Wind Socks

気軽に発信します。

詩を映像化した「サイの季節'12」劇場公開2015年7月

2016-04-22 16:23:03 | 映画

               
 この映画、実は2012年、第13回東京フィルメックスの特別招待作品で、クロージング上映されたという。劇場公開が2015年というから3年ほど眠っていたことになる。配給会社の事情があるのだろう。

 この映画にリアリズムを求めると理解不能に陥る。クルド系イラン人の詩人サデック・キャマンガールの実体験を元にした映画だそうだ。

 詩人サヘル(ベヘルーズ・ヴォスギー)は、30年ぶりに出所した。これには癒しがたい怨念が心に巣食っている。イラン革命のときサヘルの詩が反動的だとして収監されると同時に妻ミナ(モニカ・ベルッチ)も共犯で投獄される。

 それは権力を握った元サヘルの運転手アクバル(イルマズ・アルドアン)が計画した悪巧みによるものだった。というのもミナに横恋慕していて、サヘルのいない車の中で「愛している」と告白したのがサヘルの耳に届きこっぴどくやられた事もあって、アクバルが憎悪を抱いた。復讐を実行に移した。

 投獄だけに止まらず悪辣な行為もやってのける。獄中で夫婦を逢わせてやると言ってミナは全裸から黒い布を着せられ頭にも黒い袋が被せられる。サヘルは普通の服で頭には黒い袋。布を通したキスと愛撫。

 三・四階の高さのある吹き抜けの廊下からその様子を眺めるアクバル。やがてアクバルは階段を下りていく。その部屋に着くや否や電源を切る。真っ暗になり大きな音が反響する。うろたえるミナ。しばらくして電気が点きアクバルは頭に黒い袋を被ってサヘルの役を続ける。

 突然ミナはアクバルを突き飛ばす。サヘルでないのを見破ったからだ。夫婦の性生活は犯しがたい秘密に覆われている。突き飛ばされたアクバルはひるむこともなく強引に関係を持つ。その後、サヘルは死んだと告げられる。

 こういう過酷な運命が詩の朗読と共に描かれる。出所したサヘルは、古い車を駈ってミナの動静を探るが殆ど沈黙の画面が続く。カラー映画ではあるが静謐と言う言葉を使ってもいいくらい黒と白の世界に見える。

 監督のバフマン・ゴバディが言う「詩の大切な点は、間と沈黙だ」その通りの映画だ。亀は降ってくるは、馬が車の窓から首を入れてくるは、サイが車とぶつかるはと驚かされるがすべて詩に忠実なるが故。この映画は好き嫌いが二分するだろう。DVDのレンタル店もツタヤでは4~5枚ぐらい,ゲオでは1枚だけという按配。
            
            
            
            
監督
バフマン・ゴバディ1969年2月イラン生まれ。

キャスト
ベヘルーズ・ヴォスギー1937年イラン生まれ。
モニカ・ベルッチ1964年9月イタリア、ベルージャ生まれ。
イルマズ・アルドアン1976年11月トルコ生まれ。

ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります。よろしく!

エンタメ(全般) ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする