11月11日は聖マルティヌスの記念日です。聖人の日というのは、休日にならない場合も何かお祝いがあったりしますね。(写真はウィキ・フリー画像)
子供たちも家々を回ってお菓子をもらったりします。
一番大切なのはガチョウ料理を食べる日だということです。私も食べたことがあります。美味しいです。
この時期は、どんどん日が短くなり寒くなるので、色々「景気付け」が必要なのでしょう。
なまはげに似た
クランプスも、この季節の風物詩です。
キリスト教普及後は、その頂点がクリスマスとなりました。しかし、今回はガチョウのお話です。
聖マルティヌスは
古代ローマ帝国の
パンノニア(今のハンガリー西部とオーストリアのブルゲンラント州)で生まれ、ローマ軍の軍人でした。この軍人時代に、名高い「マントを半分こ」の伝説があります。ある日、道端で震える乞食を見て、マルティヌスは自分のマントを切り、半分を乞食に与えたというものです。この場面も多くの画家が描いていますが、最も著名なもののひとつは
エル・グレコの作品でしょう。
マルティヌスは後にキリスト教徒となり更に聖職者になりました。
トゥールの司教になることを依頼され、これを避けるためガチョウの小屋に隠れたところ、ガチョウが騒いだため探しに来た人々に見つかり、司教に就任せざるを得ませんでした。このため、聖マルティヌスの名の日(11月11日)には「罰」としてガチョウ料理を食べるようになったという言い伝えがあります。
しかし、これはガチョウを食べるための口実に過ぎないでしょう。そんな事実があったかどうかも疑わしいものです。
もし、聖マルティヌスが本当にガチョウ小屋に侵入したとすれば、ガチョウが驚いて騒ぐのは当然で、むしろ彼らが被害者です。怪しい人物に侵入された上、料理されて食べられてしまうというのは、ガチョウさんにとって二重の受難日ですね
一列縦隊で歩くことをドイツ語で「ガチョウの行進(ゲンゼマルシュ)」と言います。古代ローマで軍鳥に使われた勇猛な鳥さんですが、ヨチヨチ歩く姿は愛らしいですね
トゥールのマルティヌス
聖マルティヌスの日
11月11日は農家にとっても節目の日付です。加えて、オーストリアの
ホイリゲ規定では、その年収穫したブドウの新酒を11月11日から販売することが許可されており、翌年の11月10日までが「新酒」なのですが、翌年の大晦日までホイリゲ(当年酒)と呼ぶことが許容されています。この期限を過ぎると「古酒」になります。