ためしに小説を書いてみました。出来栄えの方は保証できませんが、お楽しみください。
事業で成功し金に困らない生活が身についた男の自信も窺える。
「東だが、どんなご用件で?」食えない男だ。千葉から用件を電話で聞いているはずなのに。話す用件なんてないに等しいからどうでもいいが。
「千葉からお聞きだと思いますが? 失礼ですが、入れていただけませんか?」と生実が言う。ドアを一旦閉めて、チェーンのガチャガチャと言う音とともにドアが一杯に開けられた。
「どうぞ」東は大理石の廊下を先に立ってリビングの方に歩き始めた。
生実は肩でドアを閉め、ジャケットの右ポケットに入れていた手をゆっくりと抜き出した。
リビングに置いてあるソファの前で、東は振り向いて驚愕の表情を浮かべた。目は大きく見開いて口をぽかんと開けている。まるでアンコウが大口を開けたみたいだ。
生実が両手で構えて握っているスミス&ウェッソン九ミリオートマティック拳銃は、ぴたりと東の心臓に照準を合わせている。音もなく発射された弾丸は、確実に東の心臓を撃ち抜いていた。弾丸を受けた反動で東は仰向けに倒れた。ソファの前のクリスタル製のテーブルにぶつかることもなく。
生実は、部屋を見回した。パナソニックの六十五型大画面テレビと五・一チャンネル・システム・シアターがすえられている。大振りの観葉植物が二本、入口の近くとソファの奥に置かれている、ソファの後ろの壁には、生実の知らない画家の、ブルーと白が基調の、どこか海浜のカフェテラスの人々が描かれた絵がかけられていた。
大きく開口をとった窓から東京湾が望め、陽射しを受けた波頭がきらりと光るのが見えた。
腕の時計を見ると五分経過していた。東の目は虚空を睨んで、今にも飛び掛ろうとしているように怒りがにじんでいた。血の海はゆっくりと広がり始めていた。頸動脈にラテックスに包まれた手で触ると、何の反応も返ってこなかった。完全に死んでいる。もう、大口をたたくことも、心にもないほめ言葉や女を口説くことも出来ない。
ドアに向かいながら、目の隅にテーブルの写真に気づいた。手に取って見ると、一瞬息を呑んだ。一人の女性と二人の子供が、満面に笑顔を貼り付けて写っていた。
その女性に気を取られていた。女性は三十代後半か四十代始めかもしれない。若く見えるが、子供の母親だろう。着ている服装から結婚式で撮ったようだ。すらりとした体に濃紺のスーツが細面の顔立ちを引き立て、真珠のネックレスが一層楚々とした雰囲気を醸しだし、イヤリングがカメラのフラッシュに反射している。乳房の大きさがはっきり分かるくらい、胸が突き出ている。生実は股間の疼きを感じた。
事業で成功し金に困らない生活が身についた男の自信も窺える。
「東だが、どんなご用件で?」食えない男だ。千葉から用件を電話で聞いているはずなのに。話す用件なんてないに等しいからどうでもいいが。
「千葉からお聞きだと思いますが? 失礼ですが、入れていただけませんか?」と生実が言う。ドアを一旦閉めて、チェーンのガチャガチャと言う音とともにドアが一杯に開けられた。
「どうぞ」東は大理石の廊下を先に立ってリビングの方に歩き始めた。
生実は肩でドアを閉め、ジャケットの右ポケットに入れていた手をゆっくりと抜き出した。
リビングに置いてあるソファの前で、東は振り向いて驚愕の表情を浮かべた。目は大きく見開いて口をぽかんと開けている。まるでアンコウが大口を開けたみたいだ。
生実が両手で構えて握っているスミス&ウェッソン九ミリオートマティック拳銃は、ぴたりと東の心臓に照準を合わせている。音もなく発射された弾丸は、確実に東の心臓を撃ち抜いていた。弾丸を受けた反動で東は仰向けに倒れた。ソファの前のクリスタル製のテーブルにぶつかることもなく。
生実は、部屋を見回した。パナソニックの六十五型大画面テレビと五・一チャンネル・システム・シアターがすえられている。大振りの観葉植物が二本、入口の近くとソファの奥に置かれている、ソファの後ろの壁には、生実の知らない画家の、ブルーと白が基調の、どこか海浜のカフェテラスの人々が描かれた絵がかけられていた。
大きく開口をとった窓から東京湾が望め、陽射しを受けた波頭がきらりと光るのが見えた。
腕の時計を見ると五分経過していた。東の目は虚空を睨んで、今にも飛び掛ろうとしているように怒りがにじんでいた。血の海はゆっくりと広がり始めていた。頸動脈にラテックスに包まれた手で触ると、何の反応も返ってこなかった。完全に死んでいる。もう、大口をたたくことも、心にもないほめ言葉や女を口説くことも出来ない。
ドアに向かいながら、目の隅にテーブルの写真に気づいた。手に取って見ると、一瞬息を呑んだ。一人の女性と二人の子供が、満面に笑顔を貼り付けて写っていた。
その女性に気を取られていた。女性は三十代後半か四十代始めかもしれない。若く見えるが、子供の母親だろう。着ている服装から結婚式で撮ったようだ。すらりとした体に濃紺のスーツが細面の顔立ちを引き立て、真珠のネックレスが一層楚々とした雰囲気を醸しだし、イヤリングがカメラのフラッシュに反射している。乳房の大きさがはっきり分かるくらい、胸が突き出ている。生実は股間の疼きを感じた。