マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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藤井三十八神社祭り宵宮

2010年11月28日 09時36分00秒 | 天理市へ
祭り宵宮の日は朝から忙しい当家のNさん。

天理市藤井の三十八(さんじゅうはち)神社の当家だ。

拝殿に提灯を掲げ、席などを作る。

長老の宮本6人衆と役員、当家の席だ。

実はNさんは前年の当家だった。

ところが当家を継いだのは長男だった。

N家としては2年連続の当家になった。

当家は村入りした順となっている。

その順に数え年が18歳になった長男がいるならばその子の家が当家になる。

当家を勤める人はトーニンと呼ばれている。

午前中は当家の家でヨバレがあった。

宮本6人衆と役員は接待を受ける。

パック詰め料理に代わったものの煮物料理は今でも続けている。

ドロイモ、ダイコン、コンニャク、チクワを煮た煮染め料理。

昔は相当な量を炊いた。

ドロイモは皮をめくる手間がいる。

バケツ三杯も分けてこしらえた。

余った料理は「送り膳」といって参拝できなかった家に配ったと区長の奥さんは話す。

接待の時間はモチを搗く時間でもある。

モチ作りを済ませた当家と6人衆。

ソウ(充てる漢字は素襖であろう)と呼ばれる衣装に着替える。

トーニンは白色、6人衆は紺色だ。

区長や役員は礼服になった。

トーニンはもう一人居る。

次の当家となる受け当家(ウケドと呼ぶ)だ。

受け当家はオトウトトーヤとも呼ばれている。

それに対して本当家はアニトーヤになる。

区長、神職を先頭に歩き出したお渡り。

トーニンは大きな御幣を持つ。

N家は道路を隔て村の外れ。

相当な距離を歩く。

杖をつく2人の長老は車で送られた。

ちなみにオトウトトーヤのUさんは自宅が神社の真ん前。

来年のお渡りはあっという間に着いてしまう。

神事が始まるころには村の人が集まりだした。

「みんな並んでや」と言われて拝殿前に立つ。

とはいっても顔はこわごわ。

お寺の梵鐘付近に蜂の巣があったのだ。

巣は除去したものの何匹も飛んでくる蜂。

網で採って除去する。

参拝どころではない様そうとなった。

拝殿から本殿に向かう階段には筵が敷かれた。



神職は祓えの儀、祝詞奏上、奉幣振りなど厳かに行っていく。

それが終われば撤饌となる。

参拝者は一列になってお供えを公民館に手渡しする。

そして始まった子供の相撲。

14歳までの男児が取り組む。

今年は2人。うち一人は学校を半ドンしてやってきた。

小学校の配慮である。

行司役を務めるのは当家がお願いした村人。



宮本の軍配を差し出して一本勝負。

土俵はブルーシートにマットだ。

動き回るからこれくらいの大きさの土俵が丁度いいそうだ。

一本を終えたら甘酒をいただく子供力士。

もう一本の勝負が待っている。

早くも結びの一番となった。

はっけいのこった。

押して押して勝負はつかず、引き分けの軍配がでた。

式典を終えて公民館では直会が始まった。

当家の家でよばれた煮染め料理もだされている。

甘酒やお神酒が注がれて料理をいただく。

すべてを終えると供えられた神饌のお下がりが分けられる。

ナシ、ミカン、カキ、ユズにマツタケまである。

それらは村入りした順に配られる。

(H22.10.20 EOS40D撮影)