さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・
瓜小屋で一人の時は退屈するので、よくいたずらしたなあ。
スイカのあまり大きなものでなく、てて親が覚えていないようなのをちぎって、中を半分ほどくりぬいて、きりぎりすを二、三匹入れてふたをするんよ。
それを、てて親に見つからないように、よその畑の中に隠しておいて、次の日には、きっと きりぎりすは大きくなっているはずだと思って取りに行くと、皮を食い破ってみんな逃げてしまっていた。
まあ、きりぎりすも必死だったんだろうねぇ。
さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・
瓜小屋で一人の時は退屈するので、よくいたずらしたなあ。
スイカのあまり大きなものでなく、てて親が覚えていないようなのをちぎって、中を半分ほどくりぬいて、きりぎりすを二、三匹入れてふたをするんよ。
それを、てて親に見つからないように、よその畑の中に隠しておいて、次の日には、きっと きりぎりすは大きくなっているはずだと思って取りに行くと、皮を食い破ってみんな逃げてしまっていた。
まあ、きりぎりすも必死だったんだろうねぇ。
さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・
てて親や はは親について畑へよく行ったが、たいして手伝うことなどなかったなあ。
まだ小さかったから、クワなど使えないし、水くみなどとても無理だった。
まあ、よくした畑の手伝いといえば 野菜の虫とりだった。
青虫や毛虫を取るんだから、そりゃあ気持ち悪いよ。瓶に泥を入れて、竹箸で虫を掴んではその中に入れるんだ。
両親が近くの持ち山に薪を取りに行ったりすると、わたしは 一人で広い畑の虫とりを任されるんだが、それ、こんな仕事はすぐ嫌になってしまう。それで、飽きてくると、畑の隅で 持ってきていた人形を使って一人でままごと遊びのようなものをしたもんだよ。
うちの山からは畑全体がよく見えるんで、わたしが人形で遊び始めると、畑の一角で動かなくなるのが両親に丸分かりなんだよね。
はは親は、「畑のあの辺りには虫がたくさんいたらしく、咲は全然動いていなかったなあ」 と、笑うんよ。
「ああ、あの辺りは虫が固まって ぎょうさんいたわ」と、わたしがこたえると、「そうか、そうか、そんなにたくさんいたのか」 と、てて親も はは親も大笑いしていた。
わたしは、うまくだませたと思っていたんだけれど、そんなことはないわなあ。
さても このごろは、昔のことが しきりに思いだされる・・・
てて親と瓜小屋へ行くのは楽しかった。
家の所帯は兄に譲っていたが、瓜小屋のある一画の畑は てて親が管理していた。ここで作る ウリやスイカやナスなどを一部売って得るものだけが、てて親の小遣いだった。
中でもスイカは一番お金になると言っていたが、ある時、大雨が続き畑全体が水に浸かってしまったことがあった。
ちょうどスイカが収穫する時期になっていて、それが大雨にプカリプカリと浮かび上がり、やがて一列になって畑の向こうへ流れ出ていった。
わたしは それがとてもおかしくて、大雨の怖さも忘れて、手を叩いて大喜びしていたよ。
でも、折角のスイカが台無しになり、てて親は辛かっただろうねぇ。