マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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北野山町戸隠神社宵宮のウタヨミ

2010年11月11日 07時19分13秒 | 奈良市(東部)へ
奈良県東部の東山中辺りでは田楽などの神事芸能を奉納されている地区が散見される。

奈良市では丹生町丹生神社柳生町八坂神社阪原町長尾神社邑地町水越神社大保町八坂神社水間町八幡神社大柳生夜支布山口神社下狭川九頭神社。山添村では北野天神社室津戸隠神社桐山戸隠神社峰寺六所神社中峯山神波多神社などだ。

布目川沿いに位置する北野山町の戸隠神社で演じられる田楽も一連の東山中の神事芸能として無形民俗文化財に指定されている。

宵宮の夜、前月の12日に振り上げで決まったゴヘイモチの当家を先頭に出発した渡り衆の一行は神社を目指してお渡りをしてきた。

ジャリジャリと呼ばれるササラ、横笛、太鼓を持つ渡り衆が続く。

北野山町には山の神がある。お渡りの際にはその山の神に向かって今年もよろしくお願いしますと拝礼してやってきた。

下駄から草履に履き替えて本殿に登っていった。

暗闇のなかで行われる神事。拝殿下で拝見する氏子や当家家族。

秋の虫の声に混じってウタヨミが聞こえてくる。

目出度い詞が連なる謡い語りだ。

始めに渡り衆のなかから若い者が一人歩み出て「あかつきおきて そらみえる こがねまじりのあめがふりて そのあめようて そらはれて ところがさかえる たまぶうえし きみがよ」を謡う。

ジャリジャリ、横笛、太鼓を鳴らされているかどうか耳には入らない。

次に年長者が歩み出て謡う。

「せいようのはるのあしたには かどにおまつをたてならべ おさまるみよしるしには たみのかまどにたつけむり まつからまつへ ようごのまつ」。

周りの衆は「ハァ」と掛け声を掛けてジャリジャリ、横笛、太鼓を鳴らす。最後は当家が締めくくる。

「やっととんとん(3回繰り返す)」、「おんまえならおんまえ かめはかめ つるこそふれてまえあそび つるのこやしゃまごの そだとうようまで ところがさかい(処が栄えるの意) たまぶうえし(賜って嬉しいの意) きよがつは」の詞章を述べる。

最後はジャリジャリ、横笛、太鼓を鳴らしながら揃って「きみがよは かねてこそ ひさしかるべき すみよしの まつやにゆうどう」と謡った。

このときには謡の声や鳴り物の音色が聞こえてきた。



奉納を終えた一行は参籠所に移った。

枝付きのエダマメが差し出され酒をいただく。

ほどなく渡り衆は戻っていくものの参籠所では氏子たちの直会となった。

茹でたエダマメはとても美味しい。

(H22.10.10 EOS40D撮影)