マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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山添大塩八柱神社秋祭りの座

2010年11月09日 07時45分04秒 | 山添村へ
山添村大塩八柱神社の祭礼には二つの座がお渡りをする。

一つは寺座であって公民館から歩いて階段を登り神社に着く。

もう一つの座は宮座と呼び神社の参籠所からお渡りをする。

いずれも裃を着衣して御幣を持つ2人の当家がお渡りをする。

足下は神つけ草履履で刀を差した出で立ちだ。

寺座は神社より下方にあるが上座という。

この座はさらに二つの座が存在する。

オモテ座とウラ座だといい組織構成はとても難しいと総代の一人が話す。

宮座は神社側になるが下座であるという。

村中を巡行してきた子供御輿は境内に置かれ神事が始まったようだ。

「ようだ」と言わざるを得ないのは目撃していないからだ。

祭りの開始時間には間に合わなかったのだ。

既に神事が行われている。

まずは寺座が先に着いて本殿にあがる。

3人の神社総代によって厳かに御幣奉納神事が執り行われた。

一旦下がって寺座は拝殿で待つ。

そこへ登場したのは宮座だ。

参籠所に座る氏子に挨拶して出発した。

お渡りは僅かな距離。数歩で拝殿に着いた。

本殿に向かって寺座と同様に神事が行われた。

その間、子供御輿を曳いてきた法被姿の子供たちも頭を下げて拝礼する。



それらを終えて両座は下がっていく。

宮座は参籠所へ。寺座は公民館に戻って行く。

寺座はお旅所になるのだと総代の一人が話す。

そして宮座では見られない相撲が寺座で行われる。



裃着衣を下げた刀を持って登場したのは二人のふんどし姿。

白足袋を履いた当屋力士の二人だ。

行司(翌年に当家になる)を挟んで立った力士。

そこには箱膳を前に置いた筵敷きの土俵だ。

行事は扇を手にしている。

膳の上に刀を置いた力士は見合って、「シャーン シャン」の掛け声と共に両手の手打ち。

すぐさま「シャン」の掛け声がかかって手打ち。

力士は左手を揚げて大当家の勝ちー。

今度は右手を揚げて小当屋の勝ちー。

行司が持つ扇があがった。

刀相撲と呼ばれる神事相撲は、大相撲のような取り組みでなく、形だけの所作をする。

こうした相撲の形態は珍しく、県内でも十数例しか見られない神事相撲の一つであろう。



このあと本膳を取り去り登場したのは子供たち。

幼児の組み合わせもあれば小学生も。

女子も参加する子供相撲。

見合って終わる場合もあれば、組んで倒さなくとも相撲をしたことになる。

両者引き分けー。褒美にお菓子をもらっていく。

一組目の子供相撲を終えるとふんどし力士は再び登場する。

作法は1回目と同じだ。

勝ち負けは大当家と小当家、いずれも勝つことになるそうだ。



相撲はご褒美がある限り続けられ、最後の余興では腕相撲まで飛び出した。

村人たちが見に来る祭りの楽しみはここにある。

相撲を終えた座衆は公民館の座敷にあがって直会を始める。

膳を配ったり、酒を酌して回るのは当家の若い衆。

両座の4人は忙しく動き回る。

寺座は二つの座であるがゆえ当家は4人になる。

そのうちの年長者は大当家でもう一人は小当家を呼ばれている。

当家の廻りは年齢順になるという。



四角い膳に盛られた食べ物は6品。

2個のモチは中央、両端に七粒のエダマメ、米粉(上新粉)、ドロイモのクルミ、キナコ、アラメだ。これをムラゼンと呼ぶ。

クルミはエダマメを磨りつぶしたものだ。

砂糖を少々入れているので、甘く口の中でとろける。

昔はここにミソもあって7品だったそうだ。

酒宴は酒が入るにつれ余興が飛び出す。

唄われたのは伊勢音頭。

「・・・ヨーイヤナー アレワイセ コレワイセ ヨーイントセー」の台詞が部屋中に聞こえる。



数人が唄って「シャンシャンシャン」の手拍子で締めた。

およそ30人の男たちが集まった直会は区長の挨拶と万歳三唱で終えた。

(H22.10.10 EOS40D撮影)