マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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脇本の泥棒除け札

2010年11月17日 09時53分06秒 | 民俗あれこれ(護符編)
脇本に住むMさん。春日神社の一老を勤めていた人だ。

一旦は引退されたが氏神さんの総代になった。

そのMさんのお宅を訪ねた。

ふと玄関口を見上げればなにやらお札が貼ってある。

目をこらしてみれば「十二月十二日」と書いてある。それも逆さまからだ。

大阪、河内、金剛山葛城山を越えた辺りに分布していたようだ。

このお札は泥棒避けとされているそうだ。

何年前かのことだと話すMさん。

家に帰ったら玄関をドンドンとしている見知らぬ人が居た。

帰ってきたMさんを見るやいなや垣根を飛び越して逃げていったそうだ。

それから不安になった。

近所でその話しをすれば良いお守りがあると教えてもらった。

それが「十二月十二日」のお札だ。

ありとあらゆる家の扉に貼り付けたお札。

効き目があったのか、それからは不安も危害もないという。

魔除けの一種だと思ってはいるが心が安らぐと話す。

この風習を教えてくださった人は地元の人のNさん。

どういういきさつで貼っているのか一度お聞きしたいものだ。

私の実家になる大阪でもしていた泥棒除けの札。

祖母が生きていた頃だった。

毎年していたのを子供のときに目撃していた。

祖母は河内の出身でなく大阪市内の中央にある中之島。

戦災で焼けるまでは呉服屋だった。

その娘だった祖母。

それはともかく情報によれば奈良の料亭の菊水にもあるようだ。

また知人の話では奈良町辺りでも見かけたことがあるという。

大和郡山の春岳寺の住職によれば京都から伝わったのではないかという。

今夏に東京へ転勤された新聞社支局次長の話では丹波から伝播したのではないかという。

どれが事実なのか判らないが文化圏はかなり広かったのであろう。

流通、交通、姻戚などに関係した人が動いた結果なのかもしれない民間信仰である。

(H22.10.15 EOS40D撮影)