雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

ちょっと一息 ・ 平安の言葉

2014-06-08 11:00:40 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
      枕草子  ちょっと一息 


平安の言葉

清少納言が生きていた時代、人々はどのような言葉を話していたのでしょうか。

テレビドラマや映画などで、私たちは平安時代の人々が会話するシーンを見ることが出来ます。
おそらく、歴史や時代考証などに優れた知識を持つ人たちが「セリフ」を作り上げていくのでしょうが、きっと大変な作業でしょうね。
私たちは、それもある程度年齢を重ねている人は、平安期のドラマ、例えば、源平をテーマとしたもの、平安王朝を描いたものなどを通じて、その時代の人たちの言葉にある程度の知識を持っているような気がします。
いつの間にか、それが平安の言葉だという錯覚が身についてしまっているわけです。

しかし、正しくは、当時の話し言葉が残っているわけでもなく、きっと相当違うような気がするのです。
文章に書かれている言葉であれば、枕草子をはじめかなりの文献がありますので、その中から話し言葉をある程度推定することが出来るかもしれません。ただ、当時は書き記す言葉と話し言葉とにはかなりの差があるような気がします。
また、貴族たちの会話であれば、近代の宮中や公家社会の方の話し方から、当時を推し量ったりすることが出来るかもしれませんが、やはり千年の時を経ていれば、相当違うはずです。いわんや、一般庶民の話し言葉となれば、全くの想像だけではないでしょうか。

枕草子には、「さわがしきもの」といった形の章段がいくつかあります。それらの中身を見ていますと、かなり感覚の違うものもありますが、多くの言葉が現代の私たちにも理解出来る使われ方がしています。それを考えると、案外、千年という時間の差など大したことはないのかもしれません。

枕草子の中にも、会話調の部分が数多く登場します。その意味を知ることも楽しみですが、本当はどのように話したのか、実際に口に出してまねてみるのも面白いですよ。
但し、くれぐれも他の人には聞かれないようにする方が無難ですよ、念のため。

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