フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

3月9日(火) 曇り(東京)→雪(金沢)

2010-03-10 00:36:05 | Weblog

  8時、起床。睡眠時間4時間だが、気分が昂揚しているからだろう、それほど眠くはない。ハムトーストと紅茶の朝食。寝る前に仕上げた報告書の原稿にもう一度目を通し、一部を修正して、メールで送り、9時過ぎに家を出る。 小雀の世話を妻子にしっかり頼む。


行っちゃうの?

  東京駅10時12分発のMaxとき17号に乗車。大宮を過ぎる辺りから、窓外の風景がだんだん非都市的なってゆき(田畑や林が増えてくる)少しずつ旅行気分になっていく。前の座席の若い男女がいちゃついているが、不快ではない。むしろほほえましい。通勤電車だったらこうはいかない。熊谷で降り始めた雨が、高崎で雪になった。上毛高原はうっすらと雪景色で、国境の長いトンネルと抜けると雪国だった。


越後湯沢

   越後湯沢で11時38分発はくたか8号に乗り換える。乗り換え時間はわずか8分。日本の鉄道は優秀だが、もう少しのんびりしてもいいのではかろうか。今日の昼食は東京駅で購入した焼き肉弁当。越後湯沢を出発してすぐに食べる。当たり外れのない定番の味である。

  一人旅は淋しくはないか、と問う人あり。しかし、我思うに、最上の旅は一人旅である。二番目の旅は二人旅(たとえば「東海道中膝栗毛」の旅)。三番目の旅は三人旅(たとえば「ボートの三人男」の旅)。四番目の旅は四人旅(たとえば「西遊記」の旅)。・・・・・人数が増えるに従って旅の質は落ちてゆかざるをえない。人間関係が複雑になるからである。旅の醍醐味は日常からの離脱にあるが、日常を構成する最たるものは人間関係のしがらみである。
  越後湯沢を離れるつれ雪景色は消えていったが、日本海が見える辺りから、また雪が降り出した。

  金沢駅着14時18分。ホテルにチェックインし、持参したPCをインターネットに接続し、メールのチェック。今日から金沢旅行に出かけますと周囲の方々には宣伝しておいたので、仕事関連のメールは皆無・・・とはいえないが、放っておいて問題ない。ホテルを出て、北鉄浅野川線に乗って内灘へ。とにかく金沢へ来たら、何をさておいても内灘の海岸へ行かなくてはならない。内灘の駅から海岸へはかつて「鉄板道路」と言われた一直線の道である。雪が降っている。しかし気温はそれほど低くはない。水分の多い春の雪である。やがて海岸に出た。感嘆するしかない風景が広がっていた。

  海岸にいた時間は30分ほどだったろうか。空と海と陸が混然とした世界を十分に堪能した。駅に戻る途中にある中華料理店「来」で早めの夕食をとる。角煮そば。いくらそんなに寒くはないとはいっても、雪の降る海岸に30分もいれば(駅と海岸の往復の時間を入れれば1時間以上だ)、十分体は冷えている。スープの温かさが身体のすみずみにいきわたる。内灘の海岸と「来」は私にとってワンセットなのだ。厨房の中のご主人が「南極料理人」に見える。これでもう明日、東京へ帰ってもいいような気がする。

  ホテルに戻り、ロビーの一角にあるインターネット・コーナーのPCで、フィールドノートの更新。持参したネットPCよりも入力作業が楽だ。さて、大きなお風呂で温まろう。昼間、娘に「金沢」という件名で「雪だ。」と短いメールを出しておいたら(雪の街路の写真を添付)、「東京」という件名で「雪よ。」と短いメールが返ってきた。そうか、東京も雪なのか。