みみずのしゃっくり

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71人

2015-09-06 | その他

この夏のヨーロッパはギリシャ危機、猛暑、難民危機に明け暮れ、猛暑は去り、今は難民危機で、ギリシャ問題は無視されています。

8月末にハンガリーとオーストリアを結ぶ自動車道の待避所に放置された冷蔵車から難民71人(このうち8人が女性、4人が幼児)の遺体が発見されたニュースは日本でも報道されたと思います。

これまで地中海ルートでヨーロッパを目指す難民が、乗りすぎボートの転覆で大量に溺死する事故が続いていましたが、陸路での難民事故は初めてで、ヨーロッパ中に大きなショックを与えました。地中海の水難事故も続いています。
時々刻々と事態が変転しニュースも新聞記事(プリントメディア&ウエブサイト)も次々と新情報が入るので、混乱状態です。
ここでは、冷蔵車の事件の概要のみ整理してみます。

8月31日付NZZ(新チューリヒ新聞)タイトルは「難民の悲劇」


上の写真を少しアップ


8月27日の朝、東部自動車道(オストアウトバーン)パルンドルフ付近で、アウトバーン管理会社の職員が放置された冷蔵車を不審に思い警察に連絡、警察の調べで、すぐに、腐敗の進んだ多数の遺体が発見されました。
現場検証の後、冷蔵装置のある倉庫に車を移し、ここで可能な調査の後、更に鑑識のため遺体の搬送がされました。上の写真は遺体搬送の様子です。

車はハンガリーから来たもので、幾つか異なる証言や記録がありますが、大まかにはセルビア国境付近で難民を冷蔵車内に、文字通り「詰め込み」ブダペストを経由してオーストリアに入ったようです。運転手が姿をくらましたのは、中の人たちが既に死亡し、死体の腐敗が始まっていると分かったからでしょう。冷蔵車内部の床面積は6×2.15mで、約13㎡です。
これまでの調査では、通気性のない車内で人々は数分のうちに窒息死したと推定されています。当時の外気温は35度でしたから、すぐに腐敗が始まったと思われます。発見段階で死後1~2日とされます。
警察の調査でシリアのパスポートが見つかったので、シリアからの難民と推定されています。他の国からの難民も含まれるかもしれません。
身元確認のためホットラインが設けられましたが、一部の遺体は身元確認不可能と見られています。

容疑者は数日中にハンガリーで逮捕されました。3人のブルガリア人と1人のアフガニスタン人(ハンガリー国籍)で、車を運転していたのはアフガニスタン人です。冷蔵車は、食品会社が売り出したもので、カモフラージュのため食品会社の外装のまま利用したようです。

この事件のショックは大きく、現場に花やロウソクが供えられ、ウィーンのシュテファン寺院では大司教による追悼ミサが行われました。
インスブルックでは、面積13㎡に71足の靴を置く追悼「パフォーマンス」がありました。
ドイツのボーフムでは、輸送業者が同じタイプのトラックの荷台を開け、71人の市民が乗ってみるという追悼「デモンストレーション」がありました。
他にもヨーロッパ各地で色々な追悼行事があったと思います。

地中海で溺れた人たちについては何にもないのか!?という気もしますが、多分現地の教会などで追悼ミサなど行われていると思います。それと、次から次へと難民船が転覆するので、やや麻痺しているとも思います。

何故こんなことが起こるのかというと!!!???

地中海ルートで難民をボートに「詰め込む」「業者」の場合と同様、何千ユーロもの「手数料」を払わせてトラックに難民を「積み込む」「業者」が横行しているのです。かなり組織的で「難民マフィア」と呼ぶこともあるようです。

翌日9月1日のNZZには3ページの解説記事が載りました。

2ページの記事:2つの写真はレスボス島の難民


陸上ルートでシリア、イラク、アフガニスタンなどから逃げてくる人たちは、トルコを通過して、トルコ沿岸の島々に渡ります。トルコ沿岸の島はほぼ全てギリシャ領だからです。それからギリシャ、マケドニアセルビア、ハンガリーを通過して欧州連合圏内に至るわけです。途中は歩いたり、「難民マフィア」に高い手数料を払ってトラックに乗ったり・・・もちろん、途中の道のりも大変な苦労があるようです。

3ページ目


上の地図は難民の出身国と目的地を示しています


ブルーグレーが難民の主な出身国で、シリア、イラク、アフガニスタン
グレーが、出身国および通過国トルコとイラン(つまりトルコ、イラン出身の難民もあるわけです)
黄土色が純然たる通過国で、ギリシャ、マケドニア、セルビア、ハンガリー
左上のレンガ色が目的国で、スウェーデン、ドイツ、フランス、オーストリア

(イタリアも難民で溢れていますが、これは地中海ルートで来る人たち)

右側、レンガ色の丸は、今年1月から7月までに難民申請の出された数です。
一番上がドイツ(18万8486人)
2番目がハンガリー(13万人)
但しハンガリーの場合は8月の数字で、ハンガリー首相は難民の90%は経済難民で戦争難民ではないと言っているので、殆ど却下されるでしょう。
3番目の丸がスウェーデン(3万3234人)
4番目の丸がフランス(2万9832人)
一番下がオーストリア(2万7081人)
目的国が少ないのは、多くの国々が難民受け入れを拒否しているからです。


今回の冷蔵車事件については起こって間もないためか、ドイツ語ウィキしかありません(あとはデンマーク語だけ)。

何故、ヨーロッパ、それも欧州連合(の極く一部の難民受入国)に逃げてくるかと言えば、ほかに逃げ場がないからです。内戦の国から別の内戦国へ逃げる意味はないし、アメリカ、カナダは遠くて無理だし、東に逃げても政情不安の国ばかり。既に移住している親戚などを頼って、アメリカやカナダへ行くというケースはあるようです。

もちろん、シリアに隣接するトルコ、レバノン、ヨルダンが数百万の難民を受け入れていることを忘れてはなりません。


続きがある予定です・・・