みみずのしゃっくり

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孤独な皇帝その2

2017-03-01 | おきにいり

前回のヨゼフィーヌムついでに、もう一度ヨーゼフ皇帝について

以前に孤独な皇帝としてフランツ・ヨーゼフI世について書きましたが、ヨーゼフII世も別の意味で孤独な皇帝でした。


1764年3月27日、戴冠式のヨーゼフII世



ヨーゼフII世は典型的な啓蒙専制君主で、数々の先進的な改革を行いましたが、その多くは先進的過ぎて臣民に理解されず、治世後半に撤回せざるを得ませんでした。
皇帝家の狩猟場であったプラーターを市民に開放したのもヨーゼフII世です。

多分最も知られているエピソードのひとつは:
あるとき臣下が「陛下は皇帝なのですから、身分の低いものばかりとつきあわず、もっと身分の高い方々ともおつきあいください」と言うと、ヨーゼフ皇帝は「自分と対等の身分の人間とだけつきあうとしたら、毎日カプツィーナ墓所にこもっていなければならない」と答えました。

カプツィーナ墓所には17世紀半ば以降のハプスブルク家の人々の棺が収められています。

ヨーゼフII世は最初に結婚した皇妃を深く愛していましたが、彼女は2度目のお産のとき亡くなりました。これがトラウマとなり、二度と結婚すまいと思ったのですが、皇帝が独り身では問題だと言う周囲の強制で再婚。しかし2人目の皇妃には殆ど見向きもしませんでした。
こうして彼は子供のないまま急逝し、弟のレオポルト大公が後継者となりました。


古い映画アマデウスにヨーゼフ皇帝が登場します。モーツァルトを後援していたヨーゼフII世が1790年に急逝したのはモーツァルトにも大きな打撃でした。モーツァルトは1791年に世を去っています。映画の最後に出てくる貧弱な木製の棺は決してモーツァルトが貧困だったからではなく、質実剛健を旨としたヨーゼフII世の考案した「繰り返し使える棺」です。


モーツァルトがヨーゼフII世と会う場面




モーツァルトは実際にも奇矯な人物だったようですが、映画では、それを強調するため、やや誇張のきらいがあります。それで「本国」のオーストリアでは、子供に誤ったイメージを植えつけないため、として映画鑑賞に年齢制限をしたそうです。
映画ではサリエリが悪役になっていますが、実際にはサリエリとモーツァルトの間柄も友好的なものだったようです。






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2 コメント

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Unknown (めんまねえちゃん)
2017-03-01 22:36:48
モーツァルトの死にはいろいろと、
フリーメイソンが絡んでるとか、暗殺だの陰謀だのの
話も多いですからね。
今となっては想像するのみですが...
映画は大昔にみただけなのでもうだいぶん
忘れてるのですが、あれでしたっけ?意気揚々と
長い曲を皇帝の前で披露したら、うとうとされたとか
そういう話になっていましたっけ...

どこの女王か失念しましたが、現代の女王で、
自転車に乗って買い物とかに出かけるとかいう
ものすごく庶民的なことをされるエピソードを
読んだことがあります。
日本のとあるやんごとなき人とされるひとと
昔はなしたとき、運転させてもらえないとかいう
愚痴をきかされたことがあり、「何があっても
自分の責任だって言うのに」といってたので、
まあご本人はそういうでしょうが、周りが責任を
取らされるのは必定。
何かあった場合当然、皇帝の場合もそうでしょうし、
本人はいいのいいのということでも、
周りがハラハラすることはあるのでしょうね...
身分にこだわり無く付き合うというほうが
なんとなく好感がもてますけれど。
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めんまねえちゃんさん (ななみみず)
2017-03-03 06:11:19
モーツァルトの早世は、やっぱり何と言っても
働きすぎの遊びすぎだろうと思います。
尤も、今の医療水準なら治って生き延びたかも・・・

映画の中で皇帝が居眠りする場面があったかどうか
私も、もう思い出せませんが
とにかく、皇帝もモーツァルトも、やや戯画化されていたように思います。

日本の皇室は窮屈すぎて気の毒に思います。
北欧やオランダ、ベルギーなどの王室は
かなり一般市民に近い生活をしているようです。
イギリス、スペインあたりは、ちょっと違うかな?

フランツ・ヨーゼフの妻エリーザベトは乗馬が好きで
大きな落馬事故も起こしていますから
周りをハラハラさせる「はねっかえり」だったことは確かです。
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