7時45分、起床。
今日は母が池上の病院に肩の骨折の術後の定期検診の日。私も一緒に8時半に家を出る。
9時に病院について医師の診察の前にレントゲンを撮っておく。レントゲン室は地下1階にあり、待合のスペースには水槽が置かれている。
診察と会計を終えて病院を出た後、母は駅前の銀行で記帳を行い、駅近くのスーパー「オオゼキ」で買物をした。 私もそれに付き合う。 朝食をとってこなかったため、腹ペコで、試食の冷凍炒飯で飢えをしのぐ。醤油味と塩味の二種があり、販売員が「どうぞ食べ比べてみてください」と言ったので、ありがたく二回試食をする。どちらも美味しかった。
11時頃、蒲田に戻る。
帰宅して、朝食兼昼食のカレーライスを食べる。
午後から大学へ。桜が散って、新緑が舞台に躍り出てきた。
八重椿はまだまだ頑張っている。
「和風の薔薇」の趣がある。
桜の花は散った後もしらばらくは私たちの目を引く。
3時から院生と面談。院生といっても社会学コースの学生ではなく、面談といってもおしゃべりのようなものである。
5限・6限はゼミ。
新3年生(7期生)のゼミデビューである。自己紹介に時間をかける。あらかじめ1人3分のスピーチを考えて来てもらい、ゼミで勉強したいテーマについて語ってもらい、フロアーの学生たちや私と質疑応答を行った。
スピーチはそれぞれ個性的な内容のもので、各人の輪郭をしっかりと印象付けるものだった。
ゼミ長はKM君、会計はKK君が自分から手をあげて引き受けてくれた。二役がそろって男子学生というのは初めてである。男子の人数は5名で、これは6期生より1名多いだけだが、全体の人数が16名(6期生は19名)なので、男子の割合は21%から31%と急に増えた印象がある。
本日のスイーツは4年生の会計のMさんが用意してくれた。「これが噂に聞いていた大久保ゼミのスイーツタイムなのですね」と3年生たちは私のゼミに入ったことを実感したのだった。
帰りに「トンボロ」によって食事をする。
鱈子のクリームスープスパゲッティ。
これだけでは足りないので、クロックムッシュも注文。
食後のコーヒーはダルビッシュ君に淹れてもらう。
コーヒーを飲んでいると、老人の一人客が入ってきて、窓際のカウンター席に座った。何かのお酒をストレートで注文し、水を別に頼んだ。
話し好きの方のようで、すぐに私とおしゃべりをするようになった。この店には今日初めて来たそうだ。
老人は75歳で(見た目はもっとお若く見える)、昭和33年ごろ、神楽坂の活版印刷の店で働いていたことがあるという。高校を出たばかりだった。予備校に通って大学を目指すつもりでいたら、父親が心筋梗塞で急死し、弟妹を養うために働かざるをえなくなったのである。TVドラマ『若者たち』で妻夫木聡(オリジナルでは田中邦衛)が演じていた長男役と同じ役回りである。
それから約2時間ほど、私は老人のライフストーリーを聞いた。無理矢理聞かされたのではなく、面白い話だったので、私があれこれ質問をして話していただいたのだ。ハーブティーを飲みながら、おしゃべりをした。
お互いの年齢の話になって、明日で61歳になりますと答えると、ケーキをごちそうしてくださった。プレ・バースデーケーキである。「トンボロ」の奥様のお手製のチーズケーキは初めて食べたが、大変美味しいものだった。
時刻は11時半になろうとしていた。老人は私が近所に住んでいると思ったらしく、家は蒲田であることを話すと、びっくりした顔になって、「遅くまで引き留めてしまって申し訳ない」と謝った(老人は江古田にお住まい)。いやいや、そんなことはありません。興味深い話をどうもありがとうございました。
店を出るときに名刺交換をした。老人はN氏といい、早稲田にある出版社の社長をされている方だった。「会社の近くに鮨屋があって、たいていそこにいますから、ぜひ来てください、美味い酒を出す店です」と言って、有名な(たぶん)酒の名前をいくつか言われたが、私にはピンと来なかった。
軽く食事をして帰るつもりで寄ったのだが、面白い方と知り合いになれて、楽しい夜だった。
12時40分、帰宅。店を出るときは60歳だったが、帰宅するときは61歳になっていた。ゼミ一期生のきょうこさんから誕生日おめでとうございますの絵葉書が届いていた。