雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

五月の菖蒲の

2014-07-08 11:00:48 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二百十三段  五月の菖蒲の

五月の菖蒲の、秋冬過ぐるまであるが、いみじう白み枯れて、あやしきを、ひき折り開けたるに、そのをりの香の、残りてかかへたる、いみじうをかし。

五月の菖蒲の薬玉を、秋も過ぎ冬も過ぎるころまで残っているのが、すっかり白っぽく枯れてしまって、みすぼらしくなっているのを、引き折って、中の匂袋を開けてみますと、節会の時の香りが、残ってこもっているのが、とても風情があります。


少納言さまが日常の中で、ふと立ち止まった時の感想のように、私には感じられます。
このあたり短い章段が続いていますが、何かほっとさせてくれるような内容ばかりです。

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