雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

小さな小さな物語   第一部

2010-01-13 15:16:29 | 小さな小さな物語 第一部~第四部

小さな小さな物語   第一部


第一部には No. 1  から No.  60   までを収めています

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小さな小さな物語 ・ 目次

2010-01-13 15:15:22 | 小さな小さな物語 第一部~第四部

  小さな小さな物語 ・ 目次 ( No.1 ~ No.20)


    1.   花開く朝に
     2.   夢のお値段
        3.     すずめのお宿
        4.    「変」ですか?
          5.      たった1秒のプレゼント 


           6.  北九州市にエール
           7.   黄金に満ちあふれた島
           8.  厳しい冬に
           9.     ふるさとに想う
         10.     中ぐらいで良し


        11.   お似合い
        12.   あなたの時計、今何時?
        13.   カメを割る話
        14.   野にかぎろひの見える頃
        15.   万葉びとの心


        16.   後悔しています
        17.   有権者の品格
        18.   雪の朝に
        19.   よく学びよく遊べ
        20.   二十という数字

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花開く朝に ・ 小さな小さな物語 ( 1 )

2010-01-13 15:08:14 | 小さな小さな物語 第一部~第四部

ダリアの花が咲きました。
淡い赤紫の八重の花が、たった一輪。


いつの話かって、ですか?
もちろん今朝のことです。本日、2008年12月5日の朝のことです。


今年の春、20cmほどの苗を買ってきて植えた、皇帝ダリアです。
夏過ぎた頃からぐんぐん伸びて4m近くになっています。根元から分かれた幹も、直径3cmほどのものが十本にもなっています。
幸い台風に合わず順調に育ってきたのですが、背丈の伸びた11月頃から強い雨や風の日があり、ピサの斜塔を遥かに超えるほど傾いています。
今朝も明け方には雷雨という中、世間の皇帝ダリア仲間に遅れながらも、一輪開花してくれました。
まだ百余りの蕾を付けていますので、しばらくは楽しみです。


小さな小さな物語は、大きな大きなダリアの物語でスタートしました。
荒れ気味の天候ですが、健気な一輪が咲いてくれた朝、小さな小さな幸せを感じながら、第一回を書くことができました。
今後ともよろしくお願いします。

( 2008.12.05 )

コメント (1)
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夢のお値段 ・ 小さな小さな物語 ( 2 )

2010-01-13 15:06:19 | 小さな小さな物語 第一部~第四部
宝くじを買いました。
実は、テレビドラマ「風のガーデン」に大変感動。中でも姉弟が守っている庭が素晴らしく、欲しくなりました。
ガーデニングの体力も知識も経験もないのですが、それ以前に資金がありません。
そこで熟慮の結果、最も合理的で確実な方法として、宝くじを買いました。


何枚買ったのか? ですか。
私は極めて謙虚で慎み深い人間です。1等を何枚も当てるつもりなどありません。ただ、1等は当たるとして、前後賞がつかないのは悔しいかもしれないので1枚というわけにはいきません。それにキューピッドは気まぐれですから、幸運の矢を少しばかり外すかもしれません。
そのあたりのことも考慮して、絶対安全な数を買いました。
後は、あまり寒くない良い場所を見つけることです。


しかし、人生には思い通りにならないことが多く、物事には万が一ということがあります。
多分、あり得ないことですが、私の宝くじが1等に当たらないことも起こりうることかもしれません。
そこで、寛大な性格の私は、投下資金の回収方法を考えました。


その結果、1枚あたり300円の回収方法が見つかりました。
宝くじを買った時、お姉さんがにこやかに応対してくれましたので、それが10円として、残りの290円が夢を描く値段です。20日あるとして、1日当たり14円50銭分夢を描くことができれば、まあ、元は取れるわけです。
これが私の夢の値段です。高いですか? 安いですか?・・・

( 2008.12.08 )

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すずめのお宿 ・ 小さな小さな物語 ( 3 )

2010-01-13 15:04:37 | 小さな小さな物語 第一部~第四部
すずめのお宿って、どこにあるのでしょうね。


私の散歩コースの一部には、当市で一、二を競う美しい並木道があります。
その中でひときわ大きな三本の木は、秋口にはすずめのお宿になります。
夕方ともなれば、近くの電線に数百羽と思われるすずめたちがぎっしりと並び、ひとしきり賑やかな一日の報告会が行われたあと、それぞれの木の枝に潜り込んで眠りにつくのです。
早朝には、やはり電線に整列して、賑やかなミーティングを行ったあと、それぞれのえさ場に飛び立ってゆくのです。


ところがこの秋、並木は全て丸坊主にされてしまいました。
確かに、秋が深まるとともに歩道ばかりでなく、車道や並木に面している住宅地内にも落ち葉が降り注ぎます。並木沿いの人たちのお掃除は大変です。
しかし、突然お宿の枝を払われてしまったすずめたちはもっと大変です。いろいろな事情はあるにしても、全く突然に宿を追い払われるなど考えてもいなかったことでしょう。


寒々とした並木道を歩きながら、すずめたちの行方を考えてしまいました。
新しいお宿を見つけて、朝夕に報告会やミーティングを続けているのでしょうか。
少しばかり、悲しい気持ちです。

( 2008.12.11 )
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「変」ですか? ・ 小さな小さな物語 ( 4 )

2010-01-13 14:52:37 | 小さな小さな物語 第一部~第四部
「ばら」って、どう書きます?
バラ、ばら、薔薇、このうちの、どの文字を主に使うかということですが・・・。


「薔薇という字が書けますか」とか「薔薇という字はこのように覚えます」などといった話をテレビなどで聴くことがあります。いかに難しいかということだと思います。
私は漢字で書くことができませんので、手書きの時は「ばら」とひらがなで書く方が多いようです。
最近目にする文章は、パソコンや携帯電話で打ち出されるものが多いためか、やたら難しい漢字が目立ちます。相当難しい文字でも多くの人が読めるようになり、かなり易しい文字でも殆どの人が書けない時代が来つつあるように思われます。


それにしても、薔薇なんて、難しい文字ですよね。最初に「ばら」にこの文字を振り当てた人は何か魂胆でもあったのでしょうか、ね。
そういえば、林檎にしろ、檸檬にしろ、やたら難しい文字が振り当てられています。
ちなみに、「まんとひひ」を漢字化させようと辞書をみますと「マント狒狒」とありました。どう思います? これ。


実は、この秋、少々奮発しまして薔薇の苗木を三本買いました。その苗木につけられている説明書を見ながらつくづく難しい字だと思い、以上のようなことを考えてしまいました。
私って、少々「変」ですか?
もし、そうだとすると、「変」が今年を代表する文字に選ばれていることをみると、私は時流に乗った生き方をしているようですよ。

( 2008.12.14 )
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たった1秒のプレゼント ・ 小さな小さな物語 ( 5 )

2010-01-13 14:48:09 | 小さな小さな物語 第一部~第四部
人生最後の食事には何を食べたいですか、などということを話題にすることがあります。まあ、これは罪のない話ですが、最後の願いとして自由な三日を下さい、となると深刻な話になります。どちらも限られた時間をどう使うか真剣に考えねばなりません。
そこで、たった1秒ですがプレゼントされるとすれば、あなたはどう使いますか?


たった1秒では何の役にも立たないよ、などと言ってはいけません。
陸上の100m競争なら、オリンピックの金メダリストとちょっと足の速いお兄さんくらいの差があるのですよ。スピードスケートは、もっときわどいタイムで競っています。
また、私たちは「一瞬の差だった」とか「あっという間だった」などと表現することがあります。これ、どちらも1秒以下の時間を指しているはずです。
たった1秒といえども馬鹿にしてはいけないと思います。


実は、来年のお正月に私たちは1秒プレゼントされることになっています。
2009年1月1日、午前8時59分60秒が設置されるのです。「うるう秒」といわれる措置で、全世界一斉に行われます。
地球の自転は少しずつ遅くなっているそうで、何年かに一度は「うるう秒」で調整するそうです。ただ、その差の予測はつかないそうで、次の「うるう秒」がいつになるかは分からないそうです。
「・・・そうで」「・・・そうで」ばかりですが、来年の元旦に1秒のプレゼントを頂けることは確かなことです。


さて、かく申し上げる私は、この1秒をどう使いましょう。
オリンピックはまだ大分先のことですし、氷の上を滑るなど全くできません。
私としましては、元旦はせいぜい早起きして、一年の計をいつもより1秒分充実させて練りたいと考えています。

( 2008.12.17 )
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北九州市にエール ・ 小さな小さな物語 ( 6 )

2010-01-13 14:44:21 | 小さな小さな物語 第一部~第四部
『山と海と夜景が美味しい街』
これは、昨日、12月19日の日本経済新聞(夕刊)に載った北九州市による全面広告の見出しです。
一頁全部を使うという思い切りの良さもさることながら、このキャッチコピーのすばらしさに惹かれまして紹介させていただきました。


私は、テレビやラジオのコマーシャルや新聞広告などが好きで、日頃から興味を持ってみています。素敵な画面やストーリーに出合うと何だか嬉しく、その反対のものを見てしまうと、スポンサーの良識を疑ったり同情してしまったりします。
私たちは毎日否応なしに多くのキャッチコピーに触れていますが、この北九州のコピーは相当レベルが高いと思いませんか。


実は、私もこのブログの中に「ご案内」というカテゴリーを持っています。そこで自分の作品を紹介しているのですが、紹介そのものよりも魅力的なキャッチコピーを作りたいという気持ちの方が強くなることがよくあります。
それだけに、このキャッチコピーを見て嬉しくなってしまいました。


この全面広告の目的は、市の産業や観光のPRや、中でもふるさと応援寄付金の募集が大きな目的だと思います。
私は、北九州市には、ごく短い時間二度ほど立ち寄っただけですが、このキャッチコピーを見せていただいた上は、広告目的の成果が上がるよう祈りたい気持ちです。
北九州市、がんばれ!

( 2008.12.20 )
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黄金が満ちあふれている島 ・ 小さな小さな物語 ( 7 )

2010-01-13 14:36:40 | 小さな小さな物語 第一部~第四部
埋蔵金談話が喧しいこの頃ですが、なるほど我が国は黄金の島ジャパンと伝えられた昔より、黄金が満ちあふれた島だったのですね。


昨今急速に知名度を増してきた霞が関の埋蔵金伝説は、歴史は新しいですが存在の可能性が高いことで有名です。その埋蔵量は数兆円から100兆円、あるいは200兆円を超えるともいわれ、謎めいている点ではその他の埋蔵金伝説と同類のようです。
もっと伝統的な埋蔵金伝説、たとえば徳川埋蔵金、秀吉埋蔵金なども存在するのは間違いないでしょうし埋蔵量も膨大です。その他にも、埋蔵金伝説は全国津々浦々に数百件もあるそうです。しかも、奥ゆかしいわが国民は、その殆ど全てを眠らせたままなのです。


でも、霞が関埋蔵金は、栄えある埋蔵金伝説に加えるのは少々まずいのではないですか。これは、どちらかといえば「へそくり」の仲間でしょう。若干金額は大きいようですが。
でも、全国のおかみさんの「へそくり」をあぶり出すことができれば、わが国経済に相当のインパクトを与えるかもしれません。
この他にも、都市鉱山と呼ばれる希少金属に満ちた山もありますし、四方を海に囲まれているわが国にとって、深海もまた重要資源の宝庫でしょう。


まさしく宝の山に包まれているわが国ですが、埋蔵金にしろへそくりにしろ、掘り出して利用することはなかなか難しいことです。それには社会の知恵と政治の指導力が試されることでしょう。
そして何より、わが国にとって最も大きく貴重な財宝は、人材ではないですか。今こそ社会の知恵を結集してこの財宝を生かす時だと思います。

( 2008.12.23 )
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厳しい冬に ・ 小さな小さな物語 ( 8 )

2010-01-13 14:30:04 | 小さな小さな物語 第一部~第四部
まだ明けきらない水面から、鳥たちの声が聞こえてきます。
その中で、ひときわ目立つ「ガァー、ガァー」というお世辞にもかわいいとは言えないあの声は、きっと白鷺です。


近くにある灌漑用の大きな池には、この季節何種類かの水鳥たちの姿を見ることができます。
多いのは鴨の仲間だと思うのですが、夕方などに列をなして飛ぶ姿を見ることがありますので、雁の仲間もいるのかもしれません。それらの茶系統の水鳥たちに混ざってひときわ大きく白い鳥もいます。白鷺です。
もっとも、白鷺といってもいろいろな種類があるようですが、鶴の小型のような形をしていて白いものは、私にとっては白鷺なので、その点はご勘弁下さい。


いま水面や水辺で騒いでいる鳥たちは、夏には見かけないことを思えばいずれも渡り鳥なのでしょうね。国内で移動している鳥もいるのでしょうが、中には大陸方面から渡ってくる水鳥たちがいるはずです。
何千キロを太陽や月や星の位置を確かめながら、あるいは風や海水などの匂いの変化を計りながら、あるいは人間などがとっくの昔に失ってしまった不思議な能力を駆使しながら、遥かな距離を飛んでくるのでしょうね。


それにしても、今朝はこの冬一番という寒さなのに鳥たち冷たい水にぐっしょり濡れて、大丈夫なのでしょうか。
あの鳥たちは、厳しい寒さを避けるため暖かな土地を求めて、この池にやってきたはずです。ここは、あの鳥たちにとって冬を越すに十分な場所なのでしょうか。
この辺りは、古くから灌漑用の池が数多く存在しています。しかし、五十年前に比べれば激減しています。
私が今見ている池も、以前はこれほどの数の冬鳥は見かけませんでした。環境が改善されたと考えるべきなのか、数千キロを越えてやってくる客人たちの宿が少なくなってしまったと考えるべきなのか、寒さに震えながら考えています。

( 2009.12.26 )
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