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映画 アンソニー・ホプキンズ「アトランティスのこころ(‘01)」

2008-01-17 13:19:16 | 映画

“過去はいつも人の心を飲み込んで連れ去る。行き先を知るすべはない。いい思い出があるように願うだけだ”こういうナレーションに続いて、写真家のボビー・ガーフィールド(デヴィッド・モース)の元にサリーの古い野球のグローブ届く。中に子供時代からの親友サリーが交通事故で亡くなったことを知らせる手紙が入っていた。
              
 サリーやキャロルとは遊び仲間で、森の中を走り回ったり小川で泳いだりした三人組だった。観覧車の中でのファースト・キスの相手がキャロルだった。
              
 そしてサリーの葬儀でキャロルも亡くなっていたことを知る。朽ち果てたかつての我が家を訪れて過去がよみがえってくる。

 二階の下宿人としてテッド・ブローディガン(アンソニー・ホプキンズ)がやってくる。何でも見通す不思議な力を持つテッドからいろんなことを学び友情が育まれる。テッドは自分が追われていることも分かっていた。そしてFBIがテッドを連れ去り、母の仕事の都合でサリーやキャロルからも遠くの土地に離れ離れになる。ボビーにとって忘れえぬ思い出だった。
              
“心の目を開き未来へと向けてくれた。彼のことは忘れない。何があろうと、決して”というボビーのナレーションで終わる。

 原作はスティーヴン・キングで、映画手法も「スタンド・バイ・ミー」にそっくり。「スタンド・バイ・ミー」も作家が回想するという形式だった。この映画は、中高年・熟年向きなのではと思う。
 少年時代の過去を振り返ることが出来る年代だからだ。バックに流れるザ・プラッターズの「オンリー・ユー」が1960年代のでかいアメリカ車とともに懐かしく思い出される。中高年や熟年世代ならラスト・シーンは身震いするほど涙腺が緩むのを感じるはずだ。
 過去の追憶から覚めて、あの頃吊るしてあった風鈴を拾い上げて、元に戻しているとボビーに声がかかった。「中に入っちゃダメよ。危ないから」可愛い女の子が声をかけてきた。
「昔住んでた」戸惑った表情でボビーが応えて「君もこの町に?」
「ずっとね」と少女は言いながら歩き去ろうとした。
「待ってくれ。君のママは…もしかして、キャロル・ガーバーかい?」(この場面には伏線があって、ボビーがキャロルの家の前を車で通るとき、玄関ポーチに出てきた少女を目にしていて、いま見当をつけたようだ)
「死んだわ。何年も前に」
「残念だよ、手紙も書かずじまいで」
「それじゃ…観覧車の男の子ね? ママに聞いたわ」
「内緒のはずなのに」
「ステキな子だったて」
ボビーはチョットはにかんで「彼女がね」と言って自宅から持ってきたキャロルのポートレートを娘に手渡した。
 じっと見つめる娘に「ボビーだ」といって手を差しのべた。娘は「モリ-よ」と言って握手に応えながらも、少し涙ぐんでいるようだった。
 モリ-は坂道を降りて行った。モリ-に手を振って別れを告げた。坂道に積もった雪の先に、遅い午後の西日が家々を黄金色に染めながら、輝いているのが見えた。

 監督 スコット・ヒックス1953年3月ウガンダ生まれ。テレビ界からスタート、ドキュメンタリーを手がけ‘96「シャイン」でアカデミー監督賞にノミネートされた。’07「幸せのレシピ」もあり、現在はドキュメンタリーの世界に戻っているようだ。
 キャスト アンソニー・ホプキンズ1937年12月イギリス・ウェールズ生まれ。映画デビューは‘68「冬のライオン」で’91年には「羊たちの沈黙」でアカデミー主演男優賞を受賞。‘93年ナイトの称号を受ける。
 デヴィッド・モース1953年10月マサチューセッツ州ハミルトン生まれ。1980年からの長い芸暦。
 ボビーの子供時代を演じたアルトン・イェルチン1989年3月ロシア・サンクトペテルブルク生まれ。
              
 キャロルを演じたミカ・ブーレム1987年8月アリゾナ州生まれ。
 サリーを演じたウィル・ロスハー1987年1月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
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