アクア・アルタ(acqua alta)は直訳すれば「水・高い」で、海水面が上昇した状態(通常の自然現象としては満潮)を意味する言葉ですが、今では特にヴェネチアの洪水に対する呼称としてイタリア以外でも一般化しているようです。
オーストリアの新聞HP第一報のサンマルコ広場
こんな水位の高いサンマルコ広場の写真は初めて見ました。私が毎年ヴェネチアを訪れていた頃にも洪水はありましたが、幸運にも私自身は一度も洪水に遭遇していません。とにかくヴェネチアの年中行事(?)となったアクア・アルタは年々悪化しているように思います。
今回のアクア・アルタは11月12日から始まり、13日に最高水位(通常水面より187cm高い)となりヴェネチア市街地の80パーセントが水没、金曜日になっても水は引いていません。この水位は1966年の歴史的洪水における194cmに次ぐ歴史上2番目の高水位です。今回は非常事態宣言が出されて、中央政府(ローマ)も緊急援助を約束、また欧州連合への支援要請も行われるようです。
世界遺産サン・マルコ寺院にも浸水、この寺院が建設されてから1000年のうち6回浸水の記録があり、6回目が今回です。
アクア・アルタについては日本語ウィキにも詳しい記事があります。
そもそも以前にも書いているように、ヴェネチアは大量の木杭を沈めた上に建設された人工島ですから、長期的に見れば水没する宿命にあると言ってもよいでしょう。それでも、その宿命に抵抗する試みは昔から実行されています。
現行のプロジェクトはモーゼ計画と呼ばれ、現行予定では2017年完成の予定が2014年に贈収賄などの汚職が発覚して頓挫、今は2021年までに完成を目標としているようですが、果たして実現するかどうか、あまり信頼できません。
英語ウィキに詳しい記事があります。
そのプロジェクトの簡略見取り図
ヴェネチアはラグーナ(潟)の北部にある「浮島」で、季節風で押し上げられた海面が潟に流れ込み異常水位を生み出すので、ラグーナの出入り口に防潮壁を設けようというものです。通常は壁が水面下にありますが、アクア・アルタのときには圧搾空気によって壁が立ち上げられ、海水の流入を防ぐというシナリオです。
MOSEというのはMOdulo Sperimentale Elettromeccanico, Experimental Electromechanical Moduleのイニシャルを取ったものですが、出エジプト記で海を分け道をつけたモーゼにあやかったかのようです。
しかし、これも私は期待していません
産業革命以降の工業化に伴う地下水利用を原因とする地盤沈下、大型船のための水路掘り下げ、その他諸々の人間が作り出した問題は、既に復旧不可能となっています。でも、私の予測が間違っていて奇跡が起こればいいなとも思います。
ヴェネチアが出てくる以前の記事
観光なだれ
水没
糸杉出番1
サン・ラザロの思い出
もくもくも
あめりご
源氏の半分紀
冬の夕暮れ
旅行者のいない・・・
この体験をした私にとって今のヴェネチアは恐怖で、とても行く気になりません
ヴェネチア洪水の写真、凄いですね
私が最後にヴェネチアに渡航したのが8年前、
その時、青の洞窟にも行ったのですが、水位が高くボート上で背中を丸めて洞窟に入った記憶があります。
その以前に行った時は、スーッと自然な姿勢で洞窟の中に入っています。
なんらかの対策が講じられたとしても、人間の力でこの現象が解決されるとは到底思えないのですが、勿論私は専門家ではありませんので想像での予測ですが、、、
氷河が溶ける、異常気象と異常現象、地球沈没でしょうか?他人事ではないのが心が痛みます
ヴェネチアは過去100年の間に60cm地盤が沈下したそうです。これは工業用の地下水くみ上げや大型船のための人工水路造成によるものだそうです。地盤が沈下しつつあり、海水面は上昇中、恐ろしい相乗作用ですね。
シベリアの永久凍土が溶けると大変なことになるらしいですが、NZZによればアルプスの氷河が溶けると、その下の永久凍土も溶けて水分を失い、山が崩落しやすくなるそうです。
色々な分野の専門家が色々対策を講じていても、それは机上の理論ですからね。だから私も、ヴェネチアのモーゼ計画にも期待できないのです
でも痩せ我慢してニコニコ過ごしましょう