みみずのしゃっくり

みみずのしゃっくりのように役に立たないことを不定期に書き込むブログ。
専属スターはいませんが、猫っぽい内容です。

陶器店の象

2019-11-19 | その他

ドイツ語の慣用句に「陶器店の象のように振舞う」(sich wie ein Elefant im Polzellanladen benehmen)というのがあります。

「無神経に図々しく振舞う」という意味ですが、象が陶器店に入ってきたら、それだけで陶器が沢山壊れそうです。

ヴェネチアの洪水で「陶器店の象」を思い出しました。
つまり「全然相応しくないものが全然相応しくない場所にいる」状態です。



カナレット
の描いたサン・マルコ湾


18世紀のヴェネチアの様子で、帆船とゴンドラのみが見られます。
サン・マルコ湾に相応しいサイズの水上交通機関です。


ジュデッカ運河を行く大型クルーズ船


手前右手がカナル・グランデで、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会が見えます。
ここから左の方がサン・マルコ湾です。

クルーズ船は、いかにも「陶器店の象」のように場違いに見えます。と言うより、まさしく場違いだと思います。このような大型船にも航行可能なように、人工的に掘り下げられた水路が設けられていますが、それもアクア・アルタに影響しているようです。


誰もが行きたいところへ旅行できるのは基本的人権だと思いますが、旅行や観光の目的地を破壊するのは基本的人権には含まれないでしょう。
昔の人たち-ジョン・ラスキンも、そのひとり-は陸地テーラフェルマから舟でヴェネチアに到達したのです。
現代の普通の旅行者は鉄道で直接、ヴェネチア・サンタ・ルチーア駅に着き、駅前の船着場からヴァポレットに乗ります。バスやマイカーの人たちは橋を渡ったところにある駐車場で下車します。

大型クルーズ船の乗客は時間とお金のある人たちでしょうから、アドリア海か、せめてラグーナに投錨し、帆船に乗り換えてサン・マルコ湾に向かうのが良いかと思います。







最新の画像もっと見る

コメントを投稿