『 ガンバレ中国 ガンバレ武漢 』
武漢発の新型肺炎は 深刻さを増している
わが国においても 二次感染者が確認され
三次感染者も疑われている
とはいえ 中国当局や武漢の大変さは
察して余りある
ややもすれば 対応を非難したり
混乱を揶揄するようなニュースもあるが
深刻な地域の方々の苦難を思い遣り
未知の恐怖と 必死に戦っている人々に
エールを送りたい
「 ガンバレ中国 ガンバレ武漢 」
☆☆☆
麗しの枕草子物語
平安の伊達男
頭(トウ)の中将殿とは、大変なお憎しみを受けたり、また格別にお引き立てをいただいたりと、なかなかに複雑な交際をさせていただきましたが、本当のお姿は実にすばらしい御方なのです。
頭の中将殿、すなわち藤原斉信(タダノブ)殿は、太政大臣為光殿の御二男にあらせられ、上達部(カンダチメ・公卿)への御栄進が約束されている御方なのです。
御年は、私より一つお若くていらっしゃいます。
和歌や物語などの知識となりますと、年齢も似通っておりますこともあり、互いに競い合うようなこともございましたが、お憎しみにつけご厚情につけ親しくさせていただきました頃は、まさに匂うばかりの御年頃であり、それにひきかえ女である私は、花のかんばせなど遠くになってしまった頃のことでございました。
まあ、それはともかく、梅壺でお会いしました時の、頭の中将殿のまことにめでたきお姿を御紹介させていただきましょう。
梅壺の東面の半蔀をあげまして、「ここに居ります」と私がお声をかけますと、頭の中将殿は、それはそれはほれぼれするようなお姿で、屋垣の門から出ていらっしゃいました。
桜の綾の直衣がとても華やかで、裏の紅の艶が美しく透けて見えるのが何ともすばらしく、とても濃い葡萄染(エビゾメ・赤紫色)の指貫には藤の折枝の紋様がたっぷりと描かれています。
直衣の袖口などから見える衣は、紅の色が打ち出された光沢が輝くばかりに見えます。下襲の白い衣や淡い紫色の衣などが幾重にも重なっています。
頭の中将殿は、狭い縁に横座りになられ、御簾に少し身体を寄せられて話しかけてきます。
御庭の西には白梅、東には紅梅が咲き乱れ、少しばかり散ってはいますがまだまだ美しく、うららかな日を受けているさまは、人に見せたいものだと思いました。
ただ、私のような盛りを過ぎた女房ではなく、年若い女房が長く美しい髪を御簾の外までこぼれ出させ、しゃれたお話などされていれば、さらにさらにすばらしいものと、悔しくもあります。
しばらくお話をされて、頭の中将殿は中宮職に参上のため出てゆかれました。
この時の様子を、外から見ている人があれば、「御簾のうちにどれ程すばらしい女性がいるのだろう」と思うことでしょうし、奥の方から私の後ろ姿を見ている人があれば、「まさか、外にあれほどすばらしい御方がいるなんて」思い浮かべることさえないでしょう。
(第七十八段 かへる年の・・、より)