雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

愛おしい物ばかり ・ 小さな小さな物語 ( 1788 )

2024-08-31 08:49:26 | 小さな小さな物語 第三十部

外は、真夏を思わせるようなお天気になってきています。今の段階(7月19日)では、近畿地方の梅雨明けはまだ伝えられていませんが、おそらく、明日には梅雨明け宣言がありそうです。
庭からは、蝉の声が聞こえてきます。抜け殻はすでに幾つか見つけていますし、立派な姿を現わしたところも見ているのですが、その蝉はどこかへ飛んで行ってしまったらしく、わが家の庭では鳴いてくれませんでした。
今、庭で鳴いている蝉がわが家生まれかどうかは分りませんが、本格的な夏だと歌っています。すでに、猛暑日もあり、熱中症への注意が繰り返されていますが、やはり、蝉の声が加わってこそ本格的な夏だと思うのです。

ところで、蝉が幼虫から殻を破って羽ばたくのを、「羽化」と言っていいのでしょうかねぇ。蝉は「不完全変態」の昆虫で、蛹(サナギ)の期間がなく、幼虫から直接成虫になる昆虫で、蝶などとは少し違います。
儚いものの例えに、蝉の生涯をあてることがありますが、それは、成虫になって激しく鳴く姿とその期間の短さに儚さを感じるのではないでしょうか。
ただ、蝉の成虫としての寿命は1~2週間とも言われることが多いですが、条件さえ良ければ、1か月以上生存できるそうです。また、地中での生活となると、日本の蝉の多くは3~5年くらいのようですが、米国には、13年とか17年といった蝉がいるそうですから、こちらは犬や猫に近いほどの寿命を持っていることになります。

わが家の庭の一画に、女郎花が黄色い花を咲かせています。この花は、匂いが気になって植えることはなかったのですが、「何種類もの花が咲きます」という種を蒔いた中から、一番元気に勢力を張ったのが女郎花でした。ところが、切り花にそれほど良いとは思えませんし、やたら大きくなりますし、小さな庭には不向きなような気がしながらも、何とも愛着を感じるようになりました。そして、今年も芽を出してくれて、今、真夏の陽光に一歩もひけを取ることなく黄色い花を咲かせてくれています。
今年は、ひまわりを植えていませんので、わが家の庭の夏のエースは女郎花に託しています。

この夏は、十年に一度の暑さになるといった報道を見ました。わが国のすばらしい風土の象徴ともいえる四季が、そう遠くない時期に、夏と冬だけの二季になるという意見を述べられている人がいました。
今日という一日が終っても、また明日には同じような一日がやって来るものだと思って、それも、何の疑問も抱くことなく、この数年を生きているような気がします。
ほんとうは、自然でさえも変化しており、わが家の小さな庭でさえ、日々、一刻一刻その姿を変えているはずです。
少々大げさな表現かも知れませんが、そう考えながら、ぎらぎら陽光に輝いている庭を見ていますと、わが身の周辺だけは、何の変化も起らないことを条件に成り立たせていることに驚きを感じます。
と言って、何が出来るわけではありませんが、動物にも、植物にも、自然の変化にも、そして人に対しても、今よりほんの少しでも優しくありたいと思えてきます。

( 2024 - 07 - 20 )



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