マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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吉田の石売り行事を聞く

2017年05月16日 08時16分40秒 | 山添村へ
小倉の行事を取材した次の行先は山添村の吉田。

同行していた写真家のKさんが取材したいと願われた地を案内する。

その地はとても狭い里道を行く。

車の幅いっぱいにしかない里道は慣れないと怖いものだ。

一度は体験しておかねばと思って案内する。

吉田に鎮座する氏神さんは岩尾神社。

祭りの特徴は子どもが境内に座って大人に石を売る石売り行事がある。

祭りに付随する行事であるが県内事例としても珍しい。

それを見たいと申し出たことから当地にやってきた。

神社に登る階段は急勾配。

心臓が弾けそうな階段の両側に美しい植物が埋まっている。

あまり見かけない植物は貴重なものであるかもしれない。

それはともかく村の人が見つからない。

しばらく待っていたら人影が見えた。

訪ねたお家は週末実家滞在のK夫妻だった。

旦那さんは畑仕事に出かけていた。

奥さんに聞けば人が少なくなったので祭りを続けていくのが難しくなったという。

話していたときだ。

軽トラに乗った村の人がやってきた。

お住まいはすぐそこだ。同じようなお話をされる石売り行事は平成24年の10月21日に取材したことがある。

辛うじて子どもさんが数人いた。

あれから4年後、話の状況からすれば諸事情によって若干の人数に変移があったようだ。

対象の子供は3歳児から小学生まで。

今年は4人になるらしい。

先が見えている石売り行事は子どもがおってこそできる行事。

難しくなったとOさんが話す。

吉田の石売り行事は平成24年の10月21日に取材させてもらった。

Oさんが云うには美しい石は村下を流れる石張川で拾っていたそうだ。

拾った綺麗な石はカゴに入れて運んだ。

そのカゴごと岩尾神社の本社殿下の一角に座って並んだ子どもたちが石売りをしていた。

やってきた参拝者がお金(祝儀袋に百円は五百円、そして千円にした)を入れるとカゴの中の石を座席後方に放り投げた。

その子どもたち。

2、3年前ぐらいからいなくなった。

他市町村に嫁いだ人らが村のマツリに帰ってきて賑やかだった。

昔の石売り行事は小学生までの男の子だけでしていたが、少子化の関係で女の子も入れて継承してきた。

うちの孫は中学二年生。

石売りできない年齢になったという。

吉田は27、8戸の集落。

現状は10戸ぐらいでしている行事の現状を聞かせてもらって、とり急ぎ、取材させていただく旨を伝えて吉田を離れた。

(H28. 9.17 記)