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読書 リンダ・ハワード「一度しか死ねない」

2006-10-24 10:31:18 | 読書
 前回に引き続き女性作家の作品。タミー・ホウグより読みやすい。くどい記述がないからだと思う。
                
 引退した連邦判事の屋敷で執事として、おまけにボディガードも務めるセーラ・スティーヴンズ30歳。連邦判事が殺害されその捜査を担当した刑事トンプソン・カーヒルは、セーラを一目見るなりオスの本能が刺激される。

 早くも33頁目でセーラもまるで野獣の本能のように、男のフェロモンを嗅ぎ取る。
 引用すると“彼を一目見たときから鼓動は早くなっていて、今でもやけに速いペースで跳ねている。神経化学物質のいたずらか、生命の不思議か、はたまたその二つが結びついたものか、いきなり彼に欲望を感じてしまったのだ”

 女性作家二人の作品から窺えるのは、女性も内奥では性を強く意識しているということだろう。それにしてもこの人のセックス・シーンはまるで格闘技。とはいっても参考になる記述もある。

 射撃場で、左手で銃を撃つ場面“左手で銃を取り、右手で左手首をつかんで支え、冷静にいつもの手順で弾倉が空になるまで標的を撃った”

 それに葬儀については、この物語の舞台がアラバマ州で“南部の葬儀は伝統と格式があり、感傷的だが最後には慰めがもたらされる。
 葬列が墓地まで進む間、通りかかった車はみな停まった。葬列が滞りなく進むように、警察車両が交差点を遮断していた。
 セーラはずっと、葬儀の際の交通エチケットを面白く思っていたが、いざ葬列の中に入ってみると、その思いやりがありがたかった”死者に対する敬意と哀悼がみてとれほっとする。

 余情が足りなかったかなとは思うが。著者は全米女性の圧倒的な支持を誇る人気作家というが。
コメント
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