フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

6月21日(土) 曇り、夜になって雨

2008-06-22 02:30:26 | Weblog
  今日はてっきり終日雨だと思っていたら、そうではなく、昼過ぎには雲の切れ間から太陽がのぞいたりした。昼食をとりがてら散歩に出る。「Zoot」で味玉ラーメンを食べたのだが、店内は冷房が効きすぎていて閉口した。こういうこともあろうかと上着を肩に引っ掛けていったのだが、それでも寒かった。私は冷房が苦手である。一番いいのは風通しのいい店。次は弱い冷房で除湿をしてくれている店。でも、レストランだけでなく喫茶店もそうだが、冷房の強い店がとても多い。サービスのつもりなのであろうが、ありがた迷惑だ。これから夏場の散歩のときは、弱冷房の店をチェックしておかなくてはならない。食事を終えて、冷えた身体を暖める意味もあって、池上線沿いの道を池上まで歩く。

         

  池上まで歩いたのはもう一つ理由があって、今夜のテレビ東京の「出没!アド街ック天国」で池上が取り上げられるのだが、その中で「甘味あらい」も紹介されると聞いているので、そうしたらしばらく番組を見てやってくる客で混み合うことが予想されるから、そうなる前に行っておこうということである。いくら「甘味あらい」の贅沢あんみつが美味しいといっても、行列はいやである。満席の店内で食べても、寛いだ気分にはなれそうにない(神楽坂の「紀の善」がそうであるように)。贅沢あんみつを食べ、池上線に乗って帰って来る。くまざわ書店、有隣堂、栄松堂を回って、以下の本を購入。

  堀江敏幸『回送電車』(中公文庫)
  前田愛『幻景の街』(岩波現代文庫)
  チェスタトン『木曜日だった男』(光文社古典新訳文庫)
  速水健朗『自分探しが止まらない』(ソフトバンク新書)

  夜、「出没!アド街ック天国」を見たが、池上の見所ベスト30には異論がある。第一に、「甘味あらい」が26位であること。歴史が浅い(開業5周年を迎えたばかり)ことを考慮しても、11位から20位にはランキングすべきである。池上の住人にとって「甘味あらい」は街の誇りといってもいい名店である。ちなみに私が敬愛して止まない岸朝子さん選の『東京五つ星の甘味処』(東京書籍)の中で、大田区から選ばれたのは、今回、3位にランキングされた葛餅の老舗「浅野屋」(宝暦2年創業)と「甘味あらい」の2店のみである。第二に、池上駅が入っていないこと。池上の駅舎は古く、東急線で唯一構内踏み切りが残っている駅である。お会式の観光客のことも考えてプラットホームの幅も広くとってある。ベンチに座って電車を待っていると、時間がゆったりと流れているのを感じる。第三に、呑川(のみがわ)が入っていないこと。街中を流れる川というものが、その街にとって、その街に住む人々にとって、どれだけ重要なアクセントになっているかということがわかっていない。外からやって来る人にとっては、呑川は本門寺の参道の途中で渡る小さな橋の下を流れる水量に乏しい川に過ぎないが、池上の周辺に住んでいる人は、呑川の流れに沿って散歩をしながら本門寺にやってくるのである。

         

  西島三重子という歌手が歌った「池上線」(1976年)という歌がある。70年代的叙情を漂わせた歌である。