フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

7月26日(木) 曇り一時雨

2007-07-27 01:42:18 | Weblog
  朝から蒸し暑い。午前中は自宅で答案の採点作業。昼から大学へ。昼休みの時間と3限を使って社会学演習ⅠBのグループ発表を2つこなす。発表内容の方はいいのだが、発表後のディスカッションが物足りない。おとなしく聞いているだけではだめである。質問や意見を述べることによって自分が「よい聞き手」であることを示す必要がある。演習というのはそういう訓練の場なのである。何の発言もしないで帰るときは、そういう自分を不甲斐ないと感じなくてはいけない。グループ発表は残り2つ。土曜日がラストチャンスである。気合を入れて臨んでほしい。
  6時半から、「麻の葉」で大学院の嶋崎先生の特論と私の特論の合同の打ち上げ(両方ともとっている学生が8名もいるため)。美味しい料理に舌鼓を打ちながらウーロン茶を4、5杯は飲んだであろうか。院生というのは将来の不確かな位置にいる。暗い気分になろうと思えば、いくらでも暗い気分になれる。そういう場所にいて、どれかで快活に、どれだけ穏やかに、どれだけクールに振舞えるかがポイントである。そういう修行を積んでいるのである。談笑する彼らを見ながら、彼らの修行の報われる日が来ますようにと祈った。  

7月25日(水) 晴れ

2007-07-26 02:42:21 | Weblog
  午前、先週に受けた検査の結果を聞きに地元の大学病院へ行く。レントゲン検査の結果は異常なし。とはいっても私の持病の結石はレントゲンに写りにくいタイプのものなのであまりあてにはならない。以前、レントゲン検査で「石は写っていませんね」と言われた4日後に石が排出されたことがありますから。血液検査と尿検査も異常なし。このところ「鈴文」のとんかつ摂取の頻度が高いので、中性脂肪とか血糖の値が気になっていたのだが、正常値の範囲内であった。会計を済ませ、外に出たとき、病院の前の横断歩道をノースリーブの白いワンピースの女性が颯爽と歩いていた。アーウィン・ショーの小説のタイトル「夏服を来た女たち」が頭に浮かんだ。素敵なタイトルだ。ただし素敵なのはタイトルだけで、中身は惨めな中年男の話なんですけどね。家に戻り、すぐに大学へ。
  午後1時から3時まで基本構想委員会。午後3時から6時まで前期最後の卒論演習。授業を終わり、研究室に戻る途中で、フランス文学の小林先生に声を掛けられる。何事かと一瞬緊張したが、「大久保先生はTVドラマにお詳しいそうですね」と予想外の一言。「授業で私がTVドラマの話をしたら、社会学の大久保先生はTVドラマにすごくお詳しいと学生がいうのです。それで対抗心を燃やしたというわけではないのですが・・・」とのこと。廊下でしばしTVドラマ談義。「毎期、気になるドラマは全部初回をビデオに録ってチェックして、2回目以降を観るかどうかを判断します」と私が言うと、「初回はどのドラマも作りこんできますからね。ポイントは2回目でしょう。ここで差が出ます」と小林先生が切り返した。対抗心ありありです。別れ際に小林先生は「今度、授業でTVドラマを取り上げるときは私も呼んだ下さい」と言って、ニヤリとされた。えっ、小林先生とコラボですか。これはけっこう見ものかも。大久保vs小林だから、OK牧場の決闘だ。現代人間論系と複合文化論系の対決といった趣もある。いまは各論系が個別にガイダンスをやっているが、コラボでやれば、それぞれのアプローチの違いが鮮明に出て面白いのではなかろうか。
  蒲田に着いて、東急プラザのレコードショップで本日発売の加山雄三のアルバム『星の旅人』を購入。初回限定のDVDやクリヤーファイルが付いている。加山雄三は1937年の生まれだから今年で70歳である。若大将もついに古希である。私とはちょうど17歳違う。「ちょうど」と言ったのは、われわれは誕生日が同じ(4月11日)だからだ。それで親近感を覚えてというわけではないが、私は子どもの頃から彼のファンである。父親ほど年は離れておらず、兄ほど近くはない。親戚のかっこいいおじさんといった感じであった。私は加山雄三のような青年になろうと思っていた。一番好きな彼の歌は「旅人よ」であるが、今回のアルバムのタイトルにもなっている「星の旅人」は「旅人よ」の後日談といえる内容の歌である。「旅人よ」のセンチメンタリズムやヒロイズムは消えて、矜持は保ちながらも、肩の力を抜いた、軽やかな長調の曲である。

                眠れぬ夜も つらい胸にも
                あの時のあの星が 輝いていた
                父を追い越し母を送り それでも
                光を歌う まだ旅人
 
       

7月24日(火) 晴れ

2007-07-25 10:11:02 | Weblog
  久しぶりの青空が広がったが、まだ梅雨明けとはいかないようだ。7月=夏というイメージがあるが、実際は、7月の大部分は梅雨なのである。子どもの頃は、梅雨はいまよりも早く始まって早く終わったような気がするが、気のせいだろうか。

           

  午前中から大学へ。10時半から基礎演習のワーキンググループの会合。昼休みは研究室でおにぎりを食べながら次の会議用の資料の作成。1時から社会学専修の教室会議。途中で、一度トイレに立ったとき、ちょうど研究室から出てきた長谷先生と顔を合わせる。長谷先生は今年度は特別研究期間でめったに大学へは出てこない。ずいぶん久しぶりでお顔を見たが、なんだか陽に焼けて健康そうに見える。長谷先生じゃないみたいだ。どうしたんですかと聞くと、ドジャース・スタジアムで野球を観戦したんですとのこと。そう言って長谷先生は、他の先生方に見つからないうちに(といった感じで)、そそくさと帰宅された。教室会議は3時には終わり、教員ロビーで冷たい飲み物を飲んでいたら、現代人間論系主任の増山先生がやってきて、プリントアウトされた基礎講義のレポートの束(私が目を通す分)を渡される。ちょうど70本あった。4時から二文の卒論演習。3名報告の予定だったが、1名欠席で、6時に終わる。
  そのまま帰宅すれば、ふつうに自宅で夕食がとれる時間であったが、メルシーのチャーシュー麺が無性に食べたくなり(たまにそういうときがある)、夕食は食べて帰るからと妻にメールを入れる。食事を終え、帰宅途中に丸善丸の内店に寄る。秦武日子(はた・たけひこ)『ラストプレゼント』(幻冬舎)を購入。2004年の夏に放送された天海祐希主演のTVドラマのノベライズだが、放送終了直後ではなく、3年を経過しての出版だけあって、脚本家本人によるしっかりとしたノベライズで、小説としての自立性を十分に備えた作品である。店内の喫茶店で基礎講義のレポートに目を通す。2000字以内の短いレポートなので、ざっとだが、とりあえず全部に目を通した。少なくとも「不可」のレポートはなかった。ビルを出て、東京駅に向かう。

           


7月23日(月) 曇り時々小雨

2007-07-24 02:23:54 | Weblog
  月曜日は「鈴文」の日。今日は母を誘ってみる。母も「鈴文」の評判は聞いて知っているのだが、なにしろ糖尿病の持病を抱えているから、おいそれとは出かけられない。しかし、この2ヶ月ほどは数値も安定しているようなので、私と一緒であれば、私が半分食べて、あとの半分を食べればカロリー的には問題はなかろう(私は1.5人分を食べることになりますがね)。1時過ぎに暖簾をくぐる。カウンター席に座り、私はランチのロースかつ定食、母はランチのヒレかつ定食を頼む。ヒレかつの半分を私がもらい、ロースかつの真ん中の一切れをあげる。母がはじめからソースを全体にかけようとしていたので、醤油でも食べてみることを勧める。肉もキャベツも柔らかくて美味しい(いまどきのキャベツは固いものが多いらしい)と母は食べながら繰り返し言った。子どもの頃に読んだ野口英世の伝記の中に、功なり名を遂げて故郷に帰ってきた野口が、歓迎会の席上で母のしかに「お母さん、鯛の刺身ですよ。柔らかいから歯が悪くても食べられますよ」と語りかける場面があるのだが、そのことを思い出した。会計を済ませ、店を出るとき、母は店の人に「私の息子なんです」と言った。
  母は家に帰り、私はそのまま散歩へ。間もなく閉店のサンカマタ(西口駅ビル)へ行ってみる。TSUTAYAはもう貸出はしていない。返却のみである。無印良品も商品が少ない。展示品処分(20%オフ)のデスクチェアーに食指が動いたが、元々の値段が高いものなので、かろうじて思いとどまった。やはり新品の方がいい。有隣堂の文具コーナーも草食獣の群れが立ち去って後のサバンナの草原のようであった
  カフェ・ド・クリエで持参した片岡義男の作品集『青年の完璧な幸福』を読む。先日読んだ「アイスキャンディは小説になるか」にも今日読んだ「美しい他者」にも「いい女」が登場する。しかも主人公の男は彼女に好意をもたれる。うらやましい限りだが、おそらくそれは片岡の実人生を反映しているのであって、彼にはもてない男の気持ちなんてわからないのではなかろうか。片岡の小説がその上手さに相応しいだけの評価を世間から受けていないのは、読者や文学賞の選考委員(の男性作家たち)の嫉妬心のためではないか、と私は考えている。
  基礎講義のレポートの締め切り(ネット上で提出するのだ)は今夜の11時59分である。12時を回ったところで、文化構想学部の論系別のレポート提出数をチェックする。本命と目されていた論系の猛追をわずかの差でわかして、わが現代人間論系がトップ当選(?)を果たした。望外の結果である。番狂わせと言っていいだろう。どうしてなのか、正直、よくわからないが、ただ、基礎講義のBBSに書き込まれた学生からの意見・質問に一番熱心にコメントを返していたのがわが論系であったことは間違いない。ものごとにはすべて何かしら原因があるものである。  

7月22日(日) 曇りのち晴れ

2007-07-23 02:23:17 | Weblog
  「現代人の精神構造」の答案の採点に取りかかる。4学部(一文・二文・文構・文)の学生が混在する授業なのだが、まずは新学部の1年生の答案から採点する。理由は2つ。第一に、2年生以上の答案を読んでから1年生の答案を読むと、どうしても見劣りがするだろう。第二に、しかし、文構・文とも1年生のときの成績が2年生にあがるときの論系・コースの決定に大きく影響する。1年生の答案を先に採点すれば、4学部合併(=学年混在)の授業を受けることの不利な影響から彼らを保護することができるというわけだ。ところが、実際に採点をしてみると、1年生の答案が2年生以上の答案と比べて見劣りがするということはなかった。これはどういうわけだろう。思うに、1年生には知識・経験の不足を補って余りある熱意があるのだろう。つまり不安が大きい分だけ一生懸命に準備をして試験に臨んだのだろう。この一生懸命さを卒業まで持続すれば、学年が進むにつれて答案の出来も素晴らしものになるのだが、残念ながら、人間というものはそのようには作られていないのである。
  夕方、自転車に乗って、池上駅前のTSUTAYAに行く。日頃利用している蒲田駅ビル内のTSUTAYAが駅ビルの耐震補強工事のため今月末で閉店する(貸出は今日まで)。よって自転車で15分ほどの距離にある池上店を今後は贔屓にしようと考えているのである。ちょうど半額セールの最中でレジには長い行列ができていたので、今日は借りるのはやめにして(答案の採点作業もあることだし)、店内を見物だけして帰ってくる。蒲田店に引けをとらない品揃えであった。途中のコンビニでがりがり君マンゴーを買い求め、自転車を漕ぎながら食べる。

       
                   池上駅前ロータリー

           
                  がりがり君マンゴー2007

  深夜、答案の採点作業の合間に、文化構想学部の基礎講義のレポートの提出状況をチェックする。あたかも選挙の開票速報を見るような気分である。わが現代人間論系は某論系と抜きつ抜かれつしながらトップを走っているが、現在は三番手に付けている下馬評では一番人気の某論系がどこでスパートをかけてくるか、不気味である。走れ!コータロー!(いまの学生は知らないか)