雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

前方後円墳

2019-09-07 18:28:09 | 日々これ好日
        『 前方後円墳 』

     世界文化遺産に登録された 堺市の古墳群
     ヘリコプターで 上空から見ようという計画が 難航しているそうだ
     騒音が問題になっているらしい
     あの巨大な前方後円墳は 上空から見ないと 単なる森に見えてしまうかもしれない
     上空から見たいが 世界遺産を観光資源にし過ぎるような気もする
     それにしても 古代の人は
     この巨大な造形物を どこから見たのかと 不思議に思う
     案外 アドバルーンのような物を 持っていたかもしれない
     と 思ってしまう

                       ☆☆☆
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麗しき御姉妹

2019-09-07 08:15:26 | 麗しの枕草子物語
          麗しの枕草子物語 
               麗しき御姉妹

中宮さまの御妹、淑景舎の君(シゲイシャノキミ)が、東宮にお輿入れなられた後、お二方の間で御文などは交わされておられましたが、御対面はまだでございました。
ひと月ほども過ぎた二月の十余日、いよいよ淑景舎の君がお越しになることになり、私たち女房一同は、お部屋を特別に整えるなど緊張しておりました。

淑景舎の君は、夜半になってから、数多の女房・童女・下仕えの方々に護られてお渡りになられました。
御部屋は、登花殿の東の廂二間をご用意申し上げておりましたが、随行された女房方の一部は、お送りされた後お戻りになられたようでございます。とても御部屋には入りきれなかったのです。

中宮さまの父君であられる関白殿と奥方様は、明け方に一つの御車にて参内されました。
早朝から格子を上げて、ご対面の間の南側に、高さ四尺の屏風の前に畳を置いて中宮さまの御座所として、御敷物と御火鉢が準備されています。
御屏風の南側の御帳の前には、多勢の女房が伺候しております。
中宮さまのお召物は、紅梅の固文、浮文の御衣を、紅の御打衣三重の上に直接召されています。
奥方様は、白い織物の表着に紅できちっとした打衣を二枚だけで、女房の裳をお付けになっているのは、たとえわが娘とはいえ、中宮さまに対する臣下としての礼装なのでしょうか。
淑景舎の君は、紅梅色の袿を濃淡様々にたくさん重ねられた上に、濃い紫の綾の御衣、少し赤みがかった小袿、蘇芳色の織物、萌黄色の若々しい固文の表着をお召しになって、扇でぴったりとお顔を隠していらっしゃるのが何ともすばらしく、愛らしい様子でいらっしゃいます。

淑景舎の君が大変愛らしく、絵に描いたかのようにきちんと座っていらっしゃるのに比べ、中宮さまは、ごくゆったりと、少し大人っぽく見える御表情は、紅の御衣に照り映えていて、さすがにたとえようもないほどのすばらしさでございます。
この麗しき御姉妹の御対面は、いついつまでも語り継がれていくことでしょう。


(第九十九段 淑景舎、春宮にまゐりたまふ・・・、より)
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