マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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中ノ川三社神社宵宮

2010年11月22日 07時49分29秒 | 奈良市(東部)へ
奈良市から浄瑠璃時に向かう街道にある中ノ川町。

全戸20軒ほどの集落は市街から数キロメートルしか離れていないのに山間農村の佇まいをみせる。

村の奥に鎮座するのは氏神さんを祀る三社神社だ。

アマテラスオオミカミ、八幡さん、春日さんを1社で祀っている。

境内からは急な石段で上がる。

それも本殿前で折れ曲がったような回廊だ。

その天井板には寄進した人の名が記されている。

提灯を設えて灯りを点けた。

燈籠にはローソクを点す。

今夜は氏神座流の宵宮だ。

長男が数え年15歳になれば座入りする。

それは12月6日の座入り儀式で認められ、すぐさま次の祭りには参列することができるのだ。

婿養子が村入りした場合も座入りする。

そうなれば座入りした順は年齢が逆転することもあるそうだ。

祭りを営むのはトーヤの5人。

32軒で回っているトーヤたちだ。

座の最年長者から5人は5人衆と呼ばれている。

5人衆のうち一番若い人が村の神主となって村の祭祀を司る。

年長者が引退しない限りそれは代わらない。

上着に羽織を着た5人衆。本殿の前に立った。

トーヤたちも並ぶが狭い本殿前にはそれほど多くの人たちは入ることはできない。

回廊下の階段に立つ。

夜中の神事が粛々と行われたあとは旧観音堂の座敷に座る。

上座は神職と長老たち。

周りは氏子。座敷外にはトーヤたち。



酒器とカワラケを持ったトーヤは二手に分かれて酒を注いでいく。

中身は甘酒だ。

一杯いただいて一旦引き上げるトーヤ。

今度は塗りの椀に器を替えて差し出した。

同じように回って酌していく。

そしてトーヤの一人が口上した。

「もう一献 さしあげましょうか」と口上すれば「いやもうけっこうです」と返ってきた。

大切な儀式の口上は最年少者が行った。

その後は緊張感もときほぐれてお下がりのお供えを肴に酒宴となった。

宵宮の夜は深々と更けていく。

(H22.10.16 EOS40D撮影)