雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

白木蓮

2018-03-04 18:58:21 | 日々これ好日
        『 白木蓮 』

     白木蓮の つぼみ膨らむ
     公園の 堂々とした白木蓮
     枯れ木のように 身をひそめていたが
     その陰で 力をためていたらしい
     間もなく 春らんまん

                ☆☆☆

    
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忍ぶ逢瀬

2018-03-04 08:38:21 | 麗しの枕草子物語
          麗しの枕草子物語 
               忍ぶ逢瀬


この邸の主である女性の部屋の釣燈籠には火が灯され、そこから二間ほど離れた辺り、簾を高く上げて、女房二人ばかりに童女などが下長押に寄りかかり、あるいは下した簾に添うようにして横になったりしている。
火取香炉に火を深く埋めて、ほのかな香りが漂っているのも、ゆったりとして奥ゆかしい。

宵を少し過ぎた頃、忍びやかに門をたたく音がすると、事情をよく心得たいつもの女房が出てきて、素早く自分の身体で男を隠し、人目を警戒しながら招じ入れる。

男とこの邸の女性との傍らには、作りが良くすばらしい音色を出す琵琶が置かれているのを、男は手に取り、話の合い間合い間に、音を殺して、爪弾きに掻き鳴らしたりしている。
やがて、夜は更けてゆく。


(第百八十三段・南ならずば・・、より)
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