9時半、起床。寝坊をした。歯科医院の予約の時間が9時半なのである。10分で仕度をして家を飛び出す。「9時半」の予約というのは「9時半から10時の間」という意味なので(たぶん)、ちゃんと診療してもらえた。医師は私がブログを書いていることを知っており、雑談の中で、「毎日書くのは大変ではありませんか」と質問されたので、「いえ、習慣化しているので、それほど大変ということはありません。毎日歯を磨くのがそんなに大変ではないのと同じことです」と答える。毎日書くから大変なのではなく、毎日書くから大変ではないのである。今日は書こうかどうしようかとその都度考えていたらその方がかえって大変ではなかろうか。人間というのは基本的に怠け者で、天才でもない限り、「内部から湧き上がって来る書きたいという気持ち」なんてものをあてにしていてはだめなのである。そういうものがあるとすれば、それは、両手をキーボードの上において、とりあえず指を動かしている過程で、出てくるものである。身体を動かすことで精神が起動するのだ。
午後、自転車に乗って外出。「鈴文」の隣に季節料理の「山城」という居酒屋があり、居酒屋は基本的に私とは無縁の場所なのだが、ここではランチをやっている。各種の刺身の定食が中心で、値段も600円から1000円とリーズナブルである(たとえば早稲田の「たかはし」のお刺身定食は850円だ)。昨日の昼はしっかり天丼を食べたので、耳を澄ますと身体の中から、「今日はさっぱりと刺身なんかいいな」という声が聞こえてくる。身体の声に耳を傾けることはとても大切だ。刺身5点盛り定食というのを注文する。鮪、鰤、目鯛、牡丹海老、雲丹、の5品である。客の入りのいい居酒屋の刺身定食はうまいに違いないという予想通り、鮮度のよい、美味しい刺身だった。味噌汁の実は帆立貝で、いい味が出ていた。刺身のほかに岩のり、シラス干し、たくあんが付いてくるので、(食べたければ)ご飯のお替りをしてもおかずには困らない。
食後の珈琲は「テラス・ドルチェ」で。『僕の明日を照らして』の続きを読む。それからジムへ。筋トレを2セットとウィーキング&ランニングを60分。鰻丼一杯分のカロリー(520キロカロリー)を消費。トレーニングを再開して4回目だが、走っても簡単に息は上がらなくなった(初回と2回目はしんどかった)。この調子、この調子。
ジムの後は「ルノアール」で一服。レモンスカッシュを注文して、『僕の明日を照らして』の続きを読む。瀬尾まいこは中学の国語の先生をしていた人だから、中学生の実態についてはよく知っているはずだが、読んでいて、いまの中学生ってこんななのかとびっくりすることが多い。たとえば、男女交際。
「体育祭、文化祭が終了した十月末の中学校は一気にカップルができる。中学校マジックだ。行事で助け合ったりして、一緒に委員なんかしたりして、そのまま公認の仲になっていく。周りもくっつけようとするし、女の子が友達に後押しされてまくってアタックするから、成功率も高い。
タナケンと東さんは共に評議員として行事を乗り越えて、みんなの思うままにカップルになった。
関下はそのうち僕に告白するだろう。なんとなく一緒の配布係。なぜか隣を歩いている移動教室に向う階段。そんな段取りを踏まなくたっていいのに。普段はあっけらかんと、堂々としてるくせに。くすぐったくて参る。関下の気持ちに気づきつつ、関下が当番のときに図書室に行くのも嫌だと思ったし、いちいち他の女の子の応援を受けたくもなかった。
「関下さ」
「何?」
火曜日放課後の図書室。僕は、誰もいるわけないのに、もう一度図書室の中に人がいないのを確認してから、
「僕のこと好きなんだろう?」
と、ぶっちゃけた。
「何それ?」
関下は耳まで真っ赤にしておきながら、しらばっくれた。
「何それって、僕にさ、告白しちゃうんだろ?」
「告白?」
「そう、告白」
「さあ・・・・」
「来週の水曜日の放課後、三上さんを引き連れて、水飲み場の裏あたりで」
「まあ、当たりだけど・・・・」
中学校での恋愛に関する情報は、だだ漏れだ。関下は力なく笑った。
僕もさすがに照れくさくなって、へらへらと笑った。」(163-164頁)
なんだ、なんだ、いまどきの中学生は女の子から男の子に告白するのか。いや、待てよ。思い出してみるに、私の中学校時代もそうした風潮はあったような記憶がある。中学生というのは女子の方が男子よりも心身の発達において先行している人生におけるかなり特殊な時期なのである。それにしても、「僕のこと好きなんだろう?」という台詞、「いってみて~!」(by 酔拳今泉)。
深夜、『僕の明日を照らして』読了。そうか、そういうラストなのか。物語は終る。しかし、人生は続く。