人気者のようです。
で、もともといたモトゥヌイ島はナロとかいう奴に呪いをかけられて沈んだらしい。
今いる島以外にも島があって、そこで暮らす人々がいるはずだと、モアナは探しに行くことを決意。
 
モアナの旅に同行することになったのは、マウイファンで伝説オタクのモニ、ぶっ飛んだ船大工のロト。
気難しい老人ケレはモアナに上手く乗せられて料理人として仲間入り。
そして、豚のプアとニワトリのヘイヘイがモアナと共に出発します。
途中出会うちっちゃなココナッツおばけからもひとりが帯同。うん、まるで“桃太郎”。
 
ディズニーに思い入れはないため、ハードルも下がっていました。
『インサイド・ヘッド2』のようにどうにも好きになれない可能性もありましたから。
そう思えばまぁまぁ。
吹替版の予告編を観て嫌気が差していたことを思えば、じゅうぶんに楽しめました。
 
マウイってこんなにオバハンみたいな風貌でしたっけ。(^^;
もっとカッコイイおじさんのように記憶していたのは大きな間違い。
でもやっぱりドウェイン・ジョンソンの声は嬉しいですね。
 
「道は必ずほかにある」というのもいい言葉です。
なんでもそうですけど、あきらめない気持ちは大事だなぁ。

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