マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

旧西吉野村永谷の稲刈りにハゼ場

2017年05月08日 09時31分15秒 | 民俗あれこれ(干す編)
十津川村・谷瀬のハダ架け取材した帰り道。

旧大塔村住民が住まいするお家に立ち寄った。

滝川、内原、谷瀬で拝見したハデ架けの話しをすれば住まいする地域にもあったという。

今では架けることもなくなった構造物が残っているそうだが、拝見する時間もなく場は断念した。

男性が云うには他村でも見たことがあると・・・。

そこは旧西吉野村の永谷(えいたに)。

数日経った9月15日に訪れた。

温泉は入っていないが、日本の原風景だと男性が話していた永谷の情景を見たくなったこともあって立ち寄った。

母親と息子のY親子二人が稲刈りをしていた。

お声をかけて多段型のハサ架けを尋ねたら、これらすべてを刈り取ってからになるという。

稲刈り機械が入る処は先にしておく鎌の手刈り。

母親が刈っていた。

刈った稲束は腰にすえていた。

そう思ったが実は違っていた。

刈り取った稲束を束ねる紐代わりの藁であった。



藁で括ってくるりと回転させて〆る。

崩れないようにした稲束は畦に置いていく。

その場の向こう側にあるのが温泉施設。



平成27年4月に創業した「西吉野桜温泉令和4年11月末に閉店>」は宿泊もできるし食事もできる。

母親はこの地に住んでいる。

息子さんは平坦部の大和高田で暮らしている。

天気が良い状態になればこうして母親の稲田にやってくる。

作付け、栽培の品種は粳米のイクヒカリ。

2反半の田んぼで耕している。

親子が云うにはここの稲架けは「ハゼカケ」と呼ぶ。

奥にも多段型の「ハゼ場」があるというから探してみた。

永谷の集落戸数は多くない。

ここらは国道沿いの1軒を入れて5軒の村。

尤も永谷は全戸で24、25軒になるようだ。

道なりに登っていけば峠にでる。



そこから見下ろす景観は壮観だが、今回の目的は多段型の「ハゼ」である。

稲刈りをしていた親子が云っていたこれがそうだ。

畑も狭いし、道も狭い。

奥が狭いから構造物はこういう建て方になる。

多段型の「ハゼ」は横並び。

数えてみれば8段から10段。

段数まちまちの構造物である。

主を訪ねて声をかけたがこの日は不在だった。

横並びの「ハデ」の支柱は8本から11本。

全景を撮るに難しい構造物だ。

その場より下ったところにもあった「ハゼ」の支柱は4本。



細い街道に面して、より直角に建てている。

4本支柱で立てた横並びの「ハゼ」。

Yさん夫妻がいうにはこれを「ハデ」と呼ぶ。

先の親子が云っていたのは「ハゼ場」であったが、夫妻は「ハデ」という。

お家はそれほど離れていないが、呼び名が異なっていた。



天候と田んぼの乾き状態をみて稲刈りをするのだが、今年は長雨。

時季を逃せばと判断されて先の親子同様に雨が降る前に稲刈り作業をしていた。



泥田で稲刈り械を操作するのが困難。

足が泥田に埋まりそうになるから上手く操作できない。



年がいけばなおさらやと話していた横で、たまらんと、笑顔で笑い飛ばしていた奥さんの表情が素敵に思えた。

ちなみに先に取材させていただいたY親子は、5月20日頃に田植え。

稲刈り・ハデ架けは9月15日から始めた。

天日干しはたっぷり確保して、11月初め頃に降ろして脱穀すると話していた。



そんな状況は出来る限り記録しておきたい。

天候と乾きの状況を見つつ、時期がきて下ろすときには是非とも取材させていただきたく電話番号を教えてもらった。

(H28. 9.15 EOS40D撮影)