学生時代、西洋史専攻でした。第二外語がドイツ語で自然の成り行きとしてドイツが重点。
私は近世史を勉強しましたが、ドイツ史で避けて通れないのは「ナチスの時代」。そして当時読んだ本のひとつが「ナチスの時代」。
岩波新書で今も出ていると思います
内容は、もうすっかり忘れました。でも構いません。この本以降にも、ドイツを筆頭に世界各国でナチス研究の本が専門書から一般書まで数え切れないほど沢山出版されています。私も現在までナチスやヒトラーに関する新しい本古い本、新聞や雑誌の記事を色々読んでいるので、この本に戻る必要はありません。
しかし、この本の中で今にいたるまで忘れられない短い一文があります(
いちぶん、
いちもんではありません)。
制度はなくなっても意識は長く残る
本の中の文脈では「
ドイツ帝国はなくなっても、その意識は人々の頭に生き続ける」ということだったと思います。
しかし、恐ろしいことに、
これは普遍的に当てはまる「事実」なのです。
古代の奴隷制度もアメリカの黒人奴隷制度もなくなっています。封建制度もなくなりました。南アフリカの
アパルトヘイトも廃止されました。その他色々、殆どのネガティブな制度はなくなっていますが、例えば、カモフラージュされた奴隷制度、封建的な発想、差別意識などは根強く生き残っています。
その端的な例がネオナチです。ナチスの「第三帝国」は崩壊しましたが、ナチスの思想は、幾つかの本として、これからも存続し、生き続けるのかも知れません。
一種の病原菌のようなもので、一定の条件下では、人間の思考を侵します。脳の病気には色々な治療法・手術法がありますが、思考の病気を治すのは難しいものです。偏見も思考の慢性疾患のようなものと言えるかもしれません。
最近読んだのは
この本です。迫力がありました。日本語訳はないようです。
内容は
ヴァンゼー会議と
ユダヤ人問題の最終的解決について経過を紹介・分析したものです。