フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

10月15日(木) 晴れ

2015-10-16 09:38:57 | Weblog

8時、起床。

トースト、サラダ(炒り卵、トマト、レタス)、紅茶の朝食。

9時半に家を出て、大学へ。

2限は院生の研究指導。

Sさんからいただいた中国のお菓子を摘まみながら。

昼食は昨日と同じくコンビニおにぎりとカップヌードル。2日連続だと新鮮さは落ちる。「赤いきつね」や「緑のたぬき」とかも買っておこう。

論系ゼミ選考の一次申請の中間集計結果が発表される。私のゼミの希望者は24名(定員は15名程度)。例年、中間集計の数字より最終集計の数字は少し小さくなるので(倍率の小さい他のゼミへ動く)、ほどよい数字だと思う。

3限は大学院の演習。

4限は空き時間。講義の準備(先週の講義のレビューシートに目を通す)。

5限は講義「ライフストーリー」の社会学。36号館382教室のAV機器の操作にもだいぶ慣れた。

6時半に大学を出る。夜の工事現場は休眠中のエイリアンたちの巣のようである。

地下鉄に乗り込む前に「あゆみブックス」に寄って新刊コーナーを眺めていると、長谷川宏が『日本精神史』上下(講談社)という本を出したことに気づく。加藤周一の『日本文学史序説』を彷彿とさせるタイトルとボリューム(上下巻併せて1000頁)である。

加藤の『日本文学史序説』は「文学」の概念を広くとって、いわゆる文学作品だけでなく思想書もそこに含めた。長谷川の『日本精神史』はそこにさらに非言語的な造形物や美術作品(三内丸山遺跡から浮世絵まで)を加えた。加藤は非言語的な造形物や美術作品については『日本その心とかたち』で取り上げたから、長谷川の『日本精神史』は加藤の『日本文学史序説』と『日本その心とかたち』を合本したようなものであるといえるかもしれない。実にスケールの大きな試みである。この専門分化の進んだ時代にそんなことを試みる人間が加藤の死後に新たに登場するとは思わなかった。しかし、よく考えてみれば、ヘーゲルの『精神の現象学』の画期的な翻訳で知られる長谷川にこそふさわしいプロジェクトであるといえよう。

「精神とは何か」と長谷川は自問自答する。「あえて定義すれば、人間が自然とともに生き、社会の中で生きていく、その生きる力と生きるすがたが精神だ。精神は一人の人間のうちにも、少人数の集団のうちにも、もっと大きな集団や共同体のうちにも見てとれるが、さまざまな精神の連続と変化のさまを一つの大きな流れとして縄文時代から江戸時代の終わりまでたどること、それが、わたしの設定した課題だった。政治の歴史や社会の歴史にぴったり重なるのではなく、その基底にあって政治や社会の動きとは異なるリズム、異なるテンポをもって持続し変化していく人びとの意志と心情と観念の歴史をとらえたかった。」(上巻、3頁)

なるほど。意図はわかった。論より証拠、さっそく電車の中で「第1章 三内丸山遺跡―巨大さに向かう共同意識」を読んだ。臨場感のある文章である。長谷川は現場(青森駅からバスで20分ほど)に立って思索する。基本的な疑問は「なぜ人びとはこんな巨大な建造物を作ろうとしたのだろうか」というものである。小学生だって抱く疑問である。根源的な問いと言い換えてもよい。

「巨大建造物の作られた時期の集落は、数百人の人びとが居住する規模に達していたろうが、その人びとの共同の思いと共同の行動が形となってあらわれたのが六本柱の建物にほかならなかった。共同の力と精神は個々人の力と精神の集合でありながら、個々人の力と精神を越えた、異次元の力として、また精神として存立し、個々人に働きかけてくる。働きかけに応じるなかで個々人は共同の力と精神を大なり小なり担うものとなる。六本のクリの大木を見つけ出し、切り倒して柱に仕立て、幾何学的な形を保って地上高く聳え立たせ、横木でつないで安定した巨大な建造物を作り上げるという構想と、構想を実行に移そうとする意志と、意志を実現する行動は、いずれも個人の次元にとどまるものではなく、共同の構想であり、共同の意志であり、共同の行動だった。そして、構想と意志と行動が共同のものとなるためには、共有された建物のイメージが人びとによって実現可能なものと考えられていなければならなかったし、人びとの意欲をかき立てる魅力的なものでなければならなかった。」(上巻、14頁)

わかりやすい文章であるが、それは私に社会学(デュルケイム的な)の下地があるせいかもしれない。社会はメンバー(個人)のたんなる総和ではなく、個人には還元できな集合的な意志や表象を本質とするものであるという考え方である。三内丸山遺跡(の巨大な建築物)を社会=共同体の精神の表現として理解し、その精神の在り方を考察するところから『日本精神史』は出発する。

『日本精神史』の時間的射程は縄文時代から江戸時代までである。加藤の『日本文学史序説』は記紀万葉の時代から戦後の高度成長期までであったから、それよりも早く始まり早く終わる。近代のことは扱わないのか・・・と思っていたら、「あとがき」でその点に触れていた。

「日本精神史を江戸の終わりまでたどったとなれば、当然、そのあとの日本近代の精神史はどうなるかが問われよう。すでに老境にある身だが、気力と体力が許せば、近い過去の精神の流れをも跡づけてみたい。」(下巻、521頁)

長谷川は1940年の生まれだから、今年で75歳になる。

これから『日本精神史』を毎日1章ずつ読むことを日課としようと思う。そういう読み方がふさわし本であるように思う。35日で読み終わる。

7時半、帰宅。

夕食は鮭と野菜のレンジ蒸しとうどん。


10月14日(水) 晴れ

2015-10-15 08:47:20 | Weblog

8時、起床。

トースト、サラダ(トマト、レタス)、紅茶の朝食。

昼過ぎに家を出て、大学へ。

記念会堂の解体工事はさらに進んで、内部が外からよく見えるようになった。

ジャンボジェット機の格納庫のようである。

1時半からK君の卒研指導。

昼食は指導の合間にコンビニおにぎり2個とカップヌードル。連日だと飽きるだろうが、たまに食べる分には、これはこれで美味しい。

3時からS君のゼミ論指導。

手土産のシュークリームを摘まみながら。

4時半から現代人間論系の教室会議。6時過ぎまで。

7時前に大学を出る。

蒲田駅のみどりの窓口の自販機で、信州旅行の帰りの切符を購入。初日は茅野、二日目は松本、三日目は長野に行って(善光寺参りをして)夕方の新幹線で帰って来ることにした。長野→東京が1時間半とは速い。

夕食はカニ玉。

深夜、ドイツ(ドルトムント)のユミさん(論系ゼミ一期生)から、初雪が降りましたのメールが届く。10月の雪は彼の地でも珍しいようである。これから長い長い冬が始まる。

 


10月13日(火) 晴れ

2015-10-14 12:17:32 | Weblog

7時、起床。

トースト、サラダ(ハム、トマト、レタス)、紅茶の朝食。

午後、散歩に出る。

とてもいい天気なので、鎌倉まで足を延ばす。蒲田から鎌倉までは1時間もかからない。

週末(+月曜日の午前)はゼミ合宿でずっと学生たちと一緒だったので、バランスを取るために一人の時間が必要だ。家族の時間、仕事の時間、社交の時間、そして孤独の時間・・・意識的に(たぶん無意識的にも)この4つの時間のバランスをとりながら生活をしている。

鎌倉散策の前にまずは腹ごしらえ。駅のそばの「銀座アスター鎌倉賓館」でランチのセット(梨花)を食べる。

サラダ。

料理の名前は忘れたが、海老のすり身を湯葉で包んで蒸してスープをかけたもの。

卵と野菜のスープ。

上海カニと豆腐の煮込み。

ご飯にしますか、マントウにしますかと聞かれたので、マントウをチョイス。

香の物。

コースとしてはこれで終わり(あとはデザート)なのだが、もう少し食べたかったので、普通の春巻きと松茸と銀杏入りの春巻きを追加で注文する。

大きい方が季節ものの松茸と銀杏入りの春巻きで、これがとても美味しかった。塩で食べる。

デザート。

ごちそうさまでした。

御成り通りを歩く。

駅の反対側で、向かう先(八幡宮)も反対の小町通りに比べて地味な商店街だが、好きな通りである。

由比ヶ大通りに出て、江ノ電の踏切を越える。

若宮大路に出る。下馬の交差点。

由比ヶ浜に至る。

夏の間、滑川に架かっていた木橋もすでに撤去されている。

海の家は影も形も残っていない。

海に向かうのはサーファーだけである。

けれど、天気がよいせいだろう、砂浜を歩いている人たちはけっこういる。

3人連れのご婦人たち。

この少女は波打ち際でダンスをしていた。朝ドラ「まれ」のオープニングシーンのようである。

サーファーの青年、母親と坊や。 

母親と坊や、年配の男性。

年配の男性。

由比ヶ浜海岸から材木座海岸に移動する。

滑川の河口から海に向かて右が由比ヶ浜海岸、左が材木座海岸。

材木座海岸の方が人が少ない。私はこちらの方が好き。

サーフィンをする人、ジョギングをする人。

犬の散歩に来ている人たちもいる。

小さな青いテント。

魚の骨に残っている肉を食べるカラス。

波打ち際(波が引いたとき)。

波打ち際(波が寄せたとき)。

砂浜を振り返る。

東側を見る。

西側を見る。

真上を見上げる。

雲一つない空は、ただそれだけでは季節が分からない。

足元を見つめる。

もう一度、海の方を見る。

 そろそろ引き上げよう。 

これから海に入るサーファーの青年と砂浜から引き上げる文学的な雰囲気の女性がすれ違う。

秋日和の鎌倉の海でした。

次回はいつ来るだろう。

電柱の上にはトンビが鎮座していた。

江ノ電の和田塚駅をめざして住宅街の中に入って行く。

親しみのある名前の候補者がいる。

和田塚駅。しかしここに来たのは江ノ電に乗るためではない。

線路脇にある甘味処「無心庵」がお目当ての場所である。

客の姿が消えた一瞬を狙って撮った写真。普段、こんなに空いているわけではない。とくに週末は満席であることが多い。

ここに来たときはたいていこれを注文する。クリームあんみつ。

容器にたっぷり入った黒蜜は、最初からはかけない。あんことクリームがなくなってからが黒蜜の出番である。

庭のすぐ向こうは江ノ電の線路である。 

由比ヶ浜大通りを駅に向かう。この通りも好きな通りである。

最初に歩いた御成り通りに戻って来た。

鎌倉駅前(西口)に到着。

お土産にいつもの鳩サブレ―を買おうと思ったら駅前店は定休日だった。

蒲田に帰って来る。有隣堂で本を購入。

池澤夏樹個人編集・日本文学全集24『石牟礼道子』(河出書房新社)

関川夏央『文学は、たとえばこう読むー解説する文学Ⅱ』(岩波書店)

荒川洋治『文学の空気のあるところ』(中央公論新社)

夕食は妻が仕事帰りに池袋の西武デパートの物産展で買ってきた海鮮お稲荷さんと、鶏肉と山菜のうどん。

デザートは私が駅ビルでお土産に買った「トップス」のチョコレートケーキ。

私が帰宅した時、すでに妻は帰っていて、「どこかに出かけていたの?」と聞かれたので、「ちょっと散歩に」と答えた。鳩サブレ―を差し出せば鎌倉であることがわかるのだが、チョコレートケーキではそれは伝わらない。あとからこのブログを見れば、鎌倉に行っていたのねとわかるだろう。


10月12日(月) 晴れ

2015-10-13 09:12:20 | Weblog

7時、起床。

7時半に食堂に行く。みんな、夕べは遅かったようで、まだ数人しか来ていない。聞くと、寝ていない人もいるそうだ。青春ですな。

ぼちぼち集まってくる。

部屋の片付けをすませて、ロビーのべラダンでみんなの集合を待つ。

私が学生とおしゃべりをしていると、調理場の責任者の松川さんがやってきて、「お写真を撮りましょう」と言ってくれた。

「実は・・・」と松川さんが言うには、今月末でセミナーハウスをお辞めになるそうだ。鴨川セミナーハウスが完成してから14年、ずっとここで働いてこられた方である。私とはトータルで30回くらい顔を合わせている。これからはどうされるのですかと尋ねると、市内で飲食店を開業するそうである。店の名前は「松川」。覚えておきます。長い間、お世話になりました。ありがとうございました。

鴨川駅前まではセミナーハウスを9時42分に出る市内バスに乗る。ロビーでバスが来るのを待ちながら。

記念の集合写真を撮る。

ゼミ長のA君も入って、もう一枚。

バスに乗り込む。(安房鴨川駅前から10時発の東京行きの高速バスに乗り換える)

高速バスは東京湾を渡る(アクアライン)。

12時15分、東京駅前到着。ここで解散。お疲れ様でした。

銀座の「竹葉亭」に昼食(鯛茶漬け)を食べに行ったが、入口に列が出来ていたので、「銀座鹿乃子」で甘味と食事をとることにする。

まずは甘味。冷やし白玉汁粉。今日はちょっと気温が高いので、冷やしが美味しい。

食事は力きしめん。焼きもちが香ばしい。

有楽町駅のみどりの窓口で信州旅行(早稲田祭の期間に行く)の往きの列車の切符を購入。帰りの列車は松本からあずさ号か、長野まで足を延ばして北陸新幹線で帰って来るか、まだ決めていない。

2時、帰宅。横になると疲れているのが分かる。しばし昼寝。

夕食は栗ごはんとかます。

録画しておいたホホシロザメの番組(NHK)を観る。

合宿中のブログを更新する。

3年ゼミの合宿は12月中旬に予定しているが、鴨川セミナーハウスはもう予約で埋まってしまっているようである。あらま・・・。


10月11日(日) 雨

2015-10-13 00:12:47 | Weblog

7時半、起床。

今日は雨の一日になりそうである。

朝食がバイキングなのはいつもの通り。

肉(ウィンナー)と魚(鮭と鯖、しらす干し)と野菜(サラダ、煮物)と味噌汁と漬物とおかずのバランスがいい。

食後のコーヒーもサービスというのもいい。コーヒーを飲みながらテーブルが一緒だった学生たちとしばらくおしゃべり。

 午前の発表のトップバッターのI君がロビーのプリンターで何かを印字している。

9時から発表開始。

  I君 なぜナンパを辞められないのか

  Oさん インターネットを介した恋愛に対する可能性と弊害

  Kさん 女子校の社会学~その世界と生き方~

  Sさん 現代の若者の自己肯定感~自分を受け容れるためには~

12時から昼食。

毎度おなじみハンバーグカレー。ミニエクレアがデザートに付いている。

部屋で食後の昼寝をして過ごす。

2時から発表再開。

  S君 就活はなぜ辛いのか~就職活動を承認とコミュニケーションから考える~

  Tさん 現代的コミュニケーション様式から生じる孤独

  Nさん 若者の自立と親離れ

  Fさん 現代の母娘関係

6時から夕食。昨日に続いて今日もバイキングだが、揚げ物だけでなく、ロールキャベツや餃子など昨日よりバラエティがある。

加えて、今回は特別料理をあらかじめ注文しておいた。

ジャーン!

お刺身の盛り合わせ(舟盛り)である。合宿二日目の夕食に注文するのがわがゼミの定番である。一台一万円のものを二台。18人で二台というのはけっこう贅沢で、たっぷり食べられる。

心躍る夕食である。

 

8時から発表再開。最後のセクションである。

  Mさん セクシャルマイノリティにとって生きやすい社会とは何か

  Mさん オタクの自己開示~「私はオタクだ」と言える時代へ~

  Yさん 若者の上昇志向 

以上で17名の発表が終わった。ゼミ論提出まであと2カ月と1週間である。死に物狂いで取り組めばなんとかなるであろう。

男子の部屋にみんな集まって、打ち上げ。乾杯!

けっこう入るものですね。

私は1時半まで付き合って、一足先に自室に戻る。

おやすみなさい。

雨はもう止んでいるようである。明日は晴れるだろう。