マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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山添北野天神社宵宮豊田楽

2010年11月10日 08時28分09秒 | 山添村へ
奈良県東部の山中には田楽などの神事芸能が奉納されている地区が多い。

その一つに山添村北野の天神社で行われる「豊田楽(ほうでんがく)」がある。

当屋とお渡りの七人衆は出発を祝う豊田楽を公民館の前で披露したのちに神社までお渡りをする。

烏帽子をかむり、素襖(スオウ、発音上ではソウ)姿で太鼓や手作りの竹笛、「ジャラジャラ」と呼ばれるササラを持つ七人衆たちだ。

「舞床」と称される舞殿で田楽を披露された。

ジャラジャラを中央のむしろの上に置いて扇であおぎ回る。

不思議な動作は食生活に欠かせない大切な火をおこす所作だという。

「ようごうの松から松のようごうのおうごうの松…」。演者が登場して目出たい言葉が連なる豊田楽の詞章を唱えた。

これは3番まであって一人一人入れ替わる。

1番は「ようごうの松から松のようごうのおうごうの松 せいようの春のあしたには 門に小松を立て並べ 治まる年のしるしには 民のかまどに立つ煙 ようごうの松から松のようごうのおうごうの松 (住吉の松 ふるや入道)」。

2番は「鶴は千歳ふるとやきみみこがふる (はー) あずのまるやに住む人は 波がういてちぬうらの あさかがさとをならび見て 人をとうみるやすやすさ 鶴は千歳ふるとやきみみこがふる (万歳楽に ふるや入道)」。

3番が「大前なる大前なる  (はー) 亀は亀 鶴こそふりてまいやすの 鶴の子の やしゃ孫の育とうまでも ところは栄えたまうべきや 君が代は (千秋楽に すみや入道)」である。

奉納を終えると参籠所に移る渡りの衆。



新調された装束を身につけている。

寄付金で賄った着物にはそれを表すトレードマークが縫いつけられている。

当屋長老と孫男児と渡り衆の座の前に、区長や氏子総代、参拝者代表が進み出てそれぞれ「ご苦労さまでした」と奉納舞への御礼を申し述べる。

御神酒を注いで回るのは当番の年預(ねんにょ)さんだ。

これは「御神酒拝戴(ごしんしゅはいたい)の儀」と呼ばれている儀式である。

昔はこのような儀式はなかった。

村の神主さんが言うには「それでは申しわけないと新たに組み入れた儀式だ」と話す。

(H22.10.10 EOS40D撮影)