マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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別所町金刀比羅神社月の数参り

2011年10月13日 06時42分12秒 | 奈良市(東部)へ
平成21年4月26日に造宮された奈良市別所町の金刀比羅(ことひら)神社。

真新しい朱塗りの本殿が美しい。

六社権現を祀る神社であったが、明治以降はコンピラさんを祀ることになったそうだ。

神社行事を司っているのは一老から四老。

五老や六老も居るらしいが神主成を勤めるのは一老。

毎月の朔参りには境内に祀っている三輪大明神さんの棚にお供えをしてお参りをしている。

この日は朝早くから同町と杣ノ川町との境界にあるカイトノモリで参拝をしていた。

そして再び金刀比羅神社に集まった氏子総代の長老たち。

本殿に向かって拝礼を済ませた一同は砂利を敷いた境内中央で○型の円を描きだした。

そこには直線の筋も書く。

そうして円を中心にぐるぐると右回り。

一周する度に一枚のサカキの葉を落としていく。

どうやら数を数えているようだ。



その行為は12周も回って終えた。

無言で回る回数は月の数だという。

閏年はそれが13周になるそうだ。

かつては境内に生えていた木の周りを回っていた。

それは台風で倒れてしまった。

本殿や舞殿には倒れずに境内側だったそうだ。

倒れたご神木は高値で売られて神社の社務所になった。

ありがたい大杉だったという。

その名残の跡をぐるぐる回る作法には名が付いていない。

元にあった大杉を示すのに○型の円を描いたということだった。

直線と言えば、それはスタートライン。

こうしておかないと回った回数がわかなくなるのでそうしているそうだ。

一年の月数を回り地区の安全を祈願しているのだろうか。

お百度参りでもなく、風祈祷のような垢離取りでもなく、ただひたすら無言でぐるぐる回る不思議な作法はカイトノモリの参拝でもそれをされた。

「月の数だけ回るんじゃ」というだけに「月の数参り」と呼びたい。

前夜は布団持ち込んでミヤゴモリをしていた。

マツリの人(4人のトーヤ)だけが泊るという。

その翌朝が「月の数参り」。

当日の昼は再び社務所に集まる。

気のあったものだけが会食する日送りだという。

もしかとすれば月の数参りは日送りの作法であったのだろうか。

(H23. 9.16 EOS40D撮影)