雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

あれから25年

2020-01-14 19:55:23 | 日々これ好日

        『 あれから25年 』

    
 この17日で 阪神淡路大地震から まる25年を迎える
     当地の 新聞やテレビでは 関連の報道が増えている
     例えば 神戸市の中心地をみる限り
     あの惨事を思い起こすような物は見当たらない
     しかし 多くの人が受けた傷跡は
     完全に癒すには 25年という時間でも足らない
     ただ 失ってしまったものを 忍ぶしかないらしい

                       ☆☆☆

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浮き沈み

2020-01-14 08:23:50 | 新古今和歌集を楽しむ

     浮き沈み 来ん世はさても いかにぞと
                心に問ひて 答へかねぬる 

                  作者 摂政太政大臣 

( No.1765  巻第十八 雑歌下 )
         うきしずみ こんよはさても いかにぞと
                   こころにとひて こたへかねぬる 

* 作者は、藤原(九条)良経(ヨシツネ)を指す。平安時代から鎌倉時代にかけての貴族・政治家・歌人。( 1169 - 1206 )享年三十八歳。

* 歌意は、「 極楽浄土に救われるのか 地獄に堕ちるのか 来世は さてどうであろうかと 自分の心に問いかけてみるが どうにも答えかねてしまう 」といったもので、この時代の死生観ともいえるが、貴族の上層で活躍し続けた作者であっても、その激しく虚しい権力闘争は、このような和歌を詠ませてしまうのだろうか。

* 作者 藤原良経は、摂政関白九条兼実の次男として生まれ、公家政治の中核人物の一人としての生涯を送った。
十一歳で元服すると直ちに従五位上を授けられ、十七歳にして従三位、その後も、権中納言、正二位権大納言と昇進を続け、二十七歳で内大臣、三十一歳で左大臣、三十五歳で摂政、三十六歳で太政大臣といった具合に、摂関家ならではの公家政権の中核にあり続けた。
しかし、その翌年には太政大臣を辞任し、その翌年の三月に急死している。まだ三十八歳での急死であり、暗殺の可能性も否定できないであろう。

* 摂関家あるいは五摂家と呼ばれるのは、近衛・九条・鷹司・二条・一条の五家を指す。その誕生の経緯は割愛させていただくが、良経の九条家はその中核の家柄であり、二条・一条両家は九条家から誕生している。
また、その系図は今上天皇にまでつながるものでもある。

* 政治家としての良経をご紹介するのは、当作品では荷が重すぎる。さらに、文化人としての良経を語るにも、相当の勉強が必要となり、いずれも割愛させていただくことになってしまった。

* 当時の公卿クラスの人物は、政治的な能力と同じような比重で学問や文学あるいは音楽などの素養が絶対条件であったようだ。
「新古今和歌集」には、良経の和歌が七十九首採録されていて、これは、西行、慈円に次ぐ第三位にあたる。政治的な力が配慮された部分もあるとしても、歌人として相当の評価をうけていたことは間違いあるまい。
最後に、新古今和歌集518番に採録されていて小倉百人一首にも撰ばれている和歌をご紹介させていただく。

『 きりぎりす 鳴くや霜夜の さ莚(ムシロ)に 衣かたしき ひとりかも寝ん 』
               ( 作者名は「後京極摂政前太政大臣」となっている )

     ☆   ☆   ☆                 

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