東京へのオリンピック招致が成功し、至る所で祝賀ムードが紹介されておりました。
そして、例によって、どの程度の「経済効果」があるかということが話題になっています。
大会が開かれるまでの七年間の経済効果は、主催者に近い辺りでは3兆円弱、一般的な報道機関などの見出しも「期待される経済効果は3兆円」といったあたりが相場のようです。しかし、中には、とてもとてもそんなものではなく、150兆円程度は期待できるはずだという勇ましい意見もあるようです。
3兆円と150兆円となりますと、なんだか言った者勝ちの感もありますが、その風潮に乗っかって、「経済効果とは何ぞや」と私も考えてみたいと思います。
「経済効果」とは、ある行動やイベントなどによって、どの程度のお金が動くかということです。
今回の場合でいえば、オリンピックが行われるまでに建設や補修される施設や道路などの費用や、大会の入場料や放映料などを中心に、波及する経済活動を積み上げたものです。招致委員会あたりから出されている3兆円弱という金額は、相当緻密な計算がなされたものでしょうから、ある程度根拠のある数字といえるのではないのでしょうか。
それでは150兆円となりますと、残りの147兆円はどこから来るのかということになります。
まず第一には、設備や道路などの建設に投下される資金ですが、オリンピックが行われるということによって前倒しされたり、拡張されるものを加えるとすれば、これだけでも相当の金額が上乗せされます。すでに話題になっていますように、例えばリニアモーターカーの新線を、たとえ甲府辺りまででも営業運転が出来るとすれば、その前倒し費用は莫大なものですし、それに伴う周辺開発、あるいは新たな観光誘致などが期待されます。
但し、「経済効果」とは、動くお金のことを言っているのであって、利益を得ることが出来るわけではありません。3兆円の経済効果だといっても、それらの事業全体で赤字が出るかもしれません。大会本体は別に赤字になってもいいのですが、事業全体としては相応の利益を生み出さないことには「経済効果」といってもあだ花になりかねないわけです。
それともう一つ、現在のわが国のGDP(国内総生産)の金額は、2012年の名目では475兆円です。七年で3兆円の経済効果とは一年あたり5千億円にも満たない金額なのです。一部の企業や人には大きな利益をもたらすのでしょうが、国家全体とすれば誤差の範囲程度なのです。経済効果、経済効果と大騒ぎするのであれば、150兆円程度は工夫と努力で積み上げないことには、国家全体には効果は行き渡らないと思うのです。
オリンピック誘致による経済効果の一つとして、私は大きな期待をもっているものがあります。
招致運動における最終プレゼンテーションは実にすばらしいものでした。招致成功には、そこに至るまでの多くの人の努力によって積み上げられたものに起因しているのでしょうが、首相の最終プレゼンテーションにおける発言も一つのポイントであったと思うのです。
発言内容には、一部悪意か未熟か知りませんが、少々間違った和訳がされているようですが、それはともかく、「福島に関して大見得を切った」ことは確かです。幸い、久しぶりに実現させてくれそうな内閣だと期待したいのです。
つまり、この政権は、東北を完全復興させ、福島の原発を完全コントロールし、周辺を新しい施設で世界の注目を集めるような場所にしてくれることでしょう。東京オリンピックは、その期限を明確にしてくれたのです。
国立競技場はすばらしいものに建て替わるそうです。選手村一帯は大きく変貌を遂げることでしょう。リニアモーターカーは一部営業運転を実現させるかもしれません。しかし、東京オリンピックが大成功と大見えを切ることが出来るのは、東北と福島原発の見事な再生なくしては意味がありません。
それこそが、世界の人たちに発信すべの最大のメッセージであり、わが国の「経済効果」にもインパクトを与えるはずなのです。
( 2013.09.13 )
そして、例によって、どの程度の「経済効果」があるかということが話題になっています。
大会が開かれるまでの七年間の経済効果は、主催者に近い辺りでは3兆円弱、一般的な報道機関などの見出しも「期待される経済効果は3兆円」といったあたりが相場のようです。しかし、中には、とてもとてもそんなものではなく、150兆円程度は期待できるはずだという勇ましい意見もあるようです。
3兆円と150兆円となりますと、なんだか言った者勝ちの感もありますが、その風潮に乗っかって、「経済効果とは何ぞや」と私も考えてみたいと思います。
「経済効果」とは、ある行動やイベントなどによって、どの程度のお金が動くかということです。
今回の場合でいえば、オリンピックが行われるまでに建設や補修される施設や道路などの費用や、大会の入場料や放映料などを中心に、波及する経済活動を積み上げたものです。招致委員会あたりから出されている3兆円弱という金額は、相当緻密な計算がなされたものでしょうから、ある程度根拠のある数字といえるのではないのでしょうか。
それでは150兆円となりますと、残りの147兆円はどこから来るのかということになります。
まず第一には、設備や道路などの建設に投下される資金ですが、オリンピックが行われるということによって前倒しされたり、拡張されるものを加えるとすれば、これだけでも相当の金額が上乗せされます。すでに話題になっていますように、例えばリニアモーターカーの新線を、たとえ甲府辺りまででも営業運転が出来るとすれば、その前倒し費用は莫大なものですし、それに伴う周辺開発、あるいは新たな観光誘致などが期待されます。
但し、「経済効果」とは、動くお金のことを言っているのであって、利益を得ることが出来るわけではありません。3兆円の経済効果だといっても、それらの事業全体で赤字が出るかもしれません。大会本体は別に赤字になってもいいのですが、事業全体としては相応の利益を生み出さないことには「経済効果」といってもあだ花になりかねないわけです。
それともう一つ、現在のわが国のGDP(国内総生産)の金額は、2012年の名目では475兆円です。七年で3兆円の経済効果とは一年あたり5千億円にも満たない金額なのです。一部の企業や人には大きな利益をもたらすのでしょうが、国家全体とすれば誤差の範囲程度なのです。経済効果、経済効果と大騒ぎするのであれば、150兆円程度は工夫と努力で積み上げないことには、国家全体には効果は行き渡らないと思うのです。
オリンピック誘致による経済効果の一つとして、私は大きな期待をもっているものがあります。
招致運動における最終プレゼンテーションは実にすばらしいものでした。招致成功には、そこに至るまでの多くの人の努力によって積み上げられたものに起因しているのでしょうが、首相の最終プレゼンテーションにおける発言も一つのポイントであったと思うのです。
発言内容には、一部悪意か未熟か知りませんが、少々間違った和訳がされているようですが、それはともかく、「福島に関して大見得を切った」ことは確かです。幸い、久しぶりに実現させてくれそうな内閣だと期待したいのです。
つまり、この政権は、東北を完全復興させ、福島の原発を完全コントロールし、周辺を新しい施設で世界の注目を集めるような場所にしてくれることでしょう。東京オリンピックは、その期限を明確にしてくれたのです。
国立競技場はすばらしいものに建て替わるそうです。選手村一帯は大きく変貌を遂げることでしょう。リニアモーターカーは一部営業運転を実現させるかもしれません。しかし、東京オリンピックが大成功と大見えを切ることが出来るのは、東北と福島原発の見事な再生なくしては意味がありません。
それこそが、世界の人たちに発信すべの最大のメッセージであり、わが国の「経済効果」にもインパクトを与えるはずなのです。
( 2013.09.13 )