さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・
長生きできて良かったのかどうかかい?
さあ、ねえ・・・。長く生きるということは、良いとか悪いとかということとは少し違うような気がする。
自分の意思に関係なくこの歳になってしまったんだしねぇ。
長生きがめでたいとか言って、子供や孫たちからはともかく、市長さんや知事さんからお祝いをもらったりすると、「ありがとうございます」と言うしかないし、嬉しくないことはないが、うーん、ねぇ・・・。
思い返してみると、嬉しいことや楽しいことも、そりゃあたくさんあったよ。親切にしてもらったことも何度もあったしね。
でも、その数だけ、辛いことや悲しいこともあった。わたしは おとんぼで あかんたれ だったからかもしれないけれど、泣きたいことや実際に泣いてしまったことの方がはるかに多かったように思う。
明日どころか、今晩子供たちに食べさせる物さえ無いという時の切なさは、今でも時々夢に見るくらいだよ。
でも、やはり辛かったのは、大切な人と死に別れることだわなあ。中でも、子供や孫に逝かれてしまったときの悲しさは、つくづく長生きしてしまったことを恨んだよ。
でもね、このごろは、こうも思うんだよ。幼くして、また若くして死んでゆく人はかわいそうだけれど、まあ、辛くても、わたしはお見送りする役になっていたのかもしれないとね。
早く亡くなったからかわいそうだというのも、残された者が勝手に思っていることだしねぇ。
そして、このごろは、嬉しいことも楽しいことも、悲しいことも辛いことも、その全部が ただただ懐かしくてね。
長生きするということは、そういうことなのかもしれないねぇ。