「さりえら」というのは、これです。
原語のイタリア語ではSalieraと書き要するに「塩の入れ物」。金や宝石が使われています。
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後ろ側

このミニ浴槽みたいな部分が塩入れ
前側

このミニ神殿みたいなのが胡椒入れ
この美術工芸品の傑作はウィーンの
美術史博物館の美術工芸品部門に展示されています。
たかが塩入れに大げさな、という気もするのですが、傑作であることは否めません。
制作者も、ひとクセもふたクセもある有名人
ベンヴェヌート・チェッリーニです。
2人の人物像はローマ神話の海の神
ネプチューンと大地の女神
テルースで、地球を象徴しています。
チェッリーニがフェラーラの枢機卿のためデザインしましたが、ワックス・モデルを見た枢機卿は制作不可能と思い注文しませんでした。その後チェッリーニがフランス王のため、この塩入れを制作、更にフランス王がチロル大公の
フェルディナントII世に贈り、こうしてハプスブルク家の財産となりました。
チェッリーニの作品は長く忘れられていましたが、ゲーテがチェッリーニの自伝を翻訳編集してから再び評価が高まり、サリエラはチェッリーニの金細工作品で唯一現存するものと考えられています。
美術史博物館館内修復・改修中の2003年、サリエラは盗まれて行方不明になりました。このとき、貴重な展示品に対する防犯対策の手薄なことが発覚しました。犯人は防犯装置の専門家で、工事中の足場を見て「こんな無防備なら盗むのは簡単だな」と思い、試したら盗めちゃった、ということのようです。でも、結局犯人は逮捕され4年間の懲役が決まりましたが、模範囚だったらしく2年で出獄しました。
この事件に関連して保険会社が評価したサリエラの「価値」は5000万ユーロでした。
この事件以来、特別貴重な展示品の防犯対策が大幅に改善されました。
自然史博物館の
ヴィレンドルフのヴィーナスさんも、今は独自の個室にお住まいです。
英語ウィキ:
Saliera
おまけ
チェッリーニの自伝に感動した
ベルリオーズが幾つかのエピソードから
オペラを作曲しました。
その序曲